自分に誇りを持って オスロで虹色ユーロプライド・パレード
欧州最大LGBTの祭典、2014年度の開催地はオスロ
首都オスロで毎年恒例のLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)の理解向上を求める大規模なパレードが開催された。さまざまな性的嗜好を持つ人々の人権を訴えるこのイベントは、オスロで毎年開催されている。今年は毎年各国で持ちまわり開催されている欧州最大のLGBTの祭典「ユーロプライド」第21回目の開催地ともなっていたため、世界各国から支援者が訪れ、例年以上の盛り上がりを見せた。6月20~29日のイベント期間中、最も大きな注目を集めたのが中心地を渡り歩く28日の大行進だった。
レディー・ガガの『ボーン・ディス・ウェイ』などの同性愛を支持する歌手の音楽が流れる中、多種多様なコスチュームで身を包む人々が行列に参加。今年は例年以上にカジュアルな私服に身を包んだ人の姿も目立った。
当日は主催者が予測していた参加者数4万人規模以上の人々が訪れ、オスロ警察はあまりの人の多さで途中で参加者数の測定が不可能となる事態に。歩道では数万人規模の人々がパレードを見ていたとされるが、今年は警察さえも正確な行進者数を出すことができなかった。
自分にプライドを持って生きようと訴える行進には、「ママはあなたたちを誇りに思っているわ」、「みんなと同じ権利」と書かれた看板や虹色の旗が目立った。ユーロビジョン・ソングフェスティバルで優勝した「ひげの美女」・歌手コンチータ・ヴルストの顔写真をシンボルとして持つ人もおり、北欧諸国の団体も数多く参列した。
人権を訴えるパレードには、この流れを支持するさまざまな団体や肩書きを持つ人も参加。ノルウェーの各政党の政治家、オスロ市長、警察官、看護婦、スポーツ選手、労働団体なども行進を盛り上げた。スポーツ団体の会員たちが、クロスカントリースキーや登山などアウトドアの格好をして行進するなどスポーツ大国・ノルウェーらしい光景もあった。
今年のイベント期間中に物議を醸した人物は、ノルウェーの子ども・平等・社会統合大臣であるソールヴァイ・ホルネ氏だった。彼女が所属する進歩党は、厳しい移民政策で知られており、同氏が現職に就くことには2013年10月当初から批判的な声が目立った。同氏は、「幼稚園で同性愛者の絵本を子どもに読み聞かせるのはいかがなものか」や、増加するレイプ被害に関して「女性にも責任はある」という旨の発言をしており、国内で大きな批判を受けた。
開催初日のオープニングセレモニーで、同氏が祝辞を述べたことに嫌悪感をあらわにした関係者は多く、イベント期間中には抗議の動きもみられた。できるだけ多くの政治家の支持を得て、同時にイベント開催のための支援を得ることは重要ではある。しかし、差別的な発言で有名な政治家を招待してしまう、肩書きを優先した(?)主催者の「誤った判断」に警報を鳴らした関係者とメディア報道は多かった。本来、平等大臣であればパレードの先頭を歩いても不思議ではないのだが、ホルネ氏は今回先頭に立つことはなく、一般市民に紛れてパレードに参加した。2015年度のユーロプライドの開催地はラトビア共和国の首都リガだ。