「まだら模様」の民主主義。今の日本に足りないもの。
私は2015年12月に著書『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)を出版しました。「弱者やマイノリティのために、政治に直接働きかける技術」を解説する、初めての一冊になります。
この本をご覧になった方たちからは「ロビイングという言葉を初めて知った」、もしくは「ロビイングというと悪いイメージがあったが、ぜんぜん見方が変わった」などという感想をたくさんいただきました。
記事のタイトルに民主主義のことに触れていますが、端的に言うと民主主義体制下では国民が権力者であり国民が支配者であり、同時に国民が被支配者です。すべて国民の自己責任で政治を行います。
じゃ、具体的に民主主義って何すればいいの?という話になると「選挙で投票する」、もしくは「選挙に立候補する」とか、「デモに参加する」が頭に浮かぶ人が多いと思いますが、実はこの「ロビイング」も欠かせない一つの要素になります。
ロビイング(ロビー活動)とは、特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動のことです。議会の議員、政府の構成員、公務員などが対象となります。簡単に説明すると政治家や官僚に直接会って要望や陳情することです。
日本では昔から集票力のある圧力団体が自分たちの利益のためにロビー活動しています。選挙のときにも自前で用意した組織内議員を送り込んでいます。つまり圧力団体の発言は政治家や政党も無視できない影響力を持っています。これは強固な組織や票をもっている圧力団体だからこそできることなのです。
また、昨年はデモも活発に行われましたが、これはたとえば「参加している人と一緒に行動する連帯感」「人前で行動を起こすことの開放感」「目立つことをしていることの高揚感」などといったデモに参加している人たちの内面を大きく変える事柄であっても、対外的なこと(政治や社会など)を変える力にはなりませんでした。
なぜ「まだら模様」なのか?
私は「必ず選挙に行って投票しなければならない」とか、「困っている人はみんなロビイングすべき」といったことはまったく言うつもりはありません。
しかし、先にも述べた「選挙で投票する」、「選挙に立候補する」ことを圧力団体が行えば、当然のことながら「圧力団体」が望む方向へと政治は動いていきます。
もちろん「選挙に立候補する」ことはハードルが高いかもしれません。以前に、私が書いた記事でもそのことには触れています。
「ここが変だよ地方議員」著者の小田理恵子川崎市議会議員(維新の党)にインタビュー
では、「ロビイング」のほうはどうでしょうか?
「ロビイング」のことについては知らない人たちがたくさんいます。これでは「ロビイング」を既にやっている人たちが望む方向へと政治は動いてしまいます。
このように「知っている」「知らない」という見方で「まだら模様」ができあがります。
「参加する/参加しない」を選択するのは個々人の自由ですが、「知っている/知らない」で損得をしてしまうことは不公平だと思います。私はこれから「ロビイング」のことをたくさんの人たちに知ってもらい、そのうえで「ロビイングする/ロビイングしない」を選択できる社会に変えていきたいと考えています。
そして『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)はロビイングは誰でもできるものだと主張する、いわばロビイングのマニュアル書です。ぜひ、「ロビイングやってみたい!」という方たちにはこの本を読んで実践していただきたいです。
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