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ソーシャルビジネス・社会起業の現場で働きたいヒトに求められること

秋元祥治やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

ここ数年、「ソーシャルビジネス」や「社会起業」というキーワードをニュースや新聞紙面などで目にすることも多くなった。一昨年だろうか、キャリア官僚に内定していた大学4年が、内定を辞退してNPO法人に就職するというので、ニュースになったことも記憶に新しい。

まだまだ一部、とはいえどもソーシャルビジネスの現場で働きたいというヒトは、筆者の肌感覚ではずいぶんと増えている。少なくとも、もはや例外とは言えないだろうと思う。

そんな仲で、秋元自身もNPO法人の経営者。

その仕事のひとつは、人事。

スタッフと1、2ヶ月に一度とか個別に面談をしてフィードバックをしたり、あるいは採用面接をしたり。G-netのような事業型NPOを目指す人々に、小生がリクエストしていることがあります。

儲かる事業だったら、誰かとっくにやってる。

必要なのに収益性が低いから誰もやっていない、でもそれをやろうというのがソーシャルベンチャー。(補助や助成依存してるんじゃなく事業として取り組む存在ってことです。…ちなみに、事業自立できないのは1)やってることにそもそも価値がないから、2)価値をマネタイズする力が足りないから、3)顧客が不特定ないしは受益者負担できない(このケースは事業化は難しいですよね)、のいずれかだと思う。)

そして、思いを実現するためには継続した事業自立が必要。

すなわち

''儲からないけれど社会性の高いことに挑み、そしてその事業でどう儲けるか'''

という、いわば無理なチャレンジをしているわけですw

収益性が低い事業なのに、持続可能な収益をどう上げるか?ということですよね。

ベンチャーよりも、もっとベンチャーかも、と感じる挑戦。

面接をしていると

「企業のようなお金をどう稼ぐか、ていうのはもう嫌なんです。お金と関係なく夢を追いかけられるNPOに入社したいです」ってヒトがたまにいます・・・残念ですが、こういう頭のなかがお花畑の方はうちの場合は、そこで「あーちょっと厳しいねぇ」と心の中で思っちゃうわけですよ。

普通にやって儲からない、ことを何とかしようとするわけで。

とすると、以下の3つのいずれかでないと成果は出せないと思うのです。

1)ヒトより、才能や能力がある

2)ヒトより、運がよい

3)ヒトより、努力する

僕の場合は、そもそも好きで始めた仕事だから、努力とも思わなかったけれども振り返れば、相当したとは思う。年間5000時間くらいとかは普通に働いていたし。まぁ、仕事が苦ではなくて好きでしていたことですからね(ブログ:仕事の対義語は遊びなのか、をご参照)もちろん、長時間労働がいいって言いたいわけではないですよ。努力って、投入工数×事業効率って分解できると思いますからね。

そして、この事業効率ってところには、才能や能力も含まれるますかね。

G-netの場合、長期実践型インターンを地場産業で・地方都市で展開するというのは、全国に他に例のない事業。そういった意味では、ゼロからの立ち上げだし、マーケットそのものを作っていくところから。だから、好きでやりたい!って思ってくれるかと、上記のいずれかが大事なんだと思う。

結局、

ヒトより圧倒的な才能ある人なんてほぼいない。

ヒトより圧倒的な運のいい人なんてほぼいない。

他のソーシャルベンチャーがどうか、はそりゃわかりません。

でも、きっとそうでしょう。

だから、それでも努力して実現したいと思えるものが、その現場にあるのか?

だから、そこで成果を出すために力つける経験や実践を重ねてきているのか。

こんなことをソーシャルベンチャーで働きたいヒトは自問自答したらいいのではと思う。

あ、 G-netも求人しています。新卒も中途も、ご関心あれば。

やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

01年より、人材をテーマにした地域活性に取り組むG-netを創業し03年法人化。現在理事。13年オカビズセンター長に就任。開設9年で約3300社・2万2千件超の来訪相談が押し寄せ、相談は1ヶ月待ちに。お金をかけずに売上がアップすると評判で「行列のできる中小企業相談所」と呼ばれている。2022年より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授に就任。内閣府・女性のチャレンジ支援賞、ものづくり日本大賞優秀賞、ニッポン新事業創出大賞・支援部門特別賞ほか。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も。著作「20代に伝えたい50のこと」、KBS京都「KyobizX」・ZIP-FM「ハイモニ」コーナーレギュラーも。

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