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年収1,200万「中小企業支援のDr.コトー」を長崎・新上五島町が公募!

秋元祥治やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ
風光明媚な新上五島町

長崎県南松浦郡新上五島町(しんかみごとうちょう)、はご存知でしょうか?

ピンとくる人は少ないかもしれませんね。長崎県にある「五島列島」にある自治体。

この黄色い5つの有人島と、60の無人島で構成されているとのこと。(ウイキペディアより)

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人口は、この40年あまりで50%以上減少(!)し、飛行機も10年前に撤退し空港も休港中(そんなことがあるんですね…)で、もより佐世保まで高速船で1時間半…というまさに「ザ・離島」なわけですが。

風光明媚なこの島で、地方創生の最先端ともいえる、いままさに前代未聞の大きなチャレンジが動いているのです。

町長の月給(78万円)を大きく上回る、月給100万円(年・1200万円)で産業サポートセンターのセンター長を公募(2月10日締め切り)しているのですよ。

公募する新上五島町のWEBページ
公募する新上五島町のWEBページ

まさに、

「中小企業支援のDr.コトー」公募!

長崎)新上五島町、年収1200万円で非常勤職員募集

新上五島町が、年収1200万円の破格の給与で非常勤嘱託職員を募集している。人口減少が止まらぬ中、町が職員に寄せる期待とは――。

町が募集しているのは、昨年9月に開設した産業サポートセンターのセンター長。町を活性化させて人口減に歯止めをかけるため、町内の中小企業や新たに事業を始める起業者を対象に、経営面から助言することなどが求められる。

センター長の給与は月額100万円。月給78万円の町長より高額だ。雇用契約は1年ごとの更新で、原則として3年まで。求められるレベルの仕事が継続できれば、3年間の給与は最大で3600万円になる。

出典:朝日新聞(1月30日)

アゴラでは新田さんの記事でも言及されています。

ということで、町役場のご担当・総合政策課の伊賀さんに早速お話をお伺いしてきました。

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質問)なぜ、産業サポートセンターをつくろうと?

「町内事業所の経営者の支援や、起業・創業のサポート、フォローアップなど、町内で働く全ての方々のチャレンジを応援していくためには、各事業所のおかれている状況分析、経営革新等に対する事業者の要望確認、本当に必要とされる支援など、地域密着型サービスの運営を同じ目線に立って一緒にチャレンジしていかなければなりません。地域経済を活性化させるためにも、関係機関とも協力しながらこの事業に本気で取り組んでいかなければ本町の未来はないと感じたからです。」

質問)破格の収入を用意して取り組む意気込みは?

「とにかく、町内産業の底上げを図っていきたい。今以上に儲かってもらって雇用の創出に繋げていきたいと思っています。厳しい経済状況の中、離島というハンディキャップを抱えながら町内事業所等の皆様は、文字では表現できないくらい様々な課題を持って経営を行っています。

そのような状況の中で事業所等の皆様の売上げアップを目指していくため、ターゲットを絞ったり、販路の開拓をしたりするサポート、フォローアップなど、最適な方法で支援を行っていきたいのです。

そのためには、知恵を出しながら事業所の強みを引き出してくれる、情熱があってビジネスセンスが高く、そしてコミュニケーション能力のある人材(センター長)が必要だからこそ、公募させていただきました。」

続いて、江上悦生町長にもお話を伺いました。

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「本町のまちづくりの最大の課題は、人口減少対策であります。日本創成会議が公表した将来推計人口によると、2040年の本町の人口は、8,549人、特に20歳から39歳までの女性は289人と、九州地区で一番減少率が高く、このまま放置すれば、自治体が消滅しかねないと警鐘を鳴らされています。

そのような中、町内産業の活性化は人口減少対策において一丁目一番地なのです。

町内事業所の1社1社が元気で収益アップが図られれば、雇用の場ができ、新上五島町に住む人も増え、地域の活性化にも繋がっていきます。

1人でも多くの雇用機会を創出する地域づくりに、危機感を持って取り組み、将来像である「つばき香り豊かな海と歴史文化に育む自立するしま」の実現に向け、新上五島町の存続を図っていきたい。それは、この取組みにかける思いです。」

この新上五島町の取組は、熊本県天草市が昨年4月に開設した天草市起業創業・中小企業支援センター(Ama-biZ)をモデルにしたもの。Ama-biZは、静岡県富士市に7年前に解説された富士産業支援センターf-Biz小出宗昭センター長の指導を受け、開設1年に満たない現在、相談は1ヶ月待ち近くとなり行列の出来る相談所となっています。

ならばわが街でも、との展開が今回の新上五島町によるものなのです。

地方創生の掛け声の下、全国各地で様々な取り組みがなされていますね。

地域活性を目指すために、補助や助成金を配るのか。それとも、インフラや公共施設の整備に充てるのか。

途上国支援などでよく語られる喩え話に「釣った魚を上げるのか。それとも魚の釣り方を教えるのか」というものがあります。地域の小さな会社や事業者1つ1つの取組みをサポートし、自発的なチャレンジを引き出しガイドしていくことで、地方創生を目指す取り組み、注目をしていきたいと思います。

新上五島町・産業サポートセンター センター長公募

秋元祥治

NPO法人G-net代表理事・滋賀大学客員准教授・OKa-Bizセンター長

ではでは。

やろまい代表取締役/武蔵野大学EMC教授/オカビズ

01年より、人材をテーマにした地域活性に取り組むG-netを創業し03年法人化。現在理事。13年オカビズセンター長に就任。開設9年で約3300社・2万2千件超の来訪相談が押し寄せ、相談は1ヶ月待ちに。お金をかけずに売上がアップすると評判で「行列のできる中小企業相談所」と呼ばれている。2022年より武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授に就任。内閣府・女性のチャレンジ支援賞、ものづくり日本大賞優秀賞、ニッポン新事業創出大賞・支援部門特別賞ほか。内閣府「地域活性化伝道師」等、公職も。著作「20代に伝えたい50のこと」、KBS京都「KyobizX」・ZIP-FM「ハイモニ」コーナーレギュラーも。

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