Yahoo!ニュース

ソーシャルメディア上での炎上は、個人ではなく企業の責任ですよね?

安藤光展サステナビリティ・コンサルタント
画像

■ソーシャルメディアでの企業の責任は?

本日早朝に、典型的なソーシャルメディアでの炎上事例を見ましたので、共有させていただきます。

Yahoo!Japanに投稿した内容にYahoo!Japanの人から「実にしょーもない」というコメントをいただきましたので、これ以上続けていてもしかたないでしょう。どっちかというと繊細とはほど遠い私ですが、さすがに中の人に直接公衆(フォロワー)の面前で言われるとね。あとから個人的な見解と言う文言が加わりましたが、勤務先と役職を一般公開してのコメントですから社会常識では「個人的な」では済まないでしょう。

出典:ソーシャルは難しい。わたしはこれでYahoo!個人に投稿するのをやめることにしました

私は色々な企業の方にCSR(企業の社会的責任)という視点についてアドバイスをさせていただいていますが、従業員のソーシャルメディア利用における炎上は一向になくなりません。実名・社名を出してソーシャルメディア利用をしていれば、最終的には企業が責められますよね。ましては取引関係にある企業同士であればなおさらでしょう。

去年にも「従業員の相次ぐ炎上の責任は企業が負うべきなのか?」という記事を書きましたが、企業活動で起きたことなので、責任は企業にあるのですが、家庭や学校での教育レベルの低さなどによる「モラル教育」(道徳・倫理教育?)のコストまで企業が負うとなると、やりきれない部分もあるのは確かです。

アホな人たちを採用したからいけないのでしょうか?頻発する不祥事の根本にはなんの問題があるのでしょうか?今回の事例を踏まえながら考えてみましょう。

■従業員の批判が炎上する

企業と企業、企業と個人がすでに契約関係にありながら、企業に属する当事者ではない個人が、公の場(一般公開されているウェブ上)で、取引先の個人を批判する。今回の事例は、批判する人も実名・顔出・社名・役職もオープンにしています。

もちろん、建設的な批判であればよいのですが、「バカ・アホ」レベルの批判には、されたほうも黙ってはいません。すでに契約関係があれば、「オタクの従業員がこうやってDisってきてるけど、どういうこと?」となるでしょう。

昨今、このようなことが多発し年に何度か大きな話題になるために、社名を公開している人は、「所属組織を代表する発言ではなく、個人の発言です」みたいな注意書きをソーシャルメディアのプロフィールに書くわけです。

もちろん、注意書きを書けば他人を批判してよい、とはなりません。何か問題が起きれば、最終的には所属組織が責任を追うことになります。炎上すれば、責任がどうこうではなく、ブランド毀損が起きます。

今回で言えば、Yahoo!の社員が、Yahoo!と契約関係にある個人を公の場で批判したということで、すでに数万人レベルの人が、Yahoo!に対して嫌悪感をもっているようです。TwitterやFacebookでのコメントや拡散がそれを物語っています。

それは「こんなことされるなら、Yahoo!で記事を書くの辞めるわ」となってもしょうがないでしょう。

本当にそうなったら、個人的に永江さんのYahoo!ニュース個人の記事は毎回楽しく読ませていただいていたので、一読者としても残念でなりません。

従業員のコンプライアンスの問題については、「auのオプション強制加入問題で感じた、CSRの“現場感のなさ”について」、「半沢直樹にはなれないっしょ! コンプライアンス違反を密告できないわけとは?」、という記事もご参考までにどうぞ。

■企業の社会的責任とは何か

企業の社会的責任はなんでしょうか?世界的な解釈では「企業が社会に与えるすべての影響に責任を持つ」ということ。

今回の炎上事件は、Yahoo!社の一個人の発言かもしれませんが、著者はもう記事を書かないとしていますし、アクセスを稼げる人の離脱は広告費ビジネスをしているYahoo!としては大きな痛手です。僕の実感値では、広告売上で年間数千万円くらいの損失かと思います。

例えば、この広告費売上をこの従業員に補填させますか?それはないでしょう。メディア企業の従業員として、コンプライアンス意識がなかった、そして、暴走しそうな人間を管理するガバナンス機能もなかった。

で、炎上。自社従業員が起こす炎上事件を100%防ぐことはできませんが、Yahoo!だけではなく、いわゆるメディア系企業の方は今一度、自社のソーシャルメディア・ポリシーを確認したほうがいいでしょうね。

なぜ、人間はソーシャルメディアで“軽はずみ”な行動をいつもしてしまうのでしょうかね。反面教師として、私も気をつけたいと思います。

最後に。

本記事は事実を元に、企業の社会的責任という視点でまとめているものです。多くの方に学びと気付きを提供するということで、自社の耳のイタイ話かもしれませんが、非表示にしないよう編集部の方にはお願いしたい次第です。まぁ、この事実も隠そうとしてたら、逆にヤバい(二次不祥事)につながるのでしないと思いますが。

何かしらの展開があることを望みます。

追記:2014年6月7日12:40

引用元の記事を書いた永江さんから、ご指摘がありましたのでツイートを追記させていただきます。

失礼とかそういうことではなくて、民族差別的な言い回しは誉めてることにならないと書いたのに対し理由も無く「しょーもない」というひと言だったので、その人の給料の一部になるならやめようと思ったわけでして

出典:Twitter

photo creditcc

サステナビリティ・コンサルタント

サステナビリティ経営の専門家。一般社団法人サステナビリティコミュニケーション協会・代表理事。著書は『未来ビジネス図解 SX&SDGs』(エムディエヌ)、『創発型責任経営』(日本経済新聞出版)ほか多数。「日本のサステナビリティをアップデートする」をミッションとし、上場企業を中心にサステナビリティ経営支援を行う。2009年よりブログ『サステナビリティのその先へ』運営。1981年長野県中野市生まれ。

安藤光展の最近の記事