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南野拓実が欧州挑戦で得たもの。20歳の若武者が「結果がすべて」と断言する理由とは?

浅野祐介OneNews編集長

今年1月、ユースから育ったセレッソ大阪から、オーストリアのザルツブルクへの移籍を決断した南野拓実。シーズン途中からの加入、初の海外の地で残した成績はリーグ戦14試合出場の3ゴール3アシスト。カップ戦にも出場し、ザルツブルクの2冠獲得(リーグ戦とカップ戦優勝)に貢献した。欧州挑戦1年目を終え、20歳の“若武者”は何を思うのか?

――まず、昨シーズンを振り返って率直な感想を教えてください。2015年1月にレッドブル・ザルツブルクに完全移籍、欧州での1シーズン目はいかがでしたか?

ふたつ優勝できたのは、自分にとってすごくいい経験になりましたし、いろんな思いがあったなかで海外移籍という決断をして正解だったと感じていますし、本当に(ザルツブルクに)行って良かったなと思っています。

――実際にプレーをしてみて手応えを感じた部分と、逆に課題だと感じた部分を教えてください。

前を見て仕掛けていくという自分の良さは通用すると思いましたし、逆にそういう場面を増やしていくためにも、もっと仲間とコミュニケーションをとって、自分の長所を出していかないといけないなと感じました。課題というか、そのためには結果で認めさせることも必要だなと思いましたね。

――コミュニケーションはうまくとれていますか?

ミーティングとか、細かいところは通訳の方にお願いしています。ピッチに入ってしまえば、サッカーの言葉というか、サッカーをやっているからなんとなくわかる、というところでなんとか(笑)。基本的に会話はほとんどドイツ語ですが、みんな英語を話せますし、逆に英語しか話せない選手もいます。

――ドイツ語の上達はいかがですか?

少しずつ上達はしています。勉強もしていますし。でも、まだまだ、ですね。聞くほうはまだ何とかなりますが、話すほうが……無理です(苦笑)。

――リーグ戦第20節のSCウィーナー・ノイシュタット戦で先発デビュー、第23節FCアドミラ・ヴァッカー・メードリング戦で移籍後リーグ初ゴール(2ゴール)を記録した、それぞれ振り返っていただけますか?

デビューの時は特別な気持ちはなかったですね。とにかく、いつもどおりやろうと心掛けてピッチに立ちました。ゴールを決めたときは、「これからだ」というか、これをもっと続けていくことが求められるし、結果を出し続けようと改めて考えました。

――実際に海外の選手と対峙してみて、日本でプレーしていたときとの違いは感じましたか?

やっぱり球際は激しいですね。「日本だったら今のボールを納められていたのに」とか、ぶつかり合ったときに、単純にあたりは強いと感じます。練習でも激しいですし、削られたりすることも普通にあります。それがノーマルというか、悪質という意味じゃなく、チームがそういう激しいスタイルだから、練習からプレスを激しくかけていくやり方でやっているので、本当にいい経験になっています。

――ヨーロッパでの生活はいかがですか?

だいぶ慣れましたけど、生活はがらっと変わりましたね。サッカーと食事、それから睡眠、だけです(笑)。オフのときはちょっと街に出たりしますけど、日本に比べると、やっぱり「やること」は限られてきますね。

――食事はいかがですか?

おいしいですよ。ただ、日本食があまりないので、恋しくはなります。食材はひととおり売っていますけど、自分で料理をしないので外食が多いですね。

――日本を出たことで感じた「日本の良さ」について思うところがあれば教えてください。

そういうことだらけ、です(笑)。日本は「最高」です。ずば抜けて、ありえないほどというか、至れり尽くせりで、こんなに便利な国があるのかって思いますね(笑)。オーストリアのお店は日本に比べると閉まるのが早いですし、日曜日は街全体が休み。オフの選択肢はとても少ないです。

――欧州とJリーグの違い、感じるところを教えてください。

単純に、強さとか激しさの違いは感じますね。それが一番、違いで感じるところです。

――スピードの部分はどうですか?

やっぱり、身体能力でずば抜けている選手はいますよね。ベースの部分というか、「それ脚でいくのか」みたいなことはあります。

――以前、話をうかがったときに「いずれは欧州のビッグクラブでプレーしたい」という考えを聞かせてもらいました。将来的な移籍やキャリアのステップアップについて、今はどう考えていますか?

次のステップに行くためには、ここで結果を残すことがすべてだと思っています。もちろんそれを目指してやっていますし、その気持ちは変わらず持ち続けています。

――個人的に興味のあるリーグ、よく見ているリーグはありますか?

ブンデスリーガはいつでもテレビで見られますし、国も隣なので、選手の多くが意識しています。そういう意味ではブンデスリーガですね。

――5月にミュンヘンに行かれていましたね。

車で1時間半程度で行けるので、パッと行ってきました(笑)。ミュンヘンにおいしい日本食のお店があるんですよ。寿司も食べられるし、うどんとかもあって、いいお店です。

日本代表への思いを語る南野選手
日本代表への思いを語る南野選手

――ここからは日本代表について話を聞かせてください。ヴァヒド・ハリルホジッチ監督が就任しましたが、A代表への思いを教えてください。

サッカー選手ですし、当然、そこを目指してやっています。そのためにはチームで結果を出すことが、一番直結すると思いますし、ポジション的にも数字で証明していくことが大事だと考えています。チームで毎試合、結果を出し続ければ、絶対にチャンスがあると思いますし、特に今の時期はみんなにチャンスがあると思いますから、とにかくチームで結果を出し続けたいと思います。

――実際、代表には新しい選手が呼ばれていますね。

はい、チャンスはあると思います。

――オリンピック代表はいかがですか? リオ五輪の最終予選が1月に開催されます。

先輩の貴くん(扇原貴宏)、蛍くん(山口蛍)の姿を見ていて(※ロンドン五輪に出場)、自分も五輪に出たいと思っていましたし、U―19のカテゴリで世界の舞台を逃しているので、個人的にも五輪への思いは強いです。

――セレッソ大阪の先輩の名前が出ましたが、古巣の試合は見ていますか?

見ています。気になりますし、毎週チェックしています。

――将来的にはまたセレッソでプレーしたいと思いますか?

もちろんです。将来的に、いずれ、というのは強く思っています。「何ですぐ戻ってこーへんかったんや」って言われるかな(笑)。

――オフの日本滞在、快適に過ごせていますか?

そうですね、やっぱり落ち着きます。言葉が通じるし、コンビニがあるし、いつでもタクシーがつかまるし(笑)。日本はすごいですよね。

――滞在中に食べたいものは?

いっぱいあります。「うまいもん、全部食ったろ!」と思ってます(笑)。

――帰国して最初に食べたものは?

寿司です。中トロ、うまいですね。あとはエビ!

――粉もんはどうですか?

粉もんも海外にないから、大阪に帰って食べ尽くしたいです(笑)。

――新シーズンの目標と抱負を教えてください。

正直、今年は優勝できましたが、一年を通してではない分、達成感というのはみんなより半分ですし、来年はスタートからいられるわけで、その上で、優勝が決まる試合で自分が決めたら最高だろうなと思います。来シーズンは、シーズンを通して活躍して、最後に自分が決めて優勝できたら、そうするように頑張ってやっていこうと思っています。

――環境が変わることでサッカーの違った面での楽しさや新しい発見はありましたか?

サッカーにかける時間が多くなりましたし、一人の時間が長いから、いろいろと考える時間も増えましたね。たくさんの若い選手が上を目指してやっている環境で、自分も貪欲に、自分を出していく大切さを強く感じましたし、常にそういう姿勢をもってやることが大切だと思っています。

――海外に行ってみて、「世界」との距離感というものは日本にいたころと変わりましたか?

来シーズンはチャンピオンズリーグに出るチャンスもあるし、そういう意味では日本にいたときよりも確実に距離は近い。そういう舞台で結果を出せれば、もっと大きなチャンスがあるかもしれないですし、本当に現実的な部分でチャンスがあるので、それは常に意識しています。

――やっぱりチャンピオンズリーグは特別ですか?

チャンピオンズリーグは本当に楽しみです。絶対に出たいし、予選からビッグクラブと当たる可能性だってあるわけですし、楽しみですね。

――南野選手が考える「スポーツの魅力」は何ですか?

やっぱり、気持ちいい汗を流すのはいいですよね。健康にもつながるし、どんな形であってもスポーツは楽しさがないと続かないと思うので、そういうなかで楽しく汗を流すっていうのはいいことだと思います。

――サッカー以外で、やってみたいスポーツや興味のあるスポーツはありますか?

オーストリアではスキーを毎日のように放送していて、興味が生まれましたし、自分もやってみたいなと思いました。スキーやスノボはこれまであまり見ることもなかったですし、もちろん、やったこともなかったんですけどね。

ウェアの重要性を語る南野選手
ウェアの重要性を語る南野選手

――スポーツをするときはウェアも重要だと思います。今日はクーリング性、通気性に優れたアディダスの『climachill』を着用していますが、印象はいかがですか?

着た瞬間、一番最初に感じたのは、このアイスドットがあるおかげで本当に快適だし、汗をかいていてもすぐに体温が下がるので、すごく驚きました。

――トレーニング中、体を適度に冷やすことは、どんな影響を与えるのでしょうか?

特に夏場は重要ですね。プレーに影響する部分ですし、こういうウェアを着ているか着ていないか、細かいところで差が出てくると思います。汗をかいたときもそうですし、着心地も良くてよく伸びるし、汗もすぐ乾くから、体を動かす側からすると、とても重要なポイントです。そういう意味では「練習着の条件」という点で完璧だと思いますね。

――デザインの印象はいかがですか?

いつもどおり、かっこいいですね。個人的に青が好きなのと、黒でワンポイントが入っているところも気に入っています。このオフのトレーニングもこれを着て行います。

迎える欧州挑戦2年目のシーズン、20歳の若武者のさらなる飛躍に期待したい。

OneNews編集長

編集者/KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンで雑誌『ワールドサッカーキング』、Webメディア『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。『ウォーカープラス』編集長を卒業後、動画の領域でウォーカー、レタスクラブ、ザテレビジョン、ダ・ヴィンチを担当。2022年3月に無料のプレスリリース配信サービス「PressWalker」をスタートし、同年9月、「OneNews」創刊編集長に就任。

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