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復帰を焦らない内田篤人の静かな意欲。「サッカーをやりたいなと思うようになってきています」

浅野祐介OneNews編集長

シャルケに所属するサッカー日本代表の内田篤人が、自身初の単独写真展「ATSUTO UCHIDA PHOTO GALLERY supported by HUBLOT」の開催を記念して、写真展初日の12月23日に都内でトークショーを行った。「恥ずかしい」という写真展のこと、膝のこと、実戦復帰への考え方、トークショーでのファンとの交流や報道陣との掛け合いの中、“らしい言葉”で自身の想いを表現した。

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「サッカーをやりたいなと思うようになってきています」

「(足の状況は?)いい感じだと思います。検査も筋力的には戻ってきてますし、炎症もだいぶいい感じですし、いい状態です。あとちょっと。まあ、その『あとちょっと』が長いんでね」

「(ストレス解消法は?)リハビリは同じメニューの繰り返し、進歩がないのできついんですよ。だから、すごくストレスがたまるので、でも、JISS(国立スポーツ科学センター)で、日本でやっているときは清武(弘嗣)もいたので、彼と一緒にご飯を食べにいったりですね。それくらいです」

「(好きな食べ物は?)サザエが好きです。焼いて醤油で食べる、つぼ焼きが好き。サザエのつぼ焼きを食べるのがストレス解消ってことで」

「(結婚して変わったことは?)僕、人と生活できるのかという不安があったんですけど、意外と楽しく、のほほんと暮らしています。ご飯もちゃんと作ってくれてます」

「(日本代表の試合は見ていますか?)見てない。『見た』って言うと『どうですか?』と聞かれるので見てないです。90分、(見るのは)長いなと。ハイライト的な、ゴールシーンとかを見てます」

「(自分がピッチにいるのと外から見ることの違いは?)上から見てれば『こうやればいいんだろう』とかわかるけど、相手もがんばっているし、そこで勝ちを取っていくのは大変なこと。勝負事はわからないから、(メンバーには)がんばってもらいたいですね」

「(3月にはワールドカップ予選もありますが、日本代表への想いは?)まずこのケガを治して、チームで試合に出て結果を出さないとその先はないから、ちゃんとケガを治してチームで活躍することかなと。代表戦の時期はあまり意識していないです。大きいケガだし、(ケガの)場所がよくないので。本当に、膝をケガするのやめたほうがいいです。サッカー選手もそうですけど、腰、膝、雨降るだけで痛いですから。朝起きて『膝が痛いな』と思ったら、たいてい雨が降っているし、おじいちゃんみたいな、そんな感じです」

「(2015年3月10日に行われたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦第2戦の)レアル・マドリー戦を最後に(試合に)出ていない。だいぶ長いこと離れているので、(出場給などの)お金が入ってこない(笑)。サッカーをやりたいなと思うようになってきています」

「(写真展について、たくさんのパネルがありますが、率直な感想は?)撮ったのは覚えているんですよ。撮影した場所がすごく遠くて。朝、6時に集合で。自分で車で行ったんですよ。近いのかなと思ってナビを入れたら、何時間とか出て(笑)。あれも撮ったなと覚えています」

「(お料理の写真もありますね)お料理したことないですけど、周りの人にも『がんばれ、がんばれ』と言われて、がんばりました。(お気に入りは?)料理している写真の帽子はいい角度だなと思います。あれくらいフワフワしているほうが帽子は好きです。やべっ、時計を言うべきだったね(笑)」

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「(時計へのこだわりは?)もともと時計はしなかった。携帯(電話)を見れば時間がわかるし、お腹が減ったら昼だし、眠くなったら夜だろうという考えだったんですけど、今は毎日、ですね。僕は黒が好きなので、今日している時計も真っ黒だし、中の機械がけっこう見えるので、そこがいいなと思います」

「(腕時計は左腕にするんですね?)考えたことなかったけど、両腕にします?(笑)」

「(2016年には、HUBLOTとのチャリティー活動の一環で時計のデザインにも関わるそうですが?)スパイクの色とか、靴の色とかはやったことがあるんですけど、自分で時計をデザインするのはイメージできないので、勉強しようかなと。センスのある人にいろいろなアドバイスを聞きながら、ちゃんとやります。カッコイイのがいいですね、あまりギラギラしすぎない感じの」

「(クリスマスの思い出は?)小さいとき、お父さんが『二階にサンタクロースがプレゼントを置いたんじゃないか』と言われ、お姉ちゃんと一緒に二階に上がるとき、怖くて、『サンタクロースがいたらどうしよう、お姉ちゃん先に行ってよ』と。(サンタクロースには会えましたか?)会えませんでした。(プレゼントは)ラジコンだったんですけど、電池が入ってなくて動かせない」

「(年頃のクリスマスの思い出は?)サッカーしかしてないですもん、ひたすらサッカーで、淡い思い出は全然ないですね。クリスマスとかあるから面倒くさいですよね。プレゼントと買わなきゃいけないから」

「(ヨーロッパの、ドイツのクリスマスは?)ドイツのクリスマスマーケットはすごいです。でも、他に場所がないんでしょうね、ドイツは何もないから」

「(クリスマスマーケットは?)友達が遊びに来ていたので連れていったことはあります」

■ファンからの質問コーナー

Q.Jリーグがもっと盛り上がってほしい。海外リーグに比べて、Jリーグに足らないものは何だと思いますか?

「Jリーグと海外の違いは、『歴史』って言ったら一言で終わっちゃうんですよね。鹿島にいたときに、柳沢(敦)さんが帰ってきていて、海外との違いを聞いたら『歴史』って言われて、『えー』と思ったんですけど、一言で片付けるなら歴史かなと。あとはお金ですね。やっぱり、選手は素直ですから、お金のあるところに良い選手がいきますし、盛り上がり方も違う。そこは、もうしょうがない」

ファンからの質問を選ぶ内田選手
ファンからの質問を選ぶ内田選手

Q.今年、一番楽しかった出来事は?

「リハビリ中に清武とよく一緒にご飯を食べに行ったんですけど、帰りにカラオケに行こうとなって、清武のレパートリーを全部、僕が覚えました。『ドラえもん』の歌を歌ってた。『ドラえもん』の映画の歌。古いほうじゃなくて」

Q.ジュビロ磐田と清水エスパルスについて、J1に昇格したジュビロにエールをお願いします。

「静岡県民の僕としてはジュビロもエスパルスもJ1にいてほしいですけど、ちょっと清水がね……。ジュビロは名波(浩)さんが監督で、試合に出ちゃえばいいのにって思っちゃいますけどね。やれそう。名波さんが監督なら、ちゃんと言うことを聞きますけどね。聞いたとおりにやればうまくいくんだろうなと」

Q.好きな時計の好みは?

「黒」

Q.幸せだなと感じるのはどんな時ですか?

「清武とカラオケに行ってるとき」

Q.今までに行った中で一番良かった国と行きたい国は?

「カナダのビクトリアが良かったです。綺麗だったし、大会(ベスト16入りした2007年U-20ワールドカップ)の結果もそこそこ良かったので、いい思い出がありますね。言ってみたい国は……HUBLOTってどこですか? (スイスです、を受けて)スイスですね(笑)」

Q.リハビリ中に我慢していることは?

「がまんしてることはないかな。練習中に我慢しているから、他への余力がないから何もできないですし。リハビリはリハビリで楽しまないとやっていけないですから」

Q.今年のクリスマスプレゼントは?

「買ってないし、買わないと思いますけど。あっ、HUBLOTの時計を買います(笑)」

Q.いろいろな国で日本人選手が活躍していますが、次に挑戦したいリーグは?

「スペインで活躍できる日本人は……難しいと思います。スペインって、みんなうまいんですよ。日本人って技術あるって言うじゃないですか、でも、技術が比じゃない。日本人と被ってる要素がかなわない、スペインの中に入ると。乾とかうまいですけど、あれくらいの選手がたくさんいるのかなと。だからがんばってほしい。最近試合に出てるし、結果も出てるし、このままがんばってほしい。僕は興味はありますけど、僕一人でどうこうできる問題じゃないですしね」

Q.サンタクロースからプレゼントもらえるなら?

「HUBLOT。スイスのサンタさんにお願いします」

Q.今年一年を漢字一文字で表すと?

「『膝』。(膝のケガという)いい友達ができたので、うまくつきあいます」

Q.Jリーグで気になる選手は?

「鹿島から選びたいな。柴崎岳くん。もうちょっと自分を出せるようになれば、僕もああいうタイプでしたけど、もうちょっと必死感が出れば面白くなるかなと。引いてサッカーをしていますし、性格もそうなんですけど、彼に余裕があるからできちゃうんですけど、もっと追い込まれるような環境に飛び込めば必死にやるしかないので、そうすれば変わってくるかなと」

Q.モチベーションが下がることはありますか? その場合はどうしますか?

「モチベーションが下がることはあります。モチベーションをずっと一定に保つのは無理なんで、やる気がないときはやらなくていいと思っています。モチベーションは勝手に上がってくるものだと思っているので、自分で上げるっていうのはあまり。気が乗らないときはさぼっちゃう。そうでないと、やっていけないです」

Q.サッカー選手以外でカッコイイと思う人は?

「市原隼人さん。昔、ご飯を食べていたら、同じ店にいらっしゃって、僕のことなんて知らないだろうなと思ってこそこそこそとしていたら、こっちに来てくれて、わざわざ帽子を取って『市原隼人です』と挨拶をしてくれて、『は!』ってなりました(笑)。たぶん、むこうは覚えていないと思いますけど」

Q.一番好きなクリスマスソングは? できればワンフレーズだけでも歌ってください。

「絶対歌わないから、死んでも歌わないから。僕にとってクリスマスソングは、広瀬香美さん、あと中島美嘉さんの『雪の華』。(ワンフレーズだけでも歌っていただけますか? どんな歌でしたっけ?)絶対に歌わない。これだけカメラ回ってて、空気読めって思われるかもしれないけど、絶対に歌わない(笑)」

「たくさんカメラが回っていたので、今日はちょっとまじめに答えましたけど、カメラが回ってなければもう少し笑いもね。膝のこともありますし、プレーしていないので、あまり人前に出るのもどうかなと思いますけど、早く良くなって、復活したいと思いますので、よろしくお願いします」

トークショー後に報道陣への取材対応

トークショーの後は報道陣への取材に対応し、今年一年を振り返りながら、復帰についての考えを語った。

「人がたくさんいてびっくりしました。本当はプレーしているのが一番いいですけど、これも仕事ですから、ちゃんとやりました。筋力的にも強くなっているので、問題ないというか順調に来ているので、あとはいつ合流できるのかというのをチームと話し合いながらですね。

「(自分の中での復帰時期は?)日によって腫れ方も痛みの強さも違うので、(復帰時期をというのは)難しいですね」

「(今年1年はどんな年だったか?)プレーしていくうちに膝が動かなくなっていくのもわかりましたし、筋力が落ちていくのもわかりましたし、年齢的には今、一番いいときなんだけど、その一年をだいぶ棒に振ったなと思います」

「チャンピオンズリーグ圏内に入りたい。(日本代表は)予選もありますし、まずはチームで活躍して呼んでもらえるように、がんばります」

「(シャルケからメニューを渡されているので)それをこなしつつ、膝周りの筋力を上げつつ、です。筋力に関してはW杯前よりも全然強くなっているので、自分でもびっくりするくらい」

「(復帰時期については)それを決めると、どうしても膝の都合に関係なく決めちゃうことになるので、あまり言わないように、様子を見ながらですね。(膝の状態も)日によって違うので、俺も分からない」

「大きなケガで、場所も良くなかった。前十字(靭帯の負傷)とかならみんな経験しているけど、膝蓋靭帯は人間の中で一番大事みたいで、症例も少なくて難しいらしいので」

「強度を上げると夜腫れたり、痛みも出るけど、それも込みで強くしていかなきゃいけないので、そこはうまくトレーナーと話し合いながら、どこまで痛みを出していくのかはやりながらですね。そこは本当に難しい。やりすぎないし、痛みを出しすぎない。(完治というよりは付き合っていく感じ?)そんな感じですね。徐々に減らしていく感じで」

「(年でいうとシャルケは7年目)必要としてもらって契約延長の話しもしてもらう感じなので、自分がやってきたことを無駄にしたくないし、作ってきた立場というか居場所なので大事にしたいなと」

「(写真展は嫌でしたか?)嫌でしたよ。恥ずかしさもあるし、スポーツ選手ですから。でも、そこはこれも仕事なので。持ってきてくれた仕事に『嫌だ』というつもりはないですし。恥ずかしいので、時間があったら、暇だったら見に来てください」

「(シャルケでのチャット企画については?)『来い』って言われて呼び出されてやるだけなので、最近、うまく利用されているかなと(笑)。『そろそろ』と言おうかなと。ウケ狙い、『内田、ボケろよ』って質問が多いので、普通の質問でお願いします」

「(サガン鳥栖の監督就任の可能性が報じられるフェリックス・マガト氏について)もし来るのであれば、ガッツリやってほしい。(現在は直接の関係がない立場上)あんまり言えないけど、俺は来てほしい。来て、本当に衝撃を与えてほしいですね、日本に。でも、いい選手が絶対誰か出てくるから」

右膝の回復は順調。だが、大切なのは、内田の言葉どおり「ちゃんと治す」こと。「サッカーをやりたいなと思うようになってきています」という内田篤人、その完全復活の日を焦らずに待ちたい。

OneNews編集長

編集者/KKベストセラーズで『Street JACK』などファッション誌の編集者として活動し、その後、株式会社フロムワンで雑誌『ワールドサッカーキング』、Webメディア『サッカーキング』 編集長を務めた。現在は株式会社KADOKAWAに所属。『ウォーカープラス』編集長を卒業後、動画の領域でウォーカー、レタスクラブ、ザテレビジョン、ダ・ヴィンチを担当。2022年3月に無料のプレスリリース配信サービス「PressWalker」をスタートし、同年9月、「OneNews」創刊編集長に就任。

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