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鼻の下が伸びたユチョンと、ワイルドなハ・ジョンウ。あなたならどっち?

渥美志保映画ライター

この間、新大久保に行ったら、なんだか怖いおじさんたちに羽交い絞めにされ、体育館の裏につれていかれました。噂に聞く「韓流狩り」です。「非国民と呼ばれたくなきゃ、これを踏んで見せな!」とおじさんたちが私にピシャ!と叩きつけたのは、2PMと東方神起の写真です。んがぁぁぁああ!踏絵かぁぁぁぁ!とバタつくうちに、うっかり2PMは踏んでしまいましたが、東方神起だけはどうしても踏むことができず、結果、顔面に赤いマジックで「キムチ」と大書されてしまい落すのに苦労しました……てな具合の真っ赤なウソがホントに聞こえちゃう(聞こえてない)嫌韓ムード満点な昨今。ぜんぜん足りてませんね、韓流のイケメンが。というわけでGWはまっこり片手に補給しに行くってのがいいんではないかしら。ちょうどいい映画が2本も公開されちゃってるんですよ、お客さん!

●パク・ユチョンの『海にかかる霧』

というわけで1本目は、元東方神起のメンバーで俳優としても大活躍、この映画で韓国内の映画賞を総ナメにしたパク・ユチョンの『海にかかる霧』です。トレイラーは、なんかむっさい映像ですが、こちら。はい、どん!

物語は食い詰めた漁船の船長が、中国からの密航者を運ぶ危ない仕事に手を出すところから始まります。ところが慣れない仕事ゆえのトラブルが続出し、挙句にものすごい大惨事が発生。船長が船と船員を守るためにとった方法で、さらなる陰惨な事態へと発展してしまうんですねー。

たちこめる深い海霧で船が夜の海に閉じ込められた極限状態で、船長は船を恐怖で支配し始めます。何度も自分たちを危機から救ってきた船長を信頼し、やがてその狂気に飲み込まれてゆくオッサン船員たちの中、ユチョン演じる新人のドンシクだけが新人であるがゆえに正気を保ち、周囲との対立を深めてゆきます……てか、あんた殺されちゃうよ!ユチョン!

映画のジャンルはスリラーで、怖いっちゃかなり怖いんですが、ユチョンファンにはドンシクと密航者の少女ホンメのラブストーリーという視点で見るのがおすすめ。童貞丸出しの田舎青年がカップ麺とかプレゼントしながら鼻の下を伸ばして女子ににじり寄り、下心を見透かされて「アニエヨ!(違います)」と慌てるとか、極限状態にあるまじき和み感。ことが緊迫してからの、彼女を必死に守り続ける姿の不器用なまっすぐさにもキュン!としますねー。

東方神起時代のキラキラ感はどこへやらの、体重増&ぱっつん前髪&もっさり猫背という「純朴青年モード」だし、もちろんラブシーン@ボイラー室(狭くて無理め!ってのが萌えますね)もがっつりありますから、アイドルから完全脱皮と言っていいと思いますが、それが世界でも注目を集めるポン・ジュノの製作映画なんだから、ファンとしては喜ぶべきことでしょう。

さてすべてが終わった後、ふたりの恋がどうなるのか、これがまたものすごく切なくて、素晴らしい余韻を残します。ユチョンファンじゃない人も韓流じゃない人も、絶対に満足できる必見の映画です。

公式サイトはこちら!

●ハ・ジョンウ&カン・ドンウォンの『群盗』

こちらは『悪いやつら』『テロ、ライブ』が最高だったハ・ジョンウと、兵役明けのカン・ドンウォン、話題のW主演作。民から搾取する汚職官僚たちを相手に暴れまわる義賊集団と、史上最悪の権力者の戦いを描いた、笑いあり涙ありの痛快エンタテイメント作品です。トレイラーはこちら、はい、どん!あ、こっちも映像むっさいなー

ハ・ジョンウ演じるトルムチは、朝鮮時代の最底辺の階層、白丁(ペクチョン)と呼ばれる屠畜人。その地の権力者、両班(ヤンバン=貴族階級)のカン・ドンウォン演じるチョ・ユンに雇われて殺しを請け負うものの失敗。家族を皆殺しにされ、自身も処刑寸前で義賊集団に救い出されます。ドルムチは復讐を心に誓って、仲間に加わります。

さて見どころはといえば、なんといってもキャラ立ちしたイケメン二人の対決でしょう。

前2作のスーツ姿から一転、スキンヘッドで髭面のハ・ジョンウは、白丁らしいゴツい肉切り包丁の二刀流。これをズバッと両脇から取り出す場面は、どこかアメコミヒーローみたいなカッコよさ!軍団の先頭にたって切り込んでいく姿の迫力といい、馬を駆って荒野を走る姿といい、仕留めた両班のちょんまげを楽しそうに切り落とす姿といい、豪快さと男臭さ満点の骨太男です。

一方、スラリとした身体で舞うような華麗な刀捌きを見せるカン・ドンウォンは、ギラリと光る怜悧なナイフのような男。父を殺して手に入れた権力を使って、貧乏人から搾取しまくり邪魔者は片っ端から殺しまくり、これっぽっちも心を痛めない極悪人です。もともとマンガみたいな顔した人ですが、戦ううちにハラリと顔にかかる長髪がこれまた邪悪なまでの美しさ。でもその邪悪さが、実は愛を求めた寂しさからとか、きぁあああああ、そういうのずーるーいー!と“かわいそう萌え”の私には悶絶のキャラに仕上がっております。

公式サイトはこちら!

ということで、韓流イケメン三昧のよきGWをお過ごしください!

映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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