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4DX&爆音で見なきゃ損!英国紳士コリン・ファースの、クレイジーな100人斬りアクション!

渥美志保映画ライター

この夏の個人的大傑作は『マッドマックス 怒りのデスロード』で、やっぱ映画は振り切らないと!といたく感動し、そんならここで書けよ!って話ですが、なんかバタバタしててサボっちゃったわけで、まあ世の中みんなが書いてたしいいじゃないか!!今回はその罪滅ぼしっちゃなんですが、まさに振り切った映画『キングスマン』をご紹介します。昨年世界中で大ヒットしたスパイ・アクションで、監督はあのクロエ・グレース・モレッツを大ブレイクさせた『キック・アス』のマシュー・ヴォーンで、おしゃれで軽妙で大仰でアホらしい初期の007シリーズにオマージュを捧げまくった、楽しさ満載の作品。映画ガラパゴスである日本だけなぜか今年公開ですが、「007」イヤーであると同時に「スターウォーズ」イヤーでもある今年、公開されるのはなかなかいい企画だったのではないか!と個人的には思っとります!なぜか!知りたいなら読んでみようじゃないか!

まずは物語。17年前に死んだ父親が実はスパイだったと知った不良少年エグジーは、父の同僚だったハリーに誘われて、どの国にも属さない最強のスパイ軍団「キングスマン」の採用試験に参加します。一方ハリーは、多発する有名科学者の拉致事件の裏に、IT長者ヴァレンティンによる世界規模のテロ計画があることを知り……とまあ、ザックリ言って、成長した新人スパイが悪をやっつけるお話ですが、そこは年端もいかない女の子に凶暴な殺し屋を演じさせた監督、一筋縄ではいきません。

生まれながらの深刻顔
生まれながらの深刻顔

見どころのひとつは、やっぱりアクション。最高だったのはコリン・ファース演じるハリーの教会での100人斬り!!スマホから出る特殊な電波が人間を凶暴化させ、田舎町の教会で何の脈絡もなく壮絶な殺し合いが始まるというものすごくクレイジーなシーンですが、そのアクションのキレキレぶりったらあなた!(早送り的な匂いはするけども!(^^;))ブリジット・ジョーンズの不器用な彼氏とか、ゲイの大学教授とか、どもりのある内気な英国王とか演じてきたコリン・ファースが、ノリノリの音楽にのせて飛んで跳ねて、拳銃を撃ちまくるわナイフで刺すわ斧を振り下ろすわ!キメキメのスーツ姿でザックザク殺しますが、あまりのスピード感とテンポの良さで血生臭さを感じてる暇がない!ヒットガールよろしくあまりのことに笑ってまうわ!!これを『マッド・マックス』同様の4DX&爆音上映するっていうんだから、どうなのあなた!見ないの!見なくてていいの?!って話ですよ!!(力入り過ぎ)

一方エグジー演じる新星ターロン・エガートン君は、抜群の身体能力を使ったアクロバティックなアクションがたっぷり。不良仲間に追われて逃げるパルクール(ってこういうの)もすごいし、敵の義足の殺し屋ガゼルとの『マトリックス』をパロッた空中戦の一騎打ちもいい。この手のスーツ系スパイ映画で、ターロン君の裸を見せるシーンをちゃーんと作ってるのも、マシュー・ヴォーンのエラいとこ。素晴らしい細マッチョです~。てか、ターロンくんはTシャツだけのほうが断然カッコいいし、スーツ姿を際立たせるためか不良時代はシケた服着せられてますから、ここは動画を見て頂きましょう。

60歳越えのSLJの赤いキャップがバカっぽくていい!
60歳越えのSLJの赤いキャップがバカっぽくていい!

映画ではサミュエル・L・ジャクソンが悪役ヴァレンティンで登場するのですが、コリン演じるハリーとの会話でスパイ映画について「昔の007が好きだ。シリアス過ぎないし、ヴィラン(悪役)がいい」と言ってる場面があるんですね。これはまさにマシュー・ボーンがこの映画でやりたかったことだと思います。ここまでコリン&ターロンのことを書いてきましたが、この作品の最大の見どころは、荒唐無稽な設定と展開、悪役を中心としたコミカルなキャラ、そしてぎっしり詰め込まれた小ネタの数々につきるんですね~。

兵器のカッコよさよりもエグジーの変すぎる服が気になる…
兵器のカッコよさよりもエグジーの変すぎる服が気になる…

例えば、キングスマン本部の入り口はロンドンのサヴィル・ロウ(ジェームス・ボンド御用達の仕立て街)にある高級スーツ店で、その地下には刃物を仕込んだ靴や拳銃&防弾機能付きこうもり傘みたいなバカバカしくてイカした秘密兵器がずらりと並び、さらに郊外の本部の屋敷へ直行する最新風の電車が通ってるとか、んなアホな!という設定が目白押し。ディナーにマック出すくせして究極のエコ野郎という“おバカアメリカン”なヴァレンティンや、その秘書で(すっごい切れ味の刃物を仕込んだ)義足の殺し屋ガゼルなどの悪役キャラクターも秀逸です。パロディも満載で、冒頭で拉致される科学者がなぜマーク・ハミル(『スターウォーズ』のルーク・スカイウォーカー役)?と思っていたら、ラストで登場するヴァレンティンの秘密基地での戦いの場面は『スターウォーズ』とそっくり

映画ファンなら見るたびに新しいコネタを発見できるし、そうじゃなくてもコリン・ファースの大げさな深刻ぶりとか、大名優マイケル・ケインのペラッペラな信念のなさとか、サミュエル・L・ジャクソンのドクター・イーブル並みのマヌケ悪ぶりとか、アホなおっさんたちに笑っちゃうと思います。

そうそう、エグジーの相棒犬の名前「JB」の名前の“三段オチ”もシャレてました。名前の由来は有名スパイ、と聞けばイギリスの……って誰もが思うところですが、実はJBってたくさんいるんです。映画を見て「おお、確かに!」って笑ってほしいな~。

『キングスマン』

9月11日(金)より全国にて公開。

http://kingsman-movie.jp/

(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation

映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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