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『スターウォーズ フォースの覚醒』を見る前に! 見た気になれるSW【その2「帝国の逆襲」】

渥美志保映画ライター

さて前回の【EP4「新たなる希望」】に引き続き、今回は【EP5「帝国の逆襲」】。個人的にシリーズの中で一番好きな作品です。さっそくいってみましょう。(当時の予告編はこちら!

【EP4】でデス・スターを破壊されキレちゃった帝国軍は、宇宙中に無数の探査ドロイドを放ち血眼で反乱軍の本拠地を捜しています。冒頭に登場は帝国軍の宇宙戦艦、変形ひし形のスター・デストロイヤー『フォースの覚醒』の予告編で残骸となって砂漠に転がっているやつですね。一方その本拠地・氷の惑星ホスでは、「いい加減ジャバに借金を返しに行かないとヤバい」と戦線離脱を表明したソロが、レイア姫とケンカの真っ最中。「素直に私のそばにいてほしいって言えよ」「誰があんたなんか!二枚目気取りの恥知らず」。憎まれ口の応酬ですが、二枚目気取りとかレイア姫、あんたアホか!っていうくらい、この時のハリソン・フォードは尋常じゃなくカッコいい。【EP5】の主役は、間違いなくハン・ソロです。

やがて惑星ホスに帝国軍の急襲、反乱軍は散り散りに撤退しますが、ルークはすぐに合流地点には向かいません。夢枕に立ったオビ=ワンに「沼地の惑星ダゴバで、マスター・ヨーダに会え」と言われたからです。クローン戦争を生き伸びたジェダイ、シリーズ最高のアイドル「ヨーダ」がついに登場です。【新三部作】の威厳ある賢者ぶりを知っていると、ルークの懐中電灯を「わしのだ!わしのだ~!」とR2-D2と奪い合う場面とか、長い隠遁生活で赤ちゃん返りか?!とか思いますが、800年もジェダイを育ててきた経験から出る含蓄ある名言もたまりません。例えば初対面のルークが「ヨーダという偉大な戦士を捜している」というと「戦いで人は偉くはならん」。ヨーダの元でジェダイの修行を始めたルークは、フォースで沼に沈んだ小型船を引き上げられません。それでも「できぬと思うからできぬのだ」とヨーダはプッシュし、「じゃあやってみますけどね」とぶーたれるルークを、さらに「やるか、やらぬか、だ。試しなどいらぬ」と一喝します。「ジェダイ」は、時代劇ファンのジョージ・ルーカスが武士をイメージして、「ジダイ」→「ジェダイ」と名付けたもの。特にヨーダは『7人の侍』のリーダー、志村喬のイメージそのままの人格者です。素敵~。

さてここの修行の地の一角に「悪の巣」という邪悪に満ちた場所があります。ヨーダに促されて足を踏み入れたルークは、暗示される自身の運命に戦慄します。「武器は必要ない」と言われたのに、武器を持って入っていくルーク。そこにダース・ベイダーが表れ、恐怖したルークはライトセーバーでその首を落とします。ところが仮面の下から出てきたのはルーク自身の顔だったのです!恐怖や怒りなど、負の感情に飲み込まれて相手を殺してしまえば、人間はダークサイドに堕ちてゆく。SWに貫かれる哲学がここにあります。

【EP5】には、ヨーダ以外にも【新三部作】に引き継がれる重要キャラが何人も登場します。ダース・ベイダーが仕える銀河帝国の皇帝「ダース・シディアス」もそのひとり。彼の命を受けたベイダーは、ジャバがソロにかけた賞金を狙う賞金稼ぎたちに、帝国軍に渡せばさらに金を払うと約束。その中には【EP2】でその生い立ちが描かれる、仮面の賞金稼ぎ「ボバ・フェット」もいます。

惑星ホスから一緒に逃げたソロとレイアですが、途中「壁ドン」的な感じでとうとうキスしちゃったりして、相変わらずレイアはお姫様然として、ソロが頑張ると「褒めてあげます」的態度ではありますが、かなり軟化しています。帝国軍との追いかけっこを逃げ延びた二人は、ソロの昔なじみでヤクザ男爵のランド・カルリシアンが治める惑星ペスビンへ。レイアが「信用できるの?」と聞けば、「ぜんぜん。でも帝国を心底憎んでる」と答えるところが、いかにもソロ(笑)。基本的に一匹狼で、誰も信じません。

そしてその予感は的中。一足先にベイダーが来ていたのです。かつてはいかさま師だったランドですが、行政官となった今は帝国に協力せざるをえなかったんですね。

最初に見つかって破壊されるのはC3PO。このドロイド、毎回破壊されちゃあ他の部品とツギハギにされちゃうのがお約束。『フォースの覚醒』でも違う腕くっつけてる画像がありますから、また破壊されるんでしょう。メカニックとして超一流のチューバッカがこれを回収し修理する過程もすごく面白い。おしゃべりクソ野郎のインテリドロイドと、寡黙で情に厚い野獣の組み合わせもなかいいコントラストです。

ランドの裏切りで帝国の手に堕ちたソロは、炭素冷凍にされて賞金稼ぎボバ・フェットに引き渡されます。その寸前、チューバッカに「姫を守れ」と言い残すソロに、レイア姫は思わず「愛しています」。それに「知ってたさ」と答えるソロの何というカッコよさ!これ、ハリソン・フォードの提案で入ったセリフなのですが、シリーズ最高のソロらしいセリフです。これがなかったら、その後のハリソン・フォードのキャリアはなかったんじゃないかっていうくらいの!(熱くなりすぎ)

さてベイダーが彼らにこだわったのは、行方不明のルークをこの場所におびき寄せるためでした。ベイダーは彼をダークサイドに引き入れようとしているんですね。そしてついに初めて対決するルークとベイダー。でも修行半ばのルークが老練なベイダーに敵うはずもなく翻弄されます。ベイダーは「恐怖をコントロールできるか!怒りを吐き出せ!ワシを憎めば勝てる」としきりにルークの黒い感情をあおりますが、ベイダーに片腕を落とされてもそれに乗りません。しびれを切らしたベイダーは「私がお前の父だ」と、ついに真実を告白。衝撃のまま排気口へと吸い込まれていったルークのもとに、駆けつけたのはレイア。帝国の横暴に嫌気がさして再び寝返ったランドとともに途中まで逃げていたレイアが、ルークのフォースを捕えたのです。実は彼女は……とこんなところで、【EP5】は終了です。

さてさて続きは次回【EP6】で!砂漠の惑星タトゥイーンでのソロ救出作戦!さらに密かに進んでいたデス・スターの再建を、反乱軍は阻止できるのでしょうか!乞うご期待!

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映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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