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佐藤浩市からジョージ・クルーニーまで、大人の男の魅力炸裂!の5月の『絶対面白い映画』6本

渥美志保映画ライター

今月は2日遅れの3日になってしまいましたー、ちょっと忙しかったんですねー。

ま、あそんなややユルめな感じで「今月の絶対面白い映画」をご紹介します。GW寸前に公開された『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を避けているのか、大きな洋画作品の公開が少なく、いわゆるミニシアター系が多い今月のラインナップ。こういうタイミングこそ、個性的な作品を見てほしいなー。ということで、6本をご紹介!もしかしたら明日には7本になってるかも!ということで、いってみましょー。

『64 ロクヨン 前編』

何やかやと振り回され、サンドバッグになりっぱなしの広報室の面々
何やかやと振り回され、サンドバッグになりっぱなしの広報室の面々

たった7日間で終わった昭和64年に起き、未解決のまま少女誘拐殺人事件「64(ロクヨン)」。かつて刑事部で事件の担当刑事だった三上は、14年後の今、警務課広報室長となり、組織の理不尽の中で四苦八苦する毎日を送っていた。目下の難題は、ある事件の加害者の匿名報道を巡る記者クラブとの激しい対立、そして時効が1年後に迫る「64」の被害者、雨宮宅への、警察庁長官の慰問の実現だった。だが事件で人生を狂わせた雨宮の孤独に、実のない慰問を切り出すことができない。そんな中、「64」の捜査にまつわる重大な秘密が明らかに……。体面や出世に終始する上層部、現場の刑事部と事務方の警務部の対立、警察と記者の意地の張り合いなど、本質を見失った組織の中で、血の通った人間たらんとする三上の葛藤を描く「前編」は、男泣きの佐藤浩市にグッとくるサラリーマンも多いはず。瑛太、坂口健太郎、綾野剛、窪田正孝など、若手イケメン達もガチで頑張ってます~!

『64 ロクヨン』

5月7日(金)公開

公式サイト

『ヴィクトリア』

映画の魅力が全然伝わりませんねー。もっといい写真ないのかな~
映画の魅力が全然伝わりませんねー。もっといい写真ないのかな~

ベルリンを舞台に、少女ヴィクトリアが経験する悪夢の2時間を、リアルタイムの1カットで描く斬新な1本。一か月前にマドリッドからやってきたばかりヴィクトリアは、夜更けのクラブで地元の若者4人と出会う。警戒しながらもひと時の孤独を癒すように打ち解けてゆく彼女だったが、あるトラブルをきっかけに、思いもよらない事態に巻き込まれてゆき……。急展開で銀行を襲うハメになったヴィクトリアの心情が、恐怖、緊迫、解放、興奮、絶望へと移り変わる様が、畳みかけるようなカットなしの撮影のおかげで、我がことのようによりリアルに観客に迫ってきます。そして、やっぱり女は強い!と実感すること間違いなし!『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、“1カット風”でしたが、この作品は本物のリアルタイムの1カット!これホントにすごいことなので、ぜひぜひ体験してほしいです!

『ヴィクトリア』

5月7日(土)より公開

公式サイト

『カルテル・ランド』

熱狂で迎えられるハット姿のおじさん、自警団のミレレス医師
熱狂で迎えられるハット姿のおじさん、自警団のミレレス医師

アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に、金と暴力でその地を支配する麻薬組織(カルテル)と、それに対抗する自警団の戦いの実態を追ったドキュメンタリー。メキシコ、ミチョアカン州で、自警団を組織した医師ホセ・ミレレスは、国境の町を巡り市民の参加を呼びかける。彼らは多くの町をカルテルから解放し勢いづくが、やがて巨大化する自警団の中に腐敗がはびこり始め……。ハードなハリウッド映画を見ているような、これが事実とは信じられない展開と映像の数々に戦慄し、呆然しとします。この春の公開した『ボーダーライン』という作品がありますが、あれのリアル版をメキシコ側から描いた感じですので、あの作品と併せてみるとこの立体的に見えるかもしれません。本当に決死の取材で、よく無事に作れたなあと思う渾身の作品です。

『カルテル・ランド』

5月7日(土)公開

公式サイト

『ヘイル!シーザー』

わがまま女優のスカヨハちゃんと、彼女に手を焼く何でも屋、ジョシュ・ブローリン。
わがまま女優のスカヨハちゃんと、彼女に手を焼く何でも屋、ジョシュ・ブローリン。

古代ローマを舞台にした歴史大作『ヘイル!シーザー』の撮影中に、主演の大スターウィットロックが誘拐される。ハリウッドの何でも屋マニックスは、身代金10万ドルを工面すべく奔走するが……。ハリウッドの黄金期50年代を舞台に描く、コーエン兄弟の最新作。当時全盛だったミュージカル映画によくある場面を再現したシーン、例えばプールで鮮やかな水着を着た女の子たち(withスカーレット・ヨハンソン!)が作る万華鏡の様な隊形を俯瞰で撮ったり、酒場でたくさんのイケメン水平たち(withチャニング・テイタム)が歌い踊ったり、そういう場面だけでお腹いっぱいになれるくらいの楽しさ。田舎者の若手人気スターの治らないズーズー弁に、巨匠監督がキレるという、コーエン兄弟得意の「訛りネタ」も爆笑。ジョージ・クルーニーはじめ、キャストもすごーく豪華です。

『ヘイル!シーザー』

5月13日(金)より公開

公式サイト

『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』

画像

幼い頃に父を亡くして以来、感情を失った資産家ヤーコブは、老いた母を見送った後に自殺を実行するが上手くいかない。そんなある日、希望する本人の依頼で“あの世行き”を実行してくれる謎の会社を発見。時間と場所を限定しないキャンセル不可の“サプライズコース”を依頼するが、棺桶売り場で出会ったアンネと、初めての恋に落ちてしまい……。トボけた“オジさんお坊ちゃま”ヤーコブと、なぜかスーパードライビング・テクを持つヘンテコ美女アンネの恋は、ウブなやりとりの可愛さや、散りばめられたブラックな笑いが楽しい。迫りくる殺し屋たちとのカーチェイス、捻りの効いた展開、「人間はどう死ぬべきか」なんて哲学などを散りばめつつ、たどり着くラストはチャーミングそのもの。ヨーロッパ貴族の豪華なお屋敷や、ヤケに粗末に扱われるヤーコブ所有の名車の数々も見もの。

『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』

5月28日(土)より公開

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『マイケル・ムーアの世界侵略のすすめ』

なんだかすごいアップですけど。
なんだかすごいアップですけど。

権力者にアポなしで突撃し、時に相手に辛辣に切り付け、時に笑いものにしてきたマイケル・ムーアの最新作。「世界各国の“価値あるもの”を略奪するぜ」と様々な国を訪れ、アメリカに取り入れたい“制度”や“価値観”を収集するドキュメンタリー。「小学校給食がフルコースのフランス」「大学の学費無料のスロベニア」「麻薬使用の許可で麻薬犯罪を減少させたポルトガル」「イタリアの長期有給休暇」「勤務時間外に仕事の連絡を取ることが違法はドイツ」などなど、アメリカの常識では考えらえれないことが機能している現状にビックリ――っていうか「日本がアメリカの常識でできてる国なんだな」と思い知り、「それだけが正しいわけじゃないんだな、っていうかむしろ日本のほうがヤバいのでは?」と痛感します。マイケル・ムーアのわざとらしいツッコミ小芝居に笑いながらも、すごーく勉強になりました。

『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』

5月27日(金)公開

公式サイト

今月も楽しい映画ライフを!

(C)2016 映画「64」製作委員会

(C)MONKEYBOY GMBH 2015

(C)2015 A&E Television Networks, LLC

(C)Universal Pictures

(C)2015 SURPRISE FILMPRODUCTIE VOF / VARA / PRIME TIME / RIVA FILM / FASTNET FILMS

(C)2015, NORTH END PRODUCTIONS

映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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