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主演最新映画が直前で公開延期!不運の王子様、パク・シフを応援したい!

渥美志保映画ライター
かーわーいーそーうー!!!

今月の【韓国早耳情報】は、今月23日から放送が開始されるパク・シフの主演ドラマ『町のヒーロー』をご紹介します。

パク・シフといえば先週公開されるはずだった最新映画『アフター・ラブ 君の声が聞きたい』の公開が延期になったばかりで、ファンの方々は「……(;_;)」な状況になっているんじゃないかと思います。予告編(韓国版)はこちら。

共演のユン・ウネの衣装デザイン盗作騒動や映画祭出品の事情などで中国、韓国での公開がどんどん延期になり、その煽りを受けた今回の決定だったようですが、なんだかパク・シフって、本当に不運だなーって思います。そもそもこの中韓合作映画自体、その背景には2013年の女性スキャンダルがきっかけで韓国で活動がしにくくなったことがあります(後に「美人局」的な脅迫だったことが判明!こらー!)。その人気を不動のものにしたドラマ『逆転の女王』ではギャラの未払い(韓国では意外とあるけども)にも遭っているし、今度は“もらい事故”みたいな映画の公開延期だし、なんて可哀想な……と思いつつ、怒られることを承知で書きますけれど、私は不幸な男がすごく好き。

ということで今回は、彼の3年ぶりのドラマ復帰作『町のヒーロー』を、猛然と応援してみたいと思います!ということで、まずはこちらを!

●見どころその1 謎のヒーロー、その実態は、復讐を誓う元スパイ

これまでも様々な役を演じてきたパク・シフですが、今回の役は初挑戦となる韓国中央情報局の元スパイ役です。名前はペク・シユン。物語は、ある作戦の失敗を水面下で処理するために3年間服役し、出所したところから始まります。作戦で弟分ジフを失っているシユンは、中央情報局を退社し「これからは気楽に生きる」と宣言したその裏で、ジフを殺した「刺青の男」への復讐を誓い、さらに内部の裏切りがあったとみて、真相を探り始めます。

スパイ時代のパク・シフ。クールな表情がすてき!
スパイ時代のパク・シフ。クールな表情がすてき!

この作品のユニークなところはそのシユンが、小さな町のある店「Bar隣人」を買い取るところ。シユンはこの店の“ある秘密”を自分の復讐に利用しようと思っていたのですが――逆に妙なことに巻き込まれてゆくんですね~。それこそ、この店を含む周辺地域の再開発問題。ヤクザを使った暴力的な嫌がらせが頻繁に起こる中、Barのアルバイトであるジョンヨン(少女時代のユリ)が襲われたのを知り、我慢できなくなったシユンは帽子と黒いマスクで顔を隠して悪党を撃退。その噂が噂を呼び、いつしか「町のヒーロー」として弱き人々の守護神となってゆくのです。

普段は“育ちのいい王子様”然としたにこやかで爽やかな笑顔のBarのオーナー、でも何かが起きればワイルドな正義のヒーローに早変わり。2バージョンのパク・シフが見られるのは、ファンにはたまりません。

●見どころその2 アクションで鍛えた肉体!

パク・シフは、ノーブルでクールなイケメンぶりと同時に鍛えた肉体も大きな魅力で、さらにそれを惜しげもなく見せてくれるサービス精神でも知られています。先行放送で初回をご覧になった方はご存知だと思いますが(初回から!)、今回もその期待を裏切らず、存分に披露してくれているのも大きな話題です~。

パク・シフのいいところは、勿体ぶらないところですから!
パク・シフのいいところは、勿体ぶらないところですから!

このドラマの監督は、実はチャン・ヒョク主演のドラマ『推奴(チュノ)』という作品と同じ人。『推奴(チュノ)』は韓国ドラマ屈指の名作なのですが、男の人の筋肉美と肉弾アクションをものすごくカッコよく撮ったドラマで、それを見たパク・シフは「ぜひこの監督のドラマに出たい」と思っていたとか。

というわけでドラマの中では、パク・シフのカッコいい、気迫たっぷりのアクションシーンが目白押し。靴ヒモなどの小物使い、1人対vs10人の壮絶バトル、再開発を進めるグループの社長ユン・サンミン(ユン・テヨン)との直接バトルなど、シリーズ最大の見どころです。

この人悪い人!
この人悪い人!

こうしたアクションシーンも吹き替えナシ、すべてパク・シフ自身がやっているとか。買い取った「Bar 隣人」の奥の部屋で、ひとりこっそりと鍛えている場面も多いのですが、このあたりもパク・シフの筋肉がただの「見せ筋」でないことが分かる場面。生傷がたえない彼を手当てしようとしたジョンヨンが、その傷だらけの身体を見て「ハッ…」とする場面があるのですが、こういうのも筋肉好きの女子にはたまらないシーンですよね~。

少女時代のユリ。少女時代で見るよりも、ぜんぜん可愛いような。
少女時代のユリ。少女時代で見るよりも、ぜんぜん可愛いような。

●見どころその3 韓ドラらしい「ブロマンス」にグッとくる!

シヨンには中央情報局時代のチームメイトで、結婚寸前にまで行ったソアン(チェ・ユンソ)という恋人がいるのですが、作戦の失敗で彼女の前から姿を消したきり。いまだ中央情報局にいる彼女との関係、そこに裏切りがあったのかなかったのかも含めた部分が、サスペンスフルなラブラインになっているのですが――

恋人ソアン役のチェ・ユンソ。『シークレット・ガーデン』でヒョンビンの妹役
恋人ソアン役のチェ・ユンソ。『シークレット・ガーデン』でヒョンビンの妹役

それよりも、私個人として注目してもらいたいのは、シユンを中心とした男同士の関係「ブロマンス」です。

その筆頭が、警察官試験に落っこちた就職浪人チャンギュ(イ・スヒョク)との関係です。シユンの出所で、3年前の作戦の関係者への監視を強める中央情報局。チャンギュはその孫請けとして、局の退職者の尾行と行動確認を(相手にバレバレで)していた青年です。頭はあんまりいい方ではないけれど運動神経が抜群、正義に憧れるチャンギュは、シユンが「町のヒーロー」であることを知り「ヒョン(兄貴)」と慕うようになります。

前回の【韓国早耳情報】では、韓国男子は「年下女子にオッパ(お兄ちゃん)と言われるのが大好き」と書きましたが、同時に年下男子に「ヒョン(兄貴)」と呼ばれるのも大好き。そして呼ばれたからには、絶対に弟分を守るのが韓国男子の「男気」です。図体は大きいのにヘタレで空回りばかりのチャンギュを、長い目で見守りながら、そのピンチには駆けつけて守るシユン、そしてチャンギュが下の世代から「ヒョン」と呼ばれる男になってゆく過程は、男の絆に弱い私にはたまらない展開でした。

端正な顔立ちのイ・スヒョク。今回はヘタレ男を可愛く演じています。
端正な顔立ちのイ・スヒョク。今回はヘタレ男を可愛く演じています。

チャンギュを演じるイ・スヒョクは、個人的にもイチオシの若手俳優です。これまでは『根の深い木 世宗大王の誓い』(傑作!)の冷徹な武人や、『サメ 愛の黙示録』(傑作!)のクールな捜査官などを演じてきましたが、今回はこれまでとはまったく異なる、思いっきり等身大の役どころ。こんな長身の超絶イケメンなのにこんなに可愛いボケ役がハマるなんて、今後が楽しみな俳優になってきたなーと思います。

その他にも情報局の弟分ジヌ役のチ・イルジュ、刑務所で知り合った弟分ヨンジン役のイ・ハウなど、ちょいちょいイケメン登場しますので、こちらも要チェックです。

●見どころその4 金か正義か?を問う勧善懲悪ドラマ

さてラストには、ドラマの物語的な見どころを。このドラマのテーマは「金か正義か」の二極対立です。この10年、韓国に通っていて気づくのは、古い町並みとか市場がどんどんなくなっていることです。その裏返しなのか、映画やドラマでも「大家が店子に無断で建物を売った」とか「激化する反対運動で警察と住民が衝突」みたいな「再開発トラブル」みたいなネタもすごーく多く、このドラマはそれを真正面から取り上げているんですね。でもってそこでどうしても出てくるのが、やっぱり「金」の問題です。

ドラマは「ペク・シユンvs権力者」という構図ができているようで、実のところペク・シユン側の仲間たちも、様々な事情から「札束を前に心が揺れまくる」という展開が何度も何度も出てきます。これがリアルな人間の弱さだけに本当に切ないのですが、それでも弱いからこそみんなで一緒に助け合い、金に物を言わせる「権力」を、どうにかこうにか駆逐してゆく。こうあってほしい現実をベタに描いた、王道の勧善懲悪のドラマになっていると思います。

ということで、映画はまだしばらくお預けですが、まずは来週から始まるドラマで、返ってきた不運の王子、パク・シフをご堪能下さいませ!

パク・シフのインタビューはこちら!

2016年5月23日(月)より、CS放送「Mnet」にて放送スタート

本放送(月)(火)午後10:00~11:15

再放送(火)(水)午前8:00~9:15 (土)午後1:00~3:30(2話連続放送)

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映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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