『Facebook』プロフィールをトリコロールにする前に考えたいこと

『Facebook』プロフィールのフランス国旗カスタマイズ画面

11月13日にフランス・パリで発生した同時多発の爆発・銃撃テロ。オランド大統領は「ISの犯行」だと言明。IS側も犯行声明を発表、「フランスが十字軍の作戦への参加を続ければ、今後も最大の標的の一つとなる」と今後もフランスを攻撃対象にすることを明言している。

日本国内、特にネットでは、Yahoo!ニュースが特集ページを開設(参照)、『niconico』のニコニコニュースでもトップに「パリ同時テロ」のピックアップが用意されている(参照)。筆者はこういったニュースのほか、主にフランスやアラブ圏をウォッチし、活発に発信をしている『Twitter』アカウント(特に@nofrills氏や@cyberbloom氏を挙げておく)から情報を得ていた。こと日本においては、これまでの災害・事件同様に『Twitter』が冷静に事態を把握する一助として機能したように思える。

『Facebook』は現地の人々の安否確認のための専用ページを用意している(参照)ほか、日本時間14日夜の段階でプロフィールに「パリ市民の安全と平和を願うプロフィール写真を設定しよう」としてフランス国旗を重ねるカスタマイズを実装。日本人でも数多くが利用している。青・白・赤のプロフィールが、厳戒態勢で外出も制限されているパリ在住の人々を勇気づけることもあるかもしれない。

しかし、個人的にはプロフィールにトリコロールを重ねることは、熟慮の上、慎重を期して選択をすべきことのように感じる。

1月の風刺週刊誌『シャルリー・エブド』襲撃事件の後、フランスだけでなくネット上で「Je suis Charlie(私はシャルリー)」という画像の投稿が相次いだ。『Twitter』のハッシュタグ「#JeSuisCharlie」は550万回にのぼったという。一方で、ISやイスラム過激派側も『シャルリー・エブド』のイスラム風刺画を激しく非難し、「聖戦の大義」を主張するアカウントが多数存在していた。今回も「パリは燃えているか」というアラビア語のハッシュタグをつけてテロを称揚するツイートがいくつも流れていることを忘れるべきではない。

テロリズムは許さない。これは民主主義国家として大前提であるということを踏まえた上で、アメリカやロシアと同じくフランスも介入し、IS支配地域やシリア領で空爆を加えていることも事実だ。そこで非戦闘員の犠牲者が出ていることや400万人以上が難民となっていることを忘れるべきでない。

そういった、「それぞれの善悪」が激突している中、フランス側へ「安全と平和を願う」という論理は、欧米側に立った主張であるということを踏まえる必要がある。『Facebook』がアメリカのサービスであることも忘れるべきではない。

このプロフィールをトリコロールにするまでには、「試す」のワンクリック、「プロフィールに設定する」のツークリックで簡単に設定することができる。もともとパリ市民軍の軍旗だったトリコロールに自分の顔やシンボルを重ねるのには、カジュアルすぎるのではないだろうか。『Facebook』のアーキテクチャに「乗せられて」はいないだろうか。そう自問してから選択すべきなのではないか。

筆者個人としても、日本人として今回亡くなった人々への哀悼とパリの安全と平和を願う。同時にイラク・シリア・クルド自治区といったアラビア各地で非戦闘員が血を流さずに済む日が訪れることも願いたい。テロが報復攻撃につながり、それがさらにテロを呼ぶという負の連鎖が続いている以上、自身の旗幟を鮮明にすることには慎重になりたい。当事者国でない国籍の人間に求められているのは、そういった冷静さと、自分たちが普段と変わらぬ姿を示すことなのではないかと思う。