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おらが町に“ルチャ”が来る!~プロレスで国際交流という試み~

藤村幸代フリーライター
三浦・メキシコ文化交流イベントに出場するルチャドール&ルチャドーラたち

〈海の町をルチャドール&ルチャドーラが急襲?〉

神奈川県は三浦半島の最南端に位置する三浦市。都心から約90分と比較的気軽に足を伸ばせるビーチリゾートとして、またマグロやスイカ、大根など海の幸、山の幸の宝庫として、知る人ぞ知る地方都市のひとつだ。

のんびりとした海の町というイメージのこの町に、6月26日(日)、ルチャリブレの賑やかな一団が押し寄せる。三浦市とメキシコの文化交流イベント「Miura a la Mexicana~ミウラ アラ メヒカーナ~」の中で、ルチャの大会が開催されるのだ。

「在日本メキシコ大使館と三浦市、双方から後援をいただくことができました。予想外に規模が大きくなり驚いています」

そう語るのは三浦市観光協会会長で、今回のイベントを主催する「三浦メキシコ国際交流実行委員会」のメンバーでもある石毛浩雄さんだ。

1万キロ近くも離れた三浦とメキシコを結びつけたのは、市内でメキシコの地酒を置く飲食店の店主、朝倉久さん。メキシコでの滞在経験を持ち、長らく日本とメキシコの文化交流に尽力してきた。そんな朝倉さんの“メキシコ愛”に地元有志が賛同し、今回のイベントが実現した。

三浦市、在日本メキシコ大使館が後援する国際交流イベント
三浦市、在日本メキシコ大使館が後援する国際交流イベント

〈町に最後にプロレスが来たのは30年前……〉

「実行委員会のメンバーは農家や建築業、古道具屋、製麺業とさまざま。直接メキシコと関わりのある人間はいませんが、三浦には海の玄関口である三崎港があり、船でヨーロッパやアメリカと行き来してきた歴史がある。実感として世界との距離は意外と近いのです。考えてみれば、メキシコも海を挟んで“隣りの国”ですからね(笑)」(石毛さん)

「三浦でメキシコの伝統文化を楽しもう」をスローガンに、イベント当日はメキシコの伝統ダンスや民芸品の展示・販売、また食文化の交流として三崎まぐろラーメンやタコスなどの屋台も並ぶ。

そんな中、イベントの目玉として開催されるのが「ルチャリブレ」なのだが、「地元の人間で、ルチャを生観戦した人はおそらくいないと思います」と石毛さんは言う。

華麗な空中殺法や「ジャベ」と呼ばれる独特の関節技が特長のルチャリブレは、メキシコのエンタテインメントにして庶民に長らく愛されてきた伝統文化だ。ただ、プロレスになじみのない人々にとって、目にする機会はほとんどないだろう。

「プロレス自体、三浦市に新日本プロレスや女子プロレスが巡業に来たのは30年も前ですし、都内まで観戦に行く人もなかなかいない。地元の人たちから『面白かったよ、また見たい』という声が上がれば次回もぜひ呼びたいですが、今の時点ではどんな反応があるのか……楽しみである半面、全く想像がつきません」(石毛さん)

会場となる旧三崎中学校体育館とイベント実行委員会のメンバーたち
会場となる旧三崎中学校体育館とイベント実行委員会のメンバーたち

〈8月には「三浦プロレス」も旗揚げ〉

三浦とメキシコより、実は三浦とプロレスの距離のほうが遠いのか。

ただ、「予備知識がなくても誰でも楽しめるのがルチャの良さ」という意見もある。現地メキシコでルチャ観戦経験のあるフリーライターの高崎計三さんは言う。

「ルチャは良い者・悪者がはっきり分かれているので応援しやすい。現地では『ルード』と呼ばれる悪者が暴れ回ると、リングサイドまで行って怒るおばあちゃんもいますし、反則に対する観客のブーイングもとにかく熱いです。派手な技も多いので、初めて見た人でも堪能できると思います」

奇しくもこの8月には、プロレスラー矢口壹琅を代表に地元密着型団体「三浦プロレス」も旗揚げされるという。国際交流の重要な橋渡し役として、町おこしのツールとして、海の町でプロレスが果たす役割は決して小さくない。

フリーライター

神奈川ニュース映画協会、サムライTV、映像制作会社でディレクターを務め、2002年よりフリーライターに。格闘技、スポーツ、フィットネス、生き方などを取材・執筆。【著書】『ママダス!闘う娘と語る母』(情報センター出版局)、【構成】『私は居場所を見つけたい~ファイティングウーマン ライカの挑戦~』(新潮社)『負けないで!』(創出版)『走れ!助産師ボクサー』(NTT出版)『Smile!田中理恵自伝』『光と影 誰も知らない本当の武尊』『下剋上トレーナー』(以上、ベースボール・マガジン社)『へやトレ』(主婦の友社)他。横須賀市出身、三浦市在住。

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