「Launch Pad」女性経営者がベビーシッターサービスで初優勝。空飛ぶ車などIoTが上位に
スタートアップの登竜門「Launch Pad(ローンチパッド)」が6月12日に行われ、ベビーシッターサービス「KIDSLINE」が優勝しました。
KIDSLINEを運営するカラーズを立ち上げた経沢香保子さんはトレンダーズを創業した女性経営者。数々の起業家を輩出しているLaunch Padでの女性の優勝は初めてです。経沢さんには総額2,000万円相当のサービスの利用権などが贈られました。2位は「Safie」と「TreasureBox」、4位は「USERDIVE for Apps」、5位は「SkyDrive」。
Launch Padはインフィニティ・ベンチャーズLLP主催。過去にクラウドワークス、スマートエデュケーション、freeeなどが優勝。緊張感溢れるプレゼンは毎回感動的で、毎回Launch Padを見にIVSに行っているといっても過言ではないぐらい楽しみにしています。審査員である、小澤隆生さん(ヤフー)、勝屋久さん(投資家)らの面白コメントも楽しいですが、他のビジネスコンテストと違うのは、聴衆も経営者や投資家だということです。「2015 Spring Miyazaki」の登壇企業は13社で、IoT(Internet of Things)や人工知能など、多様なサービスのプレゼンが行われました。
1)世界最小の空飛ぶクルマ「SkyDrive」(ARTIVATOR)
未来感たっぷり。プロペラと3輪自動車を組み合わせたもので、大型の人が乗れるドローンという感じ。zenmonoでクラウドファンディングを行い、250万円を集め、既に他のビジネスコンテストでも優勝している。IoTは強そう。開発は愛知県にある某自動車会社員。「東京オリンピックでSkyDriveで聖火台に火を付けたい」。
2)カメラとスマホのホームセキュリティ「Safie」(セーフィー)
スマートフォンとネットワークカメラを組み合わせた見守り、防犯サービス。こちらもIoTで既に発売中、ソネットが出資。こちらも、MAKUAKEでクラウドファンディングを行い800万近く集めている(なんと達成率は1134%!)。ハードではなくソフトで、様々なカメラと接続可能で、ドライブレコーダーに組み込むことで、雨の状況や渋滞情報も分かる。
3)あなたの旅の専属ガイドアプリ「TRIPAN(トリパン)」(Orange)
知識を活かした「旅のバーチャルガイド」。現在開発中。ガイドはHISと連携。
http://tripan.guide/index.html
4) 登山・アウトドアの新定番「YAMAP & YAMAP Gears」(セフリ)
携帯の電波が届かない場所・状態でもスマホで現在位置が確認できる地図アプリ「YAMAP」と登山アウトドア製品の比較評価アプリ「YAMAP Gears」。YAMAPも既に他のビジネスコンテストでも優勝している。
YAMAPは30万ダウンロード。利用歴とGearsのレビューを連動させ、信頼性を担保する。
5)今夜なにする?を解決するアプリ「LIVE3」(3.0)
近くで行われているライブやイベントを提供、友人を誘ったり、チケットを購入したりできる。イベント市場は拡大しているが、売り切れているチケットは2%しかないため、マッチングを行なう。
6)転職相談アプリ「ジョブクル」(スマイループス)
スマートフォンで手軽に転職エージェントに相談できるアプリ。転職希望しながら転職しない人は519万人。スマホで希望年収や地域を登録すると、自分に合うエージェントがマッチングが行われる相談できる。問い合わせ件数は2,789件。「いい案件があれば転職したい」という潜在需要を掘り起こしている。
7)世界一シンプルな資産運用ツール「ZUU Signals」(ZUU)
ユーザーの保有株や注目株に関するニュースをキュレーション。赤・青・黄の信号で保有株の状態を知らせる。証券の新規口座開設は30-40代が中心で投資未経験が70%。分かりやすくすることで、個人の金融資産1700兆円を動かす。
8)世界標準の資産運用とリスク管理をあなたの手に「WealthNavi(ウェルスナビ)」(ウェルスナビ)
最先端の金融アルゴリズムを駆使し、富裕層でなくても世界標準の資産運用とリスク管理を活用できる。金融資産や行動を登録するとリスク許容度を判断し、予想リターンを提示する。
9)世界唯一のネイティブアプリUI解析ツール「USERDIVE for Apps」(UNCOVERTRUTH)
http://userdive.com/apps/?language=ja
ネイティブアプリ利用ユーザーの動きを、ヒートマップ、動画、動線で分析するツール。導線ではどこで離脱するか、ヒートマップではタップや画面の長さを確認、対象を購読者のみに絞り込むユーザーフィルターも用意。位置情報を利用したロケーション分析で、クーポンマーケティングに利用できる。
10)人工知能を使ったweb分析サービス「AIアナリスト」(wacul)
Google Analyticsのアクセス解析データと連携、サイト内の課題を自動的に発見して改善提案を行なう。Google Analyticsの利用率は6割あるが、サイト改善に使っている企業は少ない。人工知能は、解決の余地があること、データ的に優位な部分をピックアップ。利用は月3万円。リリースして1ヶ月で400サイトを分析。
11)人工知能型適正教材「TreasureBox」(COMPASS)
学習塾「COMPASS」が開発。高校生で7割の生徒が受業についていけない状況を解決するタブレット型教材。7倍の速度で学習。ベネッセなどに導入。
12)保育や遊びを楽しく記録するみんなの図鑑アプリ「ほいくずかん!」(キッズカラー)
保育士や幼稚園教諭のための遊びのレシピ。子どもと楽しんだ遊びや製作物などを写真に撮って保存できる。写真を登録するとバッジがもられる。ダウンロード数1.2万。
13)日本にベビーシッターの文化を「KIDSLINE(キッズライン)」(カラーズ)
ラストはトレンダーズを創業した経沢香保子さんが立ち上げた育児サポートサービス。3人の子供を育てた自身の経験を生かし、女性が子供を産み、仕事を続けられる社会を実現する。シッター利用は値段が高くて不安が多かった。登録しているシッターは面談し、評価を導入して安心を担保、カレンダーで空き状況確認は24時間可能、カードでも支払える。
審査員コメント「空飛ぶ車、ZUU、キッズラインに入れた。どうしてもやりたいという気持ちが動くプレゼンが良かった」(クラウドワークス吉田浩一郎)、「SafieやYAMAP。カメラのイノベーションはもっとある」(じげん平尾丈)、「平均2点、最高点4で空飛ぶ車。やりたいという気持ちは大事だが、プロダクトの作り込みが甘いところがあった」(鈴木健)など、IoT関連に高い評価があった。
追記:6月12日に「Launch Pad」の結果を反映させました。