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ネット発、最強のヴォーカリスト、ぐるたみんとは? 〜自作曲と歌唱を武器に第2章スタート〜

ふくりゅう音楽コンシェルジュ
ぐるたみん

ネットや動画サイトで注目を集めてきたアーティストの活躍が続く2016年の音楽シーン。そんななか、自身の歌声を“楽器”と言い切り、声とメロディーを最大限に活かした楽曲を生み出す次世代アーティスト“ぐるたみん”をご存知だろうか? 

ぐるたみん
ぐるたみん

2011年にリリースしたデビュー・アルバムが10万枚を超えるセールス、総動画再生回数1億回を超え、Twitterフォロワーを27万5千人を抱えている実績を持つ彼が、メジャーレーベル<UNIVERSAL-W>への移籍をきっかけにネットシーンを飛び出し、自作の作詞曲と歌唱を武器に第2章の活動をスタートする。歌い手出身として人気を集めながらも、それ以前は、作詞曲をてがける作家事務所出身でもあったというクリエイティヴな才能を持ち合わせている逸材だ。

世代感の断絶など、シーンが細分化したクローズドなコミュニティ化しているなか、ネット発のクリエイターがどうやって一般的なマーケットへステップアップできるかは大事なテーマだ。そこで、ネット発、最強のヴォーカリストぐるたみんに話を聞いてみた。

●全曲自作の作詞曲と歌唱を武器に、第2章の活動をスタート

――4月20日(水)にリリースしたシングル『GIANT KILLING』が移籍第1弾作品となりますが、3パターン(通常盤、初回盤A、初回盤B)でリリースされ、合計5曲が収録されています。それぞれ曲の良さに驚かされました。満足度の高い楽曲に仕上がったんじゃないですか?

ぐるたみん:もともとカップリング曲にも、しっかりこだわりたいタイプなんです。せっかく買ってくれた人たちを最大限楽しませたいっていう気持ちが強くて。なので5曲とも全部違う雰囲気にしてみました。

――今回、ネット系で影響力の強かったEXIT TUNESから、大手メジャーレーベルUNIVERSAL-Wへ移籍となりましたが、意気込みを教えてください。

ぐるたみん:ぐるたみんとしては第2章、自分としては第3章がスタートみたいな気分ですね。もともと僕は作家事務所に所属していて楽曲を作っていたんです。でも、当時はまったく見向きもされず、音楽ってつらいなと思ったことがあって。もう辞めようかなと思っていたときにニコニコ動画に出会って、“歌ってみた”というカテゴリーを知って投稿をはじめました。もともとバンドもやったことなかったんですよ。カラオケは大好きでしたけどね。

――そもそも音楽との出会いは?

ぐるたみん:うちの父親がジャズが好きでピアノを弾いていて。家にピアノとシンセサイザーがあったんです。KORGのM1ってやつですけど。それにシーケンス機能がついていて小学生の頃にピコピコ遊んでました。ちょうどゲーム音楽が好きだった頃ですね。独学で曲を作ったりしながら、そんな遊びが中学生ぐらいまで続きました。

――いまに通じる、歌モノのポップミュージックを作ってみたきっかけは?

ぐるたみん:中学高校になると周りがロックを聴くようになってきて。ランキング上位のCDを、毎週レンタル屋で借りて聴きまくってました。僕は男性アーティストが好きで、妹は女性アーティストが好きだったので、家にどんどん音源がたまっていくんです。実家は音楽がずっと流れていた家でした。親の部屋からも、妹の部屋からも、僕の部屋からも常に音楽が流れていました。そんな影響が大きかもしれません。

「GIANT KILLING」MVより
「GIANT KILLING」MVより

●フェスへの出演、そして武道館公演を目指す

――ぐるたみんさんにとって、今に通じる音楽活動のきっかけとなったネットシーンはどんな存在だったりしますか?

ぐるたみん:実は作家事務所に入ったきっかけも、ネットに曲をアップロードしたことがきっかけだったんです。すべてがネットからはじまっていますね。

――ニコニコ動画で、ぐるたみんの存在が急激に広がっていったことをどんな風に思っていましたか?

ぐるたみん:それこそ、ちょうど作家事務所での活動が思うようにいかなかった頃で、音楽を辞めようと思っていたタイミングでした。でも、歌を歌ってアップしただけなのにみんながコメントしてくれるんですね。リアクションを頂けるのが嬉しくて。あ、みんなといっても最初は36個のコメントとかでしたけど(苦笑)。でも、だんだんすごい増えていったんです。

――そして、「only my railgun」の動画では、“歌ってみた”として史上2番目の再生回数となる800万回を超えるなど“歌い手”のパイオニアになったのですね。そんなネットシーンから、さらに外の世界を目指されようと思ったのはどうしてですか?

ぐるたみん:ネットシーンから広げられないのって何かが足りてないからだと思うんですよね。やっぱり人間なんで成長するために頑張る努力が必要だなと感じていて。移籍をきっかけに、さらに音楽活動を突き詰めて次の景色が見られたらいいなって思っています。

――2016年、ぐるたみんの新章が始まっていくうえで目標を教えてください。

ぐるたみん:ファンのみんなを武道館に連れていきたいなって思ってます。フェスにも出たいですね。

●1曲目:GIANT KILLING

――そして完成した移籍第1弾のリード曲「GIANT KILLING」は、エモーショナルなロックチューンに仕上がりました。サウンド的にも決め所が多数仕掛けられていて、快楽ポイントを刺激してくるナンバーです。

ぐるたみん:順番的には最後にできた曲なんです。ぐるたみんらしさを突き詰めたテーマ曲ですね。第2章に向けて「みんなであの場所にいこう!」という勢いあるメッセージです。僕は、歌唱的にイの文字がすごく抜けるんです。だからイ行で韻を踏むことにこだわりました。その方が気持ちよく聴こえるはずなんですね。

――自分の声という楽器の特性をよくわかったうえで、作家として形にしていったのですね。そこが他のアーティストにはないポイントかもしれませんね。ヴォーカルを楽器として捉える感じとかユニークですね。

ぐるたみん:よくヴォーカリストの人がうまくなりたいと思って練習するじゃないですか? 僕はうまくなろうと思ったことはたぶん一回もないんです。でも、良い音を出したいと思ってずっと歌ってきました。韻を踏んで気持ちよいリズム、グルーヴを生み出したいんですね。

――ぐるたみんらしさのひとつである、エモなロックサウンドが生まれたきっかけは?

ぐるたみん:単純にこういう楽曲が好きなんですけど、ころころ展開が変わるみたいなのはニコニコ動画の影響が大きいですね。音楽って、リズムが音楽の基盤にあると思っているんです。リズムさえあれば音楽になるんですよね。なので、それを踏まえながら韻を踏んで気持ちよいリズム、グルーヴを生み出したいんです。海外のポップミュージックが一番こだわっているのってそこですよね。

●2曲目:飛行少女と僕

「飛行少女と僕」MVより
「飛行少女と僕」MVより

――そして、2曲目「飛行少女と僕」の疾走感や物語性にもやられました。歌詞のストーリーテリングな展開が絶妙で、このセンスが今って感じがしました。

ぐるたみん:“もしもシリーズ”というファンタジーを取り入れたストーリー仕立ての曲です。今は動画の時代だと思っていて、絵が見えるストーリーを大事にしたいと考えて作りました。この曲は“もしも空が飛べたら”というテーマで、今後も、“もしも世界が救えたら”とか、ワクワクするようなテーマをいろいろ考えています。実は、絵コンテを自分で書いて楽曲イメージを作っているんですよ。合計100枚くらいになったかな。自分の中で『GIANT KILLING』は、これまでのぐるたみんを表現したエモーショナルな曲で、『飛行少女と僕』は、新しい発想で生まれた疾走感溢れるロックナンバーですね。

――絵も描く人なんですか?

ぐるたみん:「絵コンテをSNSにアップしていいですか?」ってスタッフに聞いたら、「それはNGです!」って言われましたけどね(苦笑)。

――ははは(笑)。いまの時代、音楽を聴いているというより、スマホの画面で音楽を観るほうがあたりまえですもんね。なので発想として正しいと思います。

●通常盤カップリング曲:あのねのね

ぐるたみん:自分の中では「GIANT KILLING」は“THEぐるたみん”な代表曲で、今までやってきた作風の集大成という感じでした。「飛行少女と僕」は新しい発想で生まれた曲なんです。「あのねのね」(通常盤カップリング曲)は、絵コンテまではいかなかったんですけど、ストーリー仕立てで考えて生まれた曲なんですね。

――「あのねのね」は、日常を感じさせる電話の呼び出し音というギミックから入りますもんね。あれも没入感があるというか。世界観の提示がユニークです。

ぐるたみん:あの時代の携帯電話を知っている人だったら伝わりますかね? 歌詞で表現してるのですが、23時の着信音からはじまる4時間の時間軸で展開する物語です。ビート感、ノリを大事にした、完全にロックフェスでのイメージですね。細かく、いろんなこだわり要素を詰めこんだ自信作です

●初回盤Aカップリング曲:いつかまた会うその日まで

――初回盤Aには「いつかまた会うその日まで」という泣きのバラードが収録されています。聞かせどころ満載のナンバーですね。

ぐるたみん:ハスキーっていうか、なかなか自分の声みたいなハイトーンのヴォーカリストって最近いないんですよ。なので、声を最大限に活かしたバラードを作ってみました。お別れと再会をイメージしてます

●初回盤Bカップリング曲:JUMP UP

――初回盤Bには「JUMP UP!!」が収録という。これも完全にライブなノリのダンサブルなナンバーですよね。

ぐるたみん:完全にライブがテーマな楽曲です。武道館でライブをやることがひとつの目標なので、そんな絵が見えるナンバーですね。それこそ、タイトル通りにライブでみんなをジャンプさせるための曲です。狙い通りのキラーチューンが作れたと思っています。

『GIANT KILLING』MVより
『GIANT KILLING』MVより

●第2章とともに始まるリリース&全国ツアー

――4月29日(金)に赤坂BLITZでおこなう、『GIANT KILLING』リリース記念ワンマンライブ 『LIVE-G 2016 GIANT KILLING PRESENTED BY UNIVERSAL-W』も楽しみですね。

ぐるたみん:そうですね。そして、6月からは全国ツアーもはじまります。力を入れすぎてからまわりしないようにしたいですね。この春から、ぐるたみん第2章がはじまりますけど、新しいマーケットも見据えながら、これまでやってきたことも大事にしたいと思っています。だからこそ「GIANT KILLING」のようなぐるたみんらしい曲を1曲目にしてます。なので、みんな信じてついてきてくれたら嬉しいです。ライブで待っています!

『GIANT KILLING』初回盤A
『GIANT KILLING』初回盤A

ぐるたみん オフィシャルサイト

http://www.glumusic.net/

音楽コンシェルジュ

happy dragon.LLC 代表 / Yahoo!ニュース、Spotify、fm yokohama、J-WAVE、ビルボードジャパン、ROCKIN’ON JAPANなどで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)布袋寅泰、DREAMS COME TRUE、TM NETWORKのツアーパンフ執筆。SMAP公式タブロイド風新聞、『別冊カドカワ 布袋寅泰』、『小室哲哉ぴあ TM編&TK編、globe編』、『氷室京介ぴあ』、『ケツメイシぴあ』など

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