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またしても2試合の欠場を決めたタイガー・ウッズのこれからはどうなる!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
戦線復帰したばかりのウッズが再び欠場へ。未来はどうなるのか(写真/舩越園子)

タイガー・ウッズの今後はどうなるのか。またしても世界のゴルフ界とゴルフファンが不安を覚えている。

いやいや、一番不安なのはウッズ自身。来週出場予定だったジェネシスオープンを欠場すると発表。その翌週のホンダクラシックも出場しないことを決めた。

ウッズは先週、欧州ツアーのドバイ・デザート・クラシックに出場したが、2日目のスタート前に腰に痙攣を起こして途中棄権したばかり。

そのため、来週と再来週の米ツアー2大会出場に対して、ドクターストップがかかったことを自身のホームページで明かした。

【焦り?逸る気持ち?】

2015年8月のウインダム選手権を最後に戦線離脱していたウッズが、1年5か月ぶりに米ツアー復帰を果たしたのは、つい先日。1月下旬のファーマーズ・インシュアランス・オープンだった。

会場となったサンディエゴのトーリーパインズはウッズが過去8勝を挙げた相性のいいコースゆえ、「ひょっとしたら、いきなり優勝争い?」などとファンの期待は膨らんでいた。

トーリーパインズでは着実な前進を感じたと語っていたウッズ(写真/舩越園子)
トーリーパインズでは着実な前進を感じたと語っていたウッズ(写真/舩越園子)

残念ながら結果は予選落ち。だが、初日より2日目のほうが「格段にすべてが良くなった」「体が以前より強固になったことを実感できた」と、ウッズはそれなりの手ごたえを感じ取った様子だった。

そんなふうに着実な前進を口にして笑顔を見せていたウッズだが、内心は焦っていたのだろうか。逸る気持ちが無理なスケジュールを組ませてしまったのだろうか。

ファーマーズ・インシュアランス・オープン後の日程は、故障から復帰したばかりの“病み上がり”のウッズには、ハードすぎるものだったのだと思う。

【ハードすぎたスケジュール】

トーリーパインズのあるサンディエゴからプライベートジェットでロサンゼルス空港に飛んだウッズは、そこでドナルド・トランプが発した大統領令に対する抗議デモに遭遇。

ロサンゼルスからドバイへはプライベートジェットではなく不慣れな一般航空会社の便で飛ぶ予定だったウッズは、デモ騒動で遅延したフライトに乗り、17時間の機内生活。ドバイ到着も大幅遅れとなった。

そして、心身を休める間もなく、あっという間に初日のスタート。いきなり「77」を叩いた。

腰に痙攣を起こしたのはその日の夜。ディナーのあと、痙攣が起こり、ドクターたちがさまざまな処置を施したものの、翌朝も症状はさほど改善せず、「フルスイングができない」としてWD(途中棄権)した。

ドバイのあとは、今週のわずか1週間だけのオフウィークを経て、来週はロサンゼルスのリビエラで開かれるジェネシスオープンに出場し、それが終わるや否や西海岸から東海岸へすぐさま飛んでフロリダの自宅近くで開かれるホンダクラシック出場を予定していた。

5週間で4試合。しかも米西海岸、ドバイ、米西海岸、米東海岸と長距離移動が続くハードスケジュール。

健康な若い選手でも疲弊してしまうこの強行日程は、41歳の長期欠場明けのウッズには、あまりにも無理がありすぎた。

照準はマスターズだが、「間に合う?」「焦るな」と想いは複雑だ(写真/舩越園子)
照準はマスターズだが、「間に合う?」「焦るな」と想いは複雑だ(写真/舩越園子)

【グレートでもグッドでもない今】

来週出場する予定だったジェネシスオープンは、今年からウッズ財団が新たにスポンサードすることになった大会だ。

リビエラはウッズが16歳で初めて米ツアー大会に出場した思い出の地。だが、これまでウッズは、このリビエラでは何度も勝てそうで勝てず、「相性が悪いコース」と言われてきた。

だが、2006年以来、リビエラに戻るはずだった今年は、大会ホスト的な立場で参戦することを楽しみにしていた。

欠場を決めたものの、ウッズ自身はリビエラに足を運ぶつもりだそうだが、ウッズのプレー姿を見るのを楽しみにしていたロサンゼルス近郊のファンは、がっかりしている。しかし、それと同時にウッズの回復を願っているはずだ。

「肉体の状態はグッドだが、グレートではない。グレートだと感じることは、もう2度とないかもしれない」

先日、ウッズはそう言っていた。しかし、来週からの2試合欠場を決め、その先のスケジュールも見通しが立っていない今は、肉体も精神も「グレートではない。グッドでもない」だろう。

そんな状態のウッズの未来はどうなっていくのか。

「試合に出るということは、優勝を目指しているということ」

目指せる状態でなければ試合には出ないというウッズ。目標はあくまでも「4月第1週」のマスターズだというウッズ。

オーガスタまでに回復、調整が間に合うなら、それはもちろん素晴らしい。だが、焦ってすべてを台無しにしてほしくない。

そんな複雑な想いは、世界中のファンに共通していると信じたい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、ラジオ福島、熊本放送でネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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