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若者のSNS炎上騒動は利用目的誤認が一因、かも

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「なんでこんなに叩かれるの?」と逆切れする事例も少なくない

次のグラフはリクルート進学総研が2013年8月に発表した、高校生に対して行った調査結果。インターネット経由によるものなので、高校生全体の動向とはややずれ・偏向の可能性があるが、少なくともデジタル系ツールに触れる機会がある高校生の挙動を知ることはできる。

それによると主要SNS(今件ではLINE、ツイッター、Facebook、mixi、GREEを指す)において、もっともよく使われているのはLINE、そしてツイッターが続いている。

graph1.gif ↑ 現在利用しているSNS(全体比)
graph1.gif ↑ 現在利用しているSNS(全体比)

各SNSの利用者に、該当SNSを主にどのような目的で利用しているかを聞いたのが次のグラフ。リリースでは各SNS毎に上位4位までしか値が公開されておらず、それらをまとめた結果、いずれも1項目ずつが確認できない状態(「×」で表記)となってしまった。もっともそれら「×」項目は、上位4項目よりは回答率が低いことは明らか。例えばLINEの場合は「有名人の動向チェック」は回答率が10.0%以下である。

graph2.gif ↑ SNSの主な利用目的(各利用者限定、複数回答)
graph2.gif ↑ SNSの主な利用目的(各利用者限定、複数回答)

この結果を見る限り、高校生ではSNSの利用目的が、各SNS毎に「ある程度明確に」区別化されているのが分かる。例えば「LINE」は友人や知人との意志疎通のためのもので、自分の普段の生活領域から足を踏み出した、いわゆる「外界」との情報のやり取り用のツールとしてはあまり用いられていない。

一方「ツイッター」は「友人・知人とのコミュニケーション」と「暇つぶし」「最新情報入手先」がほぼ同数回答値となっている。さらに「有名人の動向チェック」も値が高い。つまり「LINE」のような「身内間の交流ツール」としてだけでなく、「対外的な情報収集ツール」としての役割の双方を兼ねて用いているのが分かる。

この「ツイッター」における利用目的の混合ぶりが、昨今の「まるで身内のみに披露することを意図したような悪事・悪ふざけの暴露」の、ツイッター上での披露、そして「炎上」の一因とすれば、道理は通る。「炎上」の初期段階で「なぜバッシングされるのか」と逆切れする事例が多いのも、自分の「暴露」が身内のみ、あるいは少数へのみの行われたと誤解しているから(「LINE」で行ったかのような発想)に他ならない。

個人実名登録が原則の「Facebook」では、身内間と「対外的な情報ツール」との類似感はツイッターに近い。しかし利用目的意識そのものは低め。さらに実名登録の利点を活かし、「昔の友人や知人との再開」を意図しているとの意見も多い。「炎上」話も、ツイッターだけでなくFacebook上でも多発している実態を思い返すと、納得が行く。

若年層にとっては「LINE」「ツイッター」「Facebook」いずれも、パソコン、あるいはスマートフォン用の交流ツールでしかない。しかもスマートフォンで利用する場合は、各アプリが操作性を重視していることもあり、(あくまでもパソコン画面との比較論ではあるが)、見た目上の差異はあまり無い。「LINE」を使う感覚で「ツイッター」「Facebook」を用いてしまう、さらには現実に対面しながらの(限られた、閉じた環境下での)会話同様の感覚で、ソーシャルメディアを用いてしまう。「炎上」対象となった行為そのものの是非はともかく、容易に「全世界に向けて」暴露してしまうのは、「情報の公開先の仕切り、区分」を十分理解していないのが一因ではないだろうか。

例えば放送室内でマイクのスイッチを入れたまま、先生の悪口を語り合ってしまうかのように。あるいは立ち読みで夢中になり、つい自分の鼻を指でいじってしまうかのように。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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