8月の熱中症病院搬送者数、6月からの累計では過去最高に
今年の8月は一か月を通して太平洋高気圧が日本の南海上から西日本付近にかけて勢力を強めたこともあり、各地域では晴れて暑い日が多く、平均気温も高めに推移。中でも中旬は厳しい暑さが続き、多数の観測地点で猛暑日を記録。高知県四万十市の江川崎で8月12日、最高気温が41.0度を記録し、世間を大いに騒がせたのも記憶に新しい。
2013年8月の全国での熱中症による救急搬送人員(救急車で医療機関に搬送された人)は2万7632人。昨年2012年の8月における1万8573人と比較すると48.8%増という大幅増の値になった。
昨年と比べるとすべての年齢区分で人数は大きく上昇し、特に成人・高齢者で増加率が著しい。高齢者そのものの人数増加に加え、高齢者特有の各種リスク(一人暮らし世帯の増加、老化に伴う気温変化への対応の遅れ、電気料金値上げに伴う冷房稼働への躊躇など)が起因と考えられる。実際、週次報告でも気温が高くなり環境が悪化するに連れ、他世代と比べて高齢者の比率は上昇する傾向にある。また気温動向や搬送者数から見るに、今年2013年の夏は「観測史上もっとも暑い夏」と呼ばれた2010年の猛暑に相当する状況だったことが確認できる。
一方、消防庁が6月分の熱中症による病院搬送者数の公開を始めた2010年以降において、6月から8月までの累計搬送者数を数えると、その2010年分をも超えて今年の2013年は人数が多かったことが分かる。
これは今年の梅雨明けが早かったことに代表されるように、7月から夏本番の暑さが到来し、それに伴い7月における値が大幅に増加したことを起因とする(2013年の関東甲信地方の梅雨明けは7月6日、2010年は7月17日となっている)。
昨年の事例を紐解くと、9月に入ると夏の暑さのピークは過ぎ、8月と比べれば熱中症による搬送者数は大いに減少する。しかしゼロでない以上、全国各地で救急車のお世話になる人が出てくるのには違いない。
今年は2010年の猛暑に近いパターンで気温、そして熱中症者数動向が推移している。少なくとも節電要請期間が終了する9月末までは、水分補充や体調管理などを怠らないよう、注意してほしい。