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日本の超高齢化とその未来予想

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 他国と比べても日本の高齢化は群を抜いているというが……

働く人が高齢者を支える度合い「老年人口指数」

戦後のベビーブームや社会資本の充実による死亡率の低下、核家族化や少子化など、いわゆる「先進国病」が日本でも進行している。それを受け、日本では他の先進諸国と比較しても群を抜くスピードで高齢化が進行し、社会構成をはじめとした多方面における対策が急務とされている。

今回は「いかに日本の高齢化が他国と比べても著しいものなのか」を把握できるよう、現状と将来予想を国連の人口予想値を基に、複数の指数を算出して再確認する。

利用するデータは100億人突破はいつになる?…国連予想による世界人口推移でも用いた、国連事務局経済社会局の人口部局が定期的に更新・発表している「World Population Prospects」の最新値(2012年公開版)。そして高齢化の指針として使うのが次の二つ。

老年人口指数…(老年人口/生産年齢人口)×100

従属人口指数…((年少人口+老年人口)/生産年齢人口)×100

(年少人口=0-14歳、生産年齢人口=15-64歳、老年人口=65歳以上)

「老年人口指数」は生産に従事する人に対する高齢者の比率。この値が高いほど、生産者の高齢者に関する負担が大きくなる。「100」では一人の生産年齢人口が老年人口と同じになる。1人の生産者が1人の高齢者を支える形。

また、生産をする・しないで考えると、高齢者以外に年少人口に該当する人たちも生産は行えないので、高齢者側への区分に収まることになる。実質的には生産年齢人口は、年少人口と老年人口の双方を支える。この点に注目した指数が「従属人口指数」。この値が大きいほど、非生産人口を支える、生産年齢人口の実質的負担が大きくなる。

まずは主要国の「老年人口指数」の推移をグラフ化する。

↑ 主要国老年人口指数推移推計
↑ 主要国老年人口指数推移推計

日本の高齢化が他国と比べて飛びぬけて高い水準で進んでいることが再認識できる。その日本の高齢化も、大体2050年頃がピーク。以後は漸減。指数は70前後で落ち着くことになる(生産年齢人口1.42人で、老年人口1.00人を支える計算)。とはいえ、同年における他国(予想最高値でも50、つまり大体生産年齢人口2人前後で老年人口1人を支える)と比べれば、非常に高い値には違いない。

他国の動向としては、中国の急速な高齢化が気がかり。2010年時点では10強でしかなかった指数は2060年頃まで急速に上昇。50を天井とし、ようやく高齢化に歯止めがかかる。人口の多さでは中国と並び注目されるインドやインドネシアは、高齢化の動きも緩やかなもので、一定率でしか上昇しない。これは老年人口と共に生産年齢人口も漸増しているからである。またイギリスの高齢化進行も注目すべき動き。2100年には中国すら追い抜いてしまう。

子供も含めた生産者への負担度合い「従属人口指数」

続いて「従属人口指数」。各年における生産年齢人口の負担を考える視点では、こちらの方が理解しやすい。

↑ 主要国従属人口指数推移推計
↑ 主要国従属人口指数推移推計

「インドネシア」「インド」の2か国では「老年人口指数」との大きな違いが見られる。2030年位まではむしろ値が低下している、つまり生産年齢人口の負担が減っている。これはひとえに両国で、2030年前後まで生産年齢人口が急激に増加し、年少人口や老年人口の上昇率を上回っているからに他ならない。支える側の人数が増えるので、一人あたりの負担が減る次第である。

「従属人口指数」が減れば、単純に考えれば国全体、特に生産年齢の人達に余裕が出来るので、国そのものの成長が期待できる。無論人口比率や人口そのものの大小が、国そのものの伸縮を決定づけるすべての要因ではないが、重要な検証要素には違いない。

今回利用した国連の推計データは、定期的に最新のものに挿し代わり、場合によっては小さからぬ変化が生じることになる。とはいえ、日本の高齢化が2050年前後までは急激に進むこと、その勢いは他国をはるかに凌駕する状況に変わりはない。

見方を変えれば、日本の高齢化状況に対応した仕組みを構築できれば、その仕組みは他国の高齢化へも容易に流用できることになる。施策サイドはむしろ日本の高齢化を好機ととらえ、大胆かつ実用的で、汎用性の高い政策を打ち出し、断行することを願いたい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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