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たばこ代の何割が税金なのだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 多種多様なセット販売も行われるたばこ。消費税率の引き上げで価格改定があるかも

この10年間で3度引き上げられたたばこ税

たばこ代金の多分を占めるたばこ税だが、過去10年間に限っても2003年7月・2006年7月・2010年10月の3回に渡って引上げが行われている。特に直近の2010年に行われた引上げは過去に類を見ないほどの大規模なもので、それに伴い生じたたばこ代金の大幅値上げによる販売量への直接的影響は数年にも渡った。さらにこれを受けて、自販機や販売店の減少という間接的影響も小さからぬものが生じている。

次(以降)に示すのは、たばこ販売大手のJTによる1985年4月以降のたばこ税の推移。横の時間軸が時間的等間隔では無く、関連しうる税率変更毎となっていることに注意してほしい。また現時点では2010年10月のたばこ税引き上げが最後の税率変更なので、直近もそれとなっている。

↑ たばこ税推移(円)(1本当たり)(従量税)(消費税含まず)
↑ たばこ税推移(円)(1本当たり)(従量税)(消費税含まず)

上記期間のうち1989年4月は消費税3%の導入、1997年4月は同税5%の引き上げにおける区分。前者は従課税周りの算出の変更があり実質的に違いは無く、後者はたばこ税の引き上げは無かったためやはり変化はない。それ以外はたばこ税の仕組みの改編や引き上げに伴う変化であり、額面も変更している。

メビウス1箱で税金分は何本?

このようにたばこ税そのものは漸次増加しており、たばこそのものの値上げも行われているものの、中期的にはたばこ代金に占める税負担率(消費税含む)は漸増しつつある。

↑ マイルドセブン(メビウス)の価格と税負担部分推移(円)
↑ マイルドセブン(メビウス)の価格と税負担部分推移(円)

1985年当時のマイルドセブンでは税負担率は56.7%(113.4円)だったものが逐次増加を続け、直近の2010年10月の価格改定では64.5%(264.5円)となり、7.8%ポイントもの増加が見られる。メビウス(マイルドセブンは2013年2月以降メビウスに名称が変更されている)1箱20本(410円)を吸うと、そのうち264.5円分、ほぼ13本は税金分という計算になる。

この税金分も含めた定価の構成を、やはりメビウス(410円)で見たのが次のグラフ。販売大本のJTの取り分は約105円、1/4程度でしかない。

↑ たばこ1箱あたりの定価の構成(メビウス・410円の場合、円)
↑ たばこ1箱あたりの定価の構成(メビウス・410円の場合、円)

販売店側のマージンは10%。JT側は約26%。JT側の取り分には原材料費や人件費をはじめとしたさまざまな経費がかかっており、それらをのぞいて初めて利益(場合によっては損失)が計上される。

今回の消費税引き上げにより、たばこ価格は10円あるいは20円の引き上げが検討されているという。上記円グラフにおける19.5円の部分がやや増加する次第である。もっとも販売価格の変更に伴い、販売店マージンの金額が変わり、それに伴いJTの取り分も変化する(たばこ税周りの金額は本数単位・金額なので変化はない)。状況が確定したら、試算の上、あらためて確認する機会もあろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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