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「あなた、胃がんかも」と言われて(上)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
普段から通院している病院で起きた突然の宣告

事前確認と鎮痛剤

当方(不破)は現在ネフローゼ症候群の寛解状態であり、さらに昨年逆流性食道炎と診断され、定期通院をしている。その過程で食道炎の状況を確認するなどの目的から、先日胃カメラの検査(内視鏡検査。以後「胃カメラ」と略)を受けてきた。

胃カメラは昨年も逆流性食道炎の確定のために行ったのだが、元々当方は拒絶反応が強く、かなり辛い思いをした。しかし1年が経過してどのように食道炎の治癒状況の確認以外に、胃がんをはじめとした各種がんのチェックも、バリウム検査よりもはるかに高い精度で行えるので、それならばということで検診を決意。

担当医は鎮静剤の存在と利用の是非を質問してきた。昨年の検査の際にはこのような話は無く、検査そのものの進歩を感じさせる。説明としては全身麻酔のようなもので、リスクはゼロではないが、以前胃カメラで苦しい経験をした人にはお勧めとのこと。もっけの幸いとばかりに「希望する」に丸を付けて書類を提出する。

胃カメラ検査当日

説明を受けてから数日後、検査当日。診察着に着替えて待合室で待っていると自分の番号が呼ばれ、看護師の案内で検査予備室に連れて行かれる。そこで小さなコップで胃の洗浄用の薬を飲まされる。サイダーのような、コメのとぎ汁のような、複雑な味。レントゲン撮影の際に飲まされたあの液体に近い。

その後、本番の鎮静剤用の針が腕に刺される。検査が終わるまでずっとそのまま針は刺しっぱなしのまま。細い針本体だけではなく、その針の先(腕とは反対側)に漏斗(じょうご)のようなものが付いている、特殊なもの。自分の身体の中に機械が埋め込まれた感じで、妙な気分を覚える。かつて入院していた際にも点滴などで似たような体験があり、その感触が蘇ったからかもしれない。

そしてノドの麻酔としてスプレーをノドに向けて吹きかけられる。のどの感覚があっという間にマヒし、唾が呑み込めなくなり、思わず何度か咳き込んでしまう。看護師からティッシュを渡され、だ液をふき取る。

ともあれ、これで準備は万端整うこととになった。そして検査本室に移動させられ、いよいよ内視鏡検査へ。

本室では機械が横に配されている専用のベッドに寝るように指示を受ける。そして左を下にして横向けの姿勢を取らされる。マウスピースをつけられ、「鎮静剤を入れますよ、眠たくなりますからね」という看護師の説明。

当方は全身麻酔の経験がない。どのようなものか気になっていたが、看護師の説明が終わるや否や、意識がすーっと引く感覚が襲ってきた。例えるならば睡魔のシャッターカーテンがするすると意識の中に降りてきたような、まさに夢心地のような世界。睡眠系の魔法をかけられたら、こんな感じなのだろう。布団に入ってもなかなかこの域に達しない、かろうじて自我意識はあるものの、頭の中はほとんど寝ている感覚。

そしてマウスピースを介して胃カメラが投入され、色々と内部を検査したり、細胞を摂取したりしたようだ……が、自分では見ることが出来ないので詳しいことは分からない。ただもうろうとした中でも「自分はまだ起きている」という認識ははっきりとしており、カメラが身体の中で動いていたこと、身体の内部で何らかの複雑な動き(多分細胞の摂取だろう)による妙な感覚があったことは認識できた。過去の鎮静剤無しで行った内視鏡検査のような、拒否反応による辛さはまったくと言っていいほど無かったのは幸いだ。

気が付けば胃カメラは取り除かれ、「検査は終了しました」との看護師の話があり、マウスピースも外された。でも意識はまだ「起きているけど何だか寝ているっぽい」状態に違いはない。ノド周りはマヒしたままなので、だらだらとよだれが出る。

検査直後の概説

胃カメラ検査の直後、「リカバリー室」というところに通され、ベッドの上で安静に30分ほど寝ているようにと指図される。要は鎮静剤(麻酔)の効用が切れて「起きる」まで、安静にしていてくださいということだ。もっとも待ち時間の後半になるとほとんど意識もはっきりしており、さらに先の鎮静剤用の針も腕に刺さったままなので身動きも出来ず、退屈な時間を過ごすこととなった。

30分が過ぎた後、検査を行った医師がカラープリントをした「上部内視鏡 検査報告書」を持ってきた。概況のみだが即時に説明してくれるらしい。その場ですぐに結果が見られるのは素晴らしいお話。

それによると

「ポリープはあるがすべて良性、問題は無し」

「胃びらんが認められるので念のため検体摂取」

「食道や鼻腔、のどの部分、十二指腸に異常はなし」

というものだった。「逆流性食道炎の治療を受けている」と説明したところ、見た限りではその状況は確認できないとの話。一方、胃びらん(胃の炎症で粘膜表面に欠損があること。潰瘍よりは浅い状態)が見受けられたので、がんの可能性があるから検体検査に回したという。

……え。「がん」?

(「あなた、胃がんかも」と言われて(下)に続く)

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ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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