中年層で加速する新聞離れ
「若者の●×離れ」という陳腐な常套句の対象として挙げられるものの一つに「(紙媒体の)新聞」がある。次以降のグラフはライフメディアのリサーチバンクが2013年10月に発表した、新聞に関する調査結果によるものだが、これによると普段から新聞(以後特記無き限り紙媒体の新聞を指す)を読んでいる人は2/3。毎日、つまり定期購読となるとほぼ4割。しかし若年層に限れば2割足らずから3割に留まり、全体の新聞購読率は40代以上が稼いでいる図式となっている。
歳を経るほど新聞購読率は上がり、さらに毎日読む人の割合も高くなる。男性60代に至っては3/4が定期購読者となる。中堅層以降の人は昔からの習慣で新聞を定期購読しており、それが今なお継続しているのだろう。
今調査は2年前の2011年10月にも同様のスタイルで実施されており、その結果を比較したのが次のグラフ。一部で増加している点をのぞけば、ほとんどの属性で新聞購読率(「ほぼ毎日」「時々」の合計)は低下している。
特に男女とも中年世代の減少ぶりが明らかで、この層にいわゆる「新聞離れ」が起きている。この世代は仕事上必要なため、あるいは好奇心が旺盛でそれを充足する資金力も若年層よりは持ち合わせているため、スマートフォンやインターネットなどデジタル系のアイテムを積極的に利用することが多い。必然的に紙媒体の新聞から離れ、より便利で使いやすい新聞のデジタル版、あるいはそれを代替しうる各種ニュースサイトや総合サービスに移行しているものと考えられる。電車内で新聞を読み人が減り、スマートフォンやタブレット機を用いる人が増えた状況を見れば、その動きは容易に想像できる。
同調査で「紙媒体の新聞を読まない人」に対する、その理由を聞いているが、最上位には「インターネットのニュースサイトで十分」が収まっており、その推測の裏付けが取れる。
わざわざ新聞を買うまでもない、ネットで満足ということだ。
ちなみにこのグラフにある「インターネット(電子版)(の新聞)を読んでいる」は3.8%でしかない。有料版に限定すればさらにその割合は小さなものとなる。インターネットの利用で紙媒体の新聞離れを起こした中年世代も多くは、ソーシャルメディアやポータルサイトが提供するニュースで満足してしまい、「紙の新聞」から「デジタルの新聞」(新聞社の思惑としては「できれば有料版」)へは、ごく少数しか移行していない。
少なくとも現時点では、新聞社による「紙からデジタルへの顧客の誘導」は芳しい状況ではないようだ。若年層は元より新聞を読まず、中堅層は急速に離れていく。現在多くを支えている「現在」のシニア層が時代の流れと共に数を減らしていけば、全体としての新聞離れはさらに加速するに違いない。
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