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成人の3割以上が「肥満」判定は13州…アメリカ肥満状況

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ アメリカには肥満の人が多いというイメージはあるが……

米成人の3割が肥満、日本基準なら6割強

味蕾(みらい)の性質の違いとも言われているが、欧米、特にアメリカの人達はベーコンに代表される油身のものをこよなく愛するイメージがある。また料理のボリュームの点でもファストフードのサイズの違いに関するネタ話(同じLサイズでも日米では大きな違いがある)をはじめ、大量に食するさまざまな話も見聞きする。そして当然、肥満体系を有する人も多くなる。それでは実際、どの程度肥満が進行しているのだろうか。

今回精査に用いたのはCDC(Centers for Disease Control and Prevention:米疾病予防管理センター)が公開している肥満関連のデータ。CDCではBMI値(Body Mass Index。体重(キログラム)を、身長(メートル)の2乗で割った値)を基準に、

・Underweight(低体重)……18.5以下

・Normal weight(標準体重)……18.5-24.9

・Overweight(やや肥満)……25-29.9

・Obesity(肥満)……30.0以上

と区分している。この区分に従い、全米及び各州の18歳以上における肥満度合いを示したのが次のグラフ。

↑ アメリカの大人(18歳以上)における肥満判定者などの比率区分(2012年)
↑ アメリカの大人(18歳以上)における肥満判定者などの比率区分(2012年)

全米では28.1%が「肥満」、35.8%が「やや肥満」。標準スタイルの人は34.2%に留まっている。「やせ気味」の人は1.8%のみ。各州を見ても、概して「肥満」と「過体重」の合計が6割から7割を維持している。「肥満」の少ない州でも多分に「過体重」の比率が高く、「標準」+「やせ型」の比率が一定(4割足らず)に留まっている。

日本の場合は同一基準のデータはないが、厚生労働省による国民健康・栄養調査結果の概要の直近データ(2011年分)による結果は次の通り。BMI値が25以上を肥満(アメリカでは「やや肥満」と「肥満」の合計)、やせの者(アメリカでは「低体重」)で区分している。

↑ 肥満者(BMI≧25)とやせの者(BMI<18.5)、それ以外の者比率
↑ 肥満者(BMI≧25)とやせの者(BMI<18.5)、それ以外の者比率

総数のみで比較しても、アメリカが63.9%、日本は30.3%。アメリカの肥満者率は日本の2倍以上ということになる。

肥満者が多い原因は…?

ここまで肥満者が増えた原因は多種多様なものが考えられ、また「これのみが原因」と言い切ることは不可能。基本的な生活様式に加え、食生活の改善と変化、交通機関の整備、社会生活そのものの変移、さらには現在5000万人に届かんばかりで伸び続けているSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program:補助栄養援助プログラム、旧フードスタンプ)が一因との考え方もある。

一方、全般的に歳を取るほどBMI値は上がる傾向にあることから、平均寿命が延びているのが一因という指摘もある。しかし年齢補正を行った上での肥満判定者率地図(2009 Age-Adjusted Estimates of the Percentage of Adults Who Are Obese)(英語)を見ても、状況に大きな変化はなく、加齢による積上げはほとんど無関係なようだ。

最後に、データの連続性などで2010年までのものではあるが、CDCのデータに基づき、アメリカ各州のBMI値30.0以上の大人の割合を示した映像を呈しておく。

ここからさらにどこまで肥満率は増えていくのか。昨今問題視されている未成年者(今件データでは反映されていない)の肥満動向も合わせて考えると、ため息と共に、色々と考えさせられる話ではある。

■関連記事:

男は中堅・女は高齢ほど肥満者が多い法則(国民健康・栄養調査2012年版)

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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