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年賀ハガキの利用者が減っているらしいので発行枚数を調べてみた

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今では日本郵政グループ自らもネット経由で年賀ハガキを販売する時代

今年は32億2000万枚、前年比10%減

先日年賀ハガキの利用者が減っているらしいでここ数年に渡り、年賀ハガキを出す人そのもの、そして出す人においても利用枚数が減っている状況を解説した。そこで頭に浮かぶのは、「年賀ハガキでもっとも多くの人が使う、日本郵便の官製年賀ハガキの発行枚数動向はどうなってるのだろう? 紙の年賀状、年賀ハガキの利用者が減っているなら、需要が減少しているのだから、当然発行枚数も減っているのではないか」との疑問。そこで今回は、日本郵便(旧日本郵政公社、郵政事業庁)が毎年発行している、年賀ハガキの枚数の推移を確認する。間接的に年賀ハガキ全体の利用状況も把握できるはずだ。

日本の郵便行政における年賀ハガキの発行は戦後に入ってからのこと。1949年発行・1950年用のものが初めてとなる。その当時の発行枚数は1億8000万枚。以後枚数を漸増させながら、1964年には10億枚、1973年には20億枚に届く。それらの動向をまとめたのが次のグラフ。直近の動きを分かりやすくするため、今世紀に限ったグラフも併記した。2013年発行・2014年用の分は、現時点では数量が確定していないので暫定発表値を用いている。

↑ 年賀ハガキ発行枚数(万枚)(2013年発行分は暫定値)
↑ 年賀ハガキ発行枚数(万枚)(2013年発行分は暫定値)
↑ 年賀ハガキ発行枚数(万枚)(2001年以降、2013年発行分は暫定値)
↑ 年賀ハガキ発行枚数(万枚)(2001年以降、2013年発行分は暫定値)

発行枚数のピークは2003年の44億5936万枚。それ以降は多少の起伏を見せながらも枚数は少しずつ減少。直近5年間は連続で前年比マイナスを記録している。現在発売中の2013年発行・2014年用は暫定値での算出ではあるが、前年比でマイナス10%を超えている。

なお前年比でプラスを示した最後の年、2008年は家庭用簡易印刷機であり、年賀状のプリント機器として大いに普及していた「プリントゴッコ」のメーカー販売が終了した年でもある(プリントゴッコ国内販売終了・個人向けプリンタ普及で)。これが年賀ハガキの今後の動向を象徴する、出来事の一つであったかのようにも思えてくる。

一人当たりの枚数を算出してみる

上のグラフを見る限り、今世紀に入ってから発行枚数の増加はストップし、漸減への動きを示しているように見える。そしてピークは2003年。日本の人口増加の緩慢化、そして減少も21世紀に入ってからなので、「人口が減っているのだから、年賀ハガキの需要が減少するのも当然では」との考えもある。そこで各年の人口を総務省統計局の人口推移から抽出し、その人数で年賀葉書発行枚数を割った値、つまり「老若男女を問わず、日本人全員が年賀葉書を購入した場合、一人あたり何枚になるのか」を算出したのが次のグラフ。

↑ 年賀ハガキ一人当たり平均枚数
↑ 年賀ハガキ一人当たり平均枚数

年賀葉書の発行枚数推移とほとんど変わらない形状のグラフが構築されたが、これは人口推移そのものが短期間では緩やかな変化しか起こしていないのが原因。ピーク時も発行枚数と同じく2003年で、平均枚数は約35枚。直近の2013年では約25枚。10年で約10枚分減ったことになる。

この「人口」には乳児など、そして年賀状を出さない人も含まれている。年賀ハガキを買うのは年賀状を出す人に限られるので、一人あたりの実態平均購入枚数は、もう少し上乗せされるはず(もっとも法人によるまとめ買いもあるので、実際にはそう単純な話ではないが……)。

インターネットの普及率は今後も上昇し続け、デジタルネイティブ世代も次々と成人化していく、それにつれて年賀ハガキの需要は今後も減少し、発行枚数も減っていくのは明らか。時代の成り行きとはいえ、寂しさを覚える人もいるに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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