2013年の広告業界を経産省発表の売上動向から振り返ってみる
ネット◎、テレビ△、その他は↓な今年の広告市場
インターネットの普及浸透で大きな変化を示しつつあるメディア界隈。今年一年に限っても確実な変化の様相が示されている。今回は経済産業省が発表している「特定サービス産業動態統計調査」のデータを基に、広告売上の観点から、従来型4メディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)、それに加えてインターネット広告の動向を確認し、今年の動きを総括していくことにする(とは言うものの、現時点では2013年10月分の値までしか公開されておらず、10月分まででの精査になるのだが)。
まずは該当メディアの広告売上における前年同月比推移。
インターネット広告は順調、テレビは高安まちまちだが後半期に入るとプラス圏が多くなる。一方でラジオと雑誌は不調。特にラジオはずっとマイナス圏。
意外にも新聞が今年後半に入りプラス圏で推移している。テレビに近い動きだが、これは新聞が昨年後半期で大きなマイナス値を示していたのが原因。その反動が前年同月比ではプラスとして表れたに過ぎない。実金額の動向で確認をすると、新聞は起伏を繰り返しながらも全体として減少傾向にあるのが分かる。
月単位では無く年間を通した流れを見るため、データが存在している1月から10月分までを累計し、さらに昨年の同月分累計値との比較をした結果が次のグラフ。
テレビの広告市場の巨大さ、順位としてはインターネットと新聞がそれに続いていること、雑誌やラジオは今件取り上げたメディア内では市場規模は小さなものであることが分かる。そして前年からの動きとしては、インターネットが堅調、テレビが良い塩梅、新聞が弱め、雑誌とラジオが「もう少しがんばりましょう」状態であるのが確認できる。
今年は「インターネット>>新聞」が確定した年
現時点では広告市場規模で見ると、インターネット広告は新聞よりも大きな金額である。この序列は月次ベースでは2011年3月に初めて起きた現象で、以後何度か新聞とインターネットとの間で金額面でのデッドヒートが繰り広げられ、2013年2月以降は常にインターネット優勢の状態が続いている。
現時点で二者間の立ち位置が逆転した月は2011年3月に始まり、全部で19か月分(2013年10月分まで)。2013年2月以降は継続してインターネットの優勢。1月は新聞が約45億円の優勢で、直近ではこれが最後の新聞優勢の月である。また7月は両者の差が6.3億円にまで縮まったが、インターネット優勢の状態は維持された。
インターネット広告は起伏が激しく、タイミング次第では今後も新聞がインターネットを上回る月が生じる可能性はある。しかし新聞の広告売上は上記にある通り漸減、インターネットは上昇傾向を継続していることから、事実上今年2013年が「新聞広告とインターネット広告のポジションが入れ替わった年」と見なして良い。
数年前までは可能性としてのみ語られてきた「新聞の広告市場規模をインターネットが抜き去る」状況。それが現実のものとなった年、広告、しいてはメディアにおける一つのターニングポイントとして、今年2013年は記録されることになる。
来年は各メディアにおいてどのような動きが生じていくのだろうか。
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