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年々増加する子供達のぜんそく

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 生きていくには欠かせない呼吸そのものが苦しくなるぜんそく。体力消耗も激しい

小学校ではクラスに一人がぜんそく持ち

喘息(ぜんそく)とは気管支などの気道(空気の通り道)がアレルゲンをはじめとした各種原因によって炎症を起こし、狭くなり、さらに過敏さから反応が起きやすくなる慢性の病気。症状、発作が起きると気道が縮み呼吸がしづらくなり、粘液が多めに出るため痰(たん)も出やすくなる。

喘息は常時の生活の上で行っている呼吸のトラブルなため、体力の消耗も激しい。特に息苦しさから生じるせきが繰り返されると、第三者から見た目以上に疲労がかさんでしまい、苦痛もキツいものとなる。

文部科学省が2013年12月に発表した2013年度版の「学校保健統計調査」(速報)によれば、直近2013年度では小学生で4.2%、高校生でも1.9%もの喘息症状の保有者がいる。

↑ 喘息の者の割合(2013年度)
↑ 喘息の者の割合(2013年度)
↑ 喘息の者の割合(2013年度)(年齢別)
↑ 喘息の者の割合(2013年度)(年齢別)

5歳から6歳に成長すると急に喘息持ち率が増え、11歳から12歳で0.4%ポイント減る。4%台(25人に1人以上)の高い値を示すこの年齢は小学校時代に該当する。小学校という環境が喘息を誘発するのでは無く、「小学校に進学して身体検査などを綿密にする」「保護者の健康意識が高まる」などの理由から喘息が発覚するものと考えられる。小中学校のクラス人数推移をグラフ化してみる(2013年)(最新)にもある通り、直近で小学校のクラス人数は約25人、中学校は約29人。平均すると小学校ではクラス当たり約1.1人、中学校では0.9人の喘息持ちがいることになる。

また中学校へ進学する際に値が低くなるのは、身体的な成長の他、環境がやや開放的になることが考えられるが、このデータだけでは確定はできない。

経年で増加する喘息持ちの子供!?

これを経年で見たのが次のグラフ。

↑ 喘息の者の割合推移
↑ 喘息の者の割合推移

多少の凸凹、順位の変動はあるが、大体喘息保有者は増加傾向にある。収録されているデータのうちもっとも古い1967年度分では、幼稚園0.3%・小学校0.3%・中学校0.1%・高校0.1%だった。ところが直近の2013年度分ではそれぞれ2.1%・4.2%・3.2%・1.9%にまで増加している。健康意識の高まりと情報の周知により診断をする人が増え、結果として喘息持ちであることが判明した、というパターンが考えられる。また直近数年分に限れば、幼稚園と小学校でやや減少、中学校で増加の動きが見られるものの、変動の領域内と考えられる。

この上昇傾向の原因については「診察率の増加」以外に、「妊婦の喫煙」「都市部での居住」「アレルゲンとの連動性(気密型環境での滞在時間の増加など)」「ストレスの増大」など複数要因が、特定の一要因だけでなく、複数が複雑に絡み合って生じていると考えられる。

繰り返しになるが、喘息は他人からの見た目以上に、本人にさまざまな負担が生じる病症の一つ。特に体力の消耗ぶりは他人の想像を絶するものがある。子供は喘息の現状を良く理解できず、その症状のつらさと体力の消耗ぶりに、負い目すら感じてしまいかねない。保護者を中心に周囲の人は十分以上の配慮を願いたい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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