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男性の家事・育児の手伝いを積極化させるには?

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「今日もまた残業か」。仕事に追われて時間が取れないとの意見も多い

正社員パパは「仕事時間が長いから…」

共働き率の増加や子育て問題への注目が集まる中、男性の家事や子育てへの手伝いを積極化し、女性の負担を減らすべきとの意見が増加している。間接的に女性の負担を減らすことで、育児環境をスマート化すれば、出産・育児のハードルも下がるだろうという思惑もある。

内閣府男女共同参画局が2013年12月に発表した「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」ではこの問題についても探りを入れている。6歳以下の第一子、配偶者と同居している20歳以上の有職男性のうち、「家事や育児を十分にしていない」と自覚している人の中で、正社員の職にある人に向けて、「家事・育児の取り組みを増やすためには何が必要か」と聞いた結果が次のグラフ。

↑ 平日の家事・育児を増やすために必要だと思う事(複数回答)(男性、家事または育児が十分に実施できていない人)(正社員)
↑ 平日の家事・育児を増やすために必要だと思う事(複数回答)(男性、家事または育児が十分に実施できていない人)(正社員)

最も多い同意意見は「残業が少なくなること」。34.5%の人が同意している。そして「休暇が取りやすくなること」もそれに続いている。また「職場の人員配備の余裕」も、余裕がないから労働時間が長くなり、自宅での時間を削らざるを得ないと、上位意見が互いに浅からぬ関係にあることが分かる。つまりは多分に、労働時間の長さが大きなハードルという認識。

一方で配偶者との意志疎通の緻密化、さらには家事・育児スキルの向上など、男性側の対応が不十分な点も多い。もっとも双方とも行き着くところ、間接的には時間不足がネックで、やはり「労働時間の長さ」が問題ということになるのだろう。

非正規社員は休暇、自由・自営業は妻との意思疎通がポイント

直上は正社員の夫に対するものだが、これが非正規社員、自由・自営業になると大きく変化する。

↑ 平日の家事・育児を増やすために必要だと思う事(複数回答)(男性、家事または育児が十分に実施できていない人)(非正規社員/自由・自営業)
↑ 平日の家事・育児を増やすために必要だと思う事(複数回答)(男性、家事または育児が十分に実施できていない人)(非正規社員/自由・自営業)

非正規社員のトップは「残業」ではなく「休暇」。正社員よりも出勤スケジュールがタイトであることがうかがえる。また、「時間当たりの賃金のアップ」も上位にあり、収入が少ないので出勤回数を増やさねばならず、そのために休暇が取りにくく、育児にまで時間を回せない、男性非正規社員の実情を垣間見れる。

自由・自営業は正・非正規社員と比べると時間には余裕があるからか、残業・休暇などの項目への回答率は低い。その一方で配偶者との意志疎通の向上が最上位にあり、続いて「自分の仕事外の時間の使い方の優先順位を変える」が上位に収まるなど、男性自身による意識改革が必要だとの認識を持っていることが分かる。

就業状態・立場で違いはあるが、いずれの場合も男性サイドは自己分析を行い、平日における育児や家事が難しい現状を理解している。回答者自身だけでは解決できない内容が多いが、本人も、そして周囲も理解を示し、状況の改善に向けて努力を体現化してほしいものだ。

■関連記事:

子育て世代の男性の就労と家事・育児手伝い事情をグラフ化してみる(2013年)(最新)

共働きか否かで大きく変わる妻の家事時間(2011年社会生活基本調査)

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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