前年比2万人増加・フリーター数は182万人
2013年は182万人、前年から2万人増えたフリーター
1980年代から1990年代にかけてのバブル時代において、在学中で無くパートやアルバイトで生計を立てるライフスタイル、就労状態を示す言葉として「フリーター」という造語が生まれた。これは時間を自由にとれる「フリー」、そしてアルバイトをする人「アルバイター」の2つの用語を合わせたもの。当時は高給を稼ぎ自由な生活を営むとの観点から、自由人的な生き方としてちやほやされる場面もあった。しかし昨今では職業、そして生活の不安定さから、避けるべき状況を意味する場合が多い。
このフリーターだが定義は諸般あるものの、現在では「15歳から34歳」「パート・アルバイト及びその希望者」(厳密には「男性は卒業者、女性は卒業で未婚の者」で、「パート・アルバイトとして雇用されている」「完全失業者で探している職種がパートかアルバイト」「非労働人口で、家事も通学もしていない人のうち、就業内定をしておらず、希望する仕事の形式がパート・アルバイト」のいずれかに該当)と定義している。例えば既婚者でパートをしている人、大学生で修学しながらアルバイトをしている人はフリーターとは呼ばない。
そのフリーターの現状数だが、総務省統計局が2014年2月に公開した労働力調査(詳細集計)の速報結果によれば、182万人、前年比で2万人増という値が出ている。
フリーターは若年層の人口減少に加え、該当する層の雇用受け皿として「派遣社員」に注目が集まり、2004年以降は減少傾向にあった。フリーターの存在そのものが社会問題化したのも大きな要因。
しかし2009年以降3年ほどフリーターが増加した、そして2013年に再び増加の動きを見せた背景には、いわゆる「派遣叩き」で非正規雇用者のうち派遣社員の受け皿の減少が継続していたことが挙げられる。派遣社員はフリーターには該当しない。また、企業側の対応の変化(「「派遣叩き」がもたらす現実……企業は「派遣を減らしパートやアルバイトを増やす」意向」)などが影響しているものと考えられる。就労側も企業側も、派遣社員の減少分の一部がパート・アルバイトにシフトし、結果としてフリーターも増えたという次第(ただし2013年に限れば労働市場の大幅な改善と非正規社員へのシフトトレンドによるところが大きい)。
また、フリーターの高齢化も懸念されている。15~24歳までの世代層は「フリーター」の減少が2003年から確認されている。フリーター全体の減少過程においても、減少率・減少数共に15~24歳層の方が大きい。特に2006年から2007年の区切りで、2002年以降ではこの年ではじめて「15~24歳層」と「25~34歳層」の人数における逆転現象が起きている。今後さらに高齢化、言い換えれば「25~34歳層」の割合増加が続くだろう。
2013年では「15~24歳層」が大きな増加を示し「25~34歳層」は1万人減少した。「15~24歳層」の増加は4年ぶり、「25~34歳層」の減少は5年ぶりのこと。労働市場での変化が起きたことを予見させるが、単なるぶれの可能性もあるので、もう数年見定める必要がある。
男女のフリーターと各層に占める割合と
男女別では男性よりも女性の方が「フリーター」の、若年層人口全体に占める比率は高い。男性は6.2%、女性は7.5%との値が出ている。これは例えば男性なら、15歳から34歳層の男性総人口1360万人のうち6.2%に当たる84万人がフリーターであることを意味する。
2013年の動きとしては、女性のフリーター率増加、男性のやや大きめな幅の増加が読み取れる。同年では労働市場の改善、非正規社員雇用へのシフトが進んでおり、パート・アルバイトの求人も増加をしている。これがフリーターを促進した一因と考えられる。詳しいフリーターの中身を見ると、女性は2012年から構成する人数は変わらず(、若年層人口が減っているのでフリーター率は上昇している)、男性は雇用者が増え、完全失業者が減っている。パートやアルバイトですら望んでいても職に就けない人が減り、就けた人が増えているのは、就労状況としてはプラスと見ても問題は無い。
当人たちがそのライフスタイルを望むのなら、それもまた個人の生き方であり、他人の干渉は許されない。一方で、歳を重ね、34歳を超えて世間一般の「フリーター」という枠組みから外れた際に、どのようなライフプランを当人が持っているのか。それを考えると疑問と不安が頭をよぎるのは、当方だけではあるまい。
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