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大人と高校生で大きく異なる「ながらスマホ」の許容範囲

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 駅構内での歩きスマホは大きな事故のきっかけにも(auの指導映像から)

「ながら」を「許せる」?「してしまう」?? 大人と高校生で比較

スマートフォンの普及に伴い、他の主行為をしながらの携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)の操作を行う「ながら携帯」「ながらスマホ」が問題視されるようになった。礼儀作法上の問題に留まるものだけでなく、事故リスクを飛躍的に高めるもの、さらには法的に禁止されている行為もある。今回は2014年3月にデジタルアーツが発表した、未成年者に対する調査結果(携帯電話保有者対象)を基に、「ながら携帯(スマホ)」の中から特に注目されている4つの行為に関して、実態を探ることにする。

「ながら携帯(スマホ)」に関しては多種多様な指導啓蒙が行われているが、携帯電話、特にスマートフォンとの接触時間が長く、日常生活に深く浸透している子供、とりわけ高校生にて、「ながら携帯(スマホ)」には寛容的な姿勢を示す傾向がある。マナーの上で問題視されている「ご飯を食べながら」、実リスクが高い「歩きながら」「自転車を運転しながら」、そしてテレビ放送側も半ば推奨している「テレビを観ながら」の4項目に対する許容動向は次の通り。意識の面で大人との間で大きなかい離が確認できる。

↑ ながら携帯(スマホ)で許せる行為
↑ ながら携帯(スマホ)で許せる行為

「テレビを観ながら」は特にリスクも無く、行儀作法としても問題がある無しの判断は難しいことから、大人でも1/3強が許容している。しかし行儀が悪いと思われがちな「ご飯を食べながら」は約2倍、事故リスクが多分にある「歩きながら」「自転車運転をしながら」では3倍以上もの差が大人と高校生との間で開いている。

このような認識の差があるため、当然の結果として自分自身がしてしまう「ながら携帯(スマホ)」でも、大人と高校生との間では大きな差異が生じる。「テレビを観ながら」は男子6割、女子にいたっては3/4がしており、もはや「当たり前」の世界となっている。

↑ ながら携帯(スマホ)でしてしまう行為
↑ ながら携帯(スマホ)でしてしまう行為

歩き携帯(スマホ)の実施率は男子高生で4割強、女子高生では5割を超えている。自転車運転中における利用ですら、男女ともに1割超え。今件は携帯電話利用者に限定している調査とはいえ、高校生の携帯電話所有率がほぼ100%であることから、実質的には高校生全体の実態に等しい。改めて実数値を見て、驚かざるを得ない。

スマホ化で進む「ながら」

これら高校生の高い容認率はスマートフォンによるところが大きい。従来型携帯電話よりもスマートフォンの方が魅力に長けているため夢中となり、少しの時間も惜しくなるため、「ながら行為は仕方ない」と妥協の判断が生じてしまう。

↑ ながら携帯(スマホ)でしてしまう行為(子供限定、スマートフォン所有状況別)
↑ ながら携帯(スマホ)でしてしまう行為(子供限定、スマートフォン所有状況別)

もちろんこれらの「ながら行為」によるマナー上、事故リスクは携帯電話(特にスマートフォン)に限った話ではない。食事をしながらゲームをする、文庫本を読むことは礼儀作法の上で許される話では無く、漫画に没頭しながら道を歩けば足を踏み外し、電柱や他人、さらには自動車との接触の危険性もある。

一方で携帯電話、とりわけスマートフォンは、その魅力度・熱中度の高さから、没頭度合いも強く、主行為への注力が薄れ、リスクも大きくなる。時間が少しでも惜しくて「ながら携帯(スマホ)」をしてしまうのは理解できるが、同意はされるはずもない。色々なものを棒に振る可能性を考え、適切な利用を心掛けてほしいものである。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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