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この数年で劇的変化を遂げる子供達のデジタル環境

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ インターネットへの窓口として最初にスマホを使う子供も増えつつある

パソコン(PC)や従来型携帯電話、そしてスマートフォン、さらにはタブレット機。インターネットへの窓口となるデジタル機器の急速な普及と進歩は、大人だけではなく、子供の間にも現在進行形の形で起きている話。特に好奇心旺盛で学業にも大きな(プラスマイナス両方の面で)影響を受けるであろう小中高校生には、ダイナミックな変化が生じている。

次に示すのは内閣府が2014年3月末に発表した、年次調査「青少年のインターネット利用環境実態調査」の最新版などを基にしたものだが、それによると小中高校生のパソコンや携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)の使用・保有率は次の通りとなる。「使用・保有」としたのは、機種によって使用=保有とは限らないため。

今件データは全体比であることに注意。例えば2013年の「携帯保有者」は59.5%とあるので、2013年における小学生から高校生までを合わせた全員のうち、6割近くが従来型携帯電話かスマートフォンを所有し使っていることになる。

↑ パソコン・携帯などの使用・保有率推移(小-高校生対象、全体)
↑ パソコン・携帯などの使用・保有率推移(小-高校生対象、全体)

パソコンの使用率はほぼ横ばい。むしろ直近3年に限れば漸減傾向にある。一方、携帯電話の保有率は少しずつだが確実に上昇。主に小学生の間でも携帯電話が浸透しつつあることの表れである。この「携帯保有者」の大部分はスマートフォンであり、実質的にスマートフォンの所有者増加が「携帯保有者」率を底上げしていることになる。

タブレット機は2012年になって初めて登場した項目。現時点で2年分しかデータが蓄積されていないため、経年変化による傾向を推し量ることはできない。しかしながら初年ですでに11.1%もの普及率、2年目の2013年には16.7%と確実に増加中。今後もさらに伸びていくことは容易に想像できる。保護者が所有していればそれを借りる機会は多い。パソコンよりもはるかに機動力は高く、価格は安く、保護者としても貸しやすい。

上記結果は小中高校生全体における比率だが、その中で一番好奇心が強く分別も付きはじめ、同時に熱中度の上でも一番な高校生に焦点を絞り、各値を再算出したのが次のグラフ。

↑ パソコン・携帯などの使用・保有率推移(高校生対象、全体)
↑ パソコン・携帯などの使用・保有率推移(高校生対象、全体)

高校生に限ってもパソコンの利用率は2011年をピークに減じ始めている。また携帯電話ではほぼ100%に近い状態が続く中で、スマートフォン使用者が急激に増加しており、従来型携帯電話からスマートフォンへのシフトがこの数年で猛烈に進んでいる。さらに値をよく見ると、高校生ではパソコンよりも携帯電話、さらにはスマートフォンの方が使用率が高い状況が生じている。

これらの機器は多分にインターネットのアクセスツールとして用いられることから、ほぼ同率でインターネットの利用が「その機種経由で」行われているとみなしてよい。つまり高校生にとって、インターネットはパソコン経由では無く、携帯電話、さらにはスマートフォン経由の方がメジャーであることになる。今後もこの傾向はさらに強まるところとなり、タブレット機の普及と合わせ、いわゆる「タッチパネル世代」人口を底上げしていくのだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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