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スマホで伸びる子供達のソーシャルメディア利用

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ SNSの入り口としてスマホは子供達にも急速に浸透しつつある

高校生は半数が携帯経由でSNSやチャット

携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)の普及は、ソーシャルメディア(SNS)やチャットの浸透に大きな影響を与えている。機動力の高い携帯電話は、頻繁な情報のやり取りが行われるSNSとの相性が極めて良い。携帯電話の普及とSNSの利用率の上昇は、相互関係的な間柄となり、SNSと携帯電話は切っても切れない関係にある。今回は内閣府が2014年3月に発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査」の報告内容を基に、小中高校生の携帯電話とSNS、チャットの関係を確認していく。

次に示すのは各属性におけるSNS(Facebookやmixi、ツイッターなど)と、チャット(LINEやskypeなど)の利用状況を示したもの。例えば女子中学生全体のうち13.9%が携帯電話でSNSに勤しんでいることになる(携帯電話使用者内比率では無い)。携帯電話を使用していなければ、当然携帯電話でのSNS利用は出来ないことに注意。

↑ 携帯電話でのSNS、チャット利用状況(2013年、学校種類・男女別、各属性非保有者も含めた全体比)
↑ 携帯電話でのSNS、チャット利用状況(2013年、学校種類・男女別、各属性非保有者も含めた全体比)

小学生がほとんどゼロ、中学生でも低めに抑えられているのは、携帯電話そのものの使用率が低めなのに加え、所有する携帯電話に制限がかけられていたり、保護者からSNSなどの利用を止められているから。あるいはアクセスする必要性を感じていないのも一因として挙げられる。

高校生になると携帯電話保有者のほぼ半数がSNSやチャットを利用するようになる。男子よりも女子の方がわずかに利用率が高いが、正直誤差の範囲。

スマホはやっぱりSNS向け

これを利用機種別に再計算したのが次のグラフ。小中高校生すべてを加算している。

↑ 携帯電話でのSNS、チャット利用状況(2013年、保有機種別)
↑ 携帯電話でのSNS、チャット利用状況(2013年、保有機種別)

スマートフォンに限れば半数がSNSやチャットを利用している。スマートフォンがSNS、チャットの普及を後押ししていることが再確認できる。一方、子供のリスクを避けるなどの理由で機能を制限しているスマートフォンの場合、利用率は半分以下に落ちる。特にSNSは1/3近く。それなりに制限機能の効果は発揮されているようだ。

また一般携帯(従来型)電話によるSNSやチャット利用率はいずれも1ケタ台。従来型携帯でSNSを使うとなれば、操作性の面でスマートフォンと比べて著しく劣ることは否めない。さらに現時点で従来型携帯電話を持つ子供の少なからずは、防犯目的で持たされているので、SNSやチャットのようなリスクの高いサービスを利用させてもらえるはずも無い。当然利用率は低いものとなる。

1年で大きく上昇する利用率

前年分の2012年における同様調査による結果を併記したのが次のグラフ。いずれも機種保有・利用者別ではなく、各属性全体に対する比率を算出している。

↑ 携帯電話でのSNS利用状況(2012年-2013年、学校種類・男女別、各属性非保有者も含めた全体比)
↑ 携帯電話でのSNS利用状況(2012年-2013年、学校種類・男女別、各属性非保有者も含めた全体比)
↑ 携帯電話でのチャット利用状況(2012年-2013年、学校種類・男女別、各属性非保有者も含めた全体比)
↑ 携帯電話でのチャット利用状況(2012年-2013年、学校種類・男女別、各属性非保有者も含めた全体比)

2012年から2013年にかけて、小中高校生の間でスマートフォンが急速に浸透した。それに伴い相性の良いSNSやチャットもまた、大いに利用率が上昇している。小学生は変化はほとんど見られないものの、中学生、高校生では2倍から3倍もの伸びを示している。

特にチャットの伸び率が中高生共に著しい。調査では具体的なサービス別の利用実態までは調べていないが、これはズバリLINEの普及によるものと見て問題はない。2012年時点では高校生で1/4ほどの利用率が、2013年ではほぼ1/2にまで伸びている。上昇傾向は継続中であることから、来年は5割以上の利用率になることは容易に想像できる。

スマートフォンとSNSやチャットとの相性の良さは、大人を対象とした数々の調査で確認されている。今件結果からは子供の利用でも変わりは無く、昨今の携帯電話の新型機はほとんどすべてがスマートフォンなことから、むしろ子供の間への普及率の上昇具合は大人以上に著しく、高校生に限ればすでに大人を追い抜くほどの利用率を示している現状が分かる。

小学生、中学生は防犯目的が携帯電話利用のメインの目的なため、携帯電話経由のSNSやチャット利用率上昇は大きな変化はないだろう。一方で高校生では今後さらに急速に広がりを見せるに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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