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固定電話の平日利用、10代はゼロ・20代でも1%未満の衝撃…電話、メール、ソーシャルメディア利用実態

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 最近では固定電話そのものを置かない家庭も。こんな情景も見られなくなる?

平日の若年層での固定電話・超離れ

インターネットの普及、技術進歩と共に、コミュニケーションのかたちも変化をとげ、アナログからデジタルへ、そしてデジタル内でもより新しい手法へとシフトを続けている。総務省が2014年4月に発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を基に、その実状を探っていくことにする。

次に示すのは平日におけるコミュニケーションメディアの平均行為率。要はどれだけの人が利用しているか(頻度や時間は問わない)。例えば10代のソーシャルメディアの値は43.5%とあるので、10代の4割強は平日に、ソーシャルメディアを使ってコミュニケーションをしていることになる。当然、これらのツール以外にもコミュニケーション手段は存在し、利用されている…例えば直接口頭、手紙、貼り紙など…ことにも留意する必要がある。

↑ コミュニケーション系メディアの平均行為率(平日、2013年)
↑ コミュニケーション系メディアの平均行為率(平日、2013年)

全体では約半数が電子メールを用いている。利用ハードルが低く、パソコンだけでなく携帯電話(従来型とスマートフォン双方)も含むため、利用者が多くなる。それに続きソーシャルメディアと携帯電話(による通話)がほぼ同率で並ぶ。固定電話(による通話)、インターネット通話(Skype、LINEなどの音声通話(ビデオ通話含む))の利用者率が低めなのは、技術的な利用ハードルが高いことに加え、導入者自身が少ないことも一因として挙げられる。

世代別ではコミュニケーション系メディアの世代間格差が改めて認識できる。10代はソーシャルメディアが一番多く、それに競る形で電子メールが続き、ネット通話と携帯電話は少数派。固定電話は0.0%。実測値はともかく、少なくとも統計上はゼロ。

20代になると電子メールとソーシャルメディアで利用率が逆転するものの、ソーシャルメディアの利用率は10代よりも上昇。また、携帯電話による通話も2割近くにまで上がる。ビジネス面で使う事例も増えるのが一因か。しかし固定電話は今なお1%にも満たない。

30代以降はソーシャルメディアや電子メールなどのデジタル系メディアの利用が減り、固定電話の利用が増えていく。興味深いのは携帯電話の通話利用が高止まりしていること。シニア層においても、携帯電話を介した通話は十分に普及していることを意味している。また、デジタル系でも電子メールはそれなりに使われている。

若者は休日にコミュニケーションを活性化させる

上記平均行為率については、平日だけでなく休日も実態調査が行われている。そこで休日における平日との差を算出したのが次のグラフ。

↑ コミュニケーション系メディアの平均行為率(休日における平日との差異、2013年)
↑ コミュニケーション系メディアの平均行為率(休日における平日との差異、2013年)

10代・20代は全般的に利用率が増え、減少する項目は無い。平日は学業などで多忙なために知人とのコミュニケーションを行う時間的余裕が無く、その分休日に活性化する次第。特に相手の時間を拘束する(相手がリアルタイムに電話に出て応対する必要がある)、携帯電話での通話の利用機会が増えているのが特徴。

一方30代以降になると電子メールの利用率が顕著に下がる。また固定電話の利用率も落ち込む。これは平日の各メディア利用が就業によるもの、または就業場の端末を利用していたことを示唆する動きである。仕事では電子メールで連絡をするため利用することになるが、プライベートでは利用する機会が無いために利用率が落ちる次第である。プライベートでは使う事例が多いからか、同時にソーシャルメディアの利用率が上昇しているのも、公私を使い分けている様子を想像させる。要は「電子メールは仕事、ソーシャルメディアは個人で」というところ。

主にスマートフォンの普及と共に、ソーシャルメディアの利用性向は上昇を続けている。今後もコミュニケーションツールのデジタルメディアへのシフト化、固定電話の非利用化が進むに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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