Yahoo!ニュース

今なお読まれるニュース文字メディアとしての新聞、30代以降は最多利用

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 新聞とニュースサイト、どちらを購読するか……

紙の新聞は中堅層以降に多用、それ以外ではポータル提供が一番

速報性、拡散性、マルチメディア性、情報蓄積と検索の実装、リンクによる過去データの検証の容易さなど、インターネットはニュース配信と非常に相性が良い。法人の新聞社やポータルサイト、個人に至るまで、多種多様な立ち位置の存在がインターネット上にニュース・情報を提供している。紙媒体の新聞と、これらインターネット上のニュース系情報サイトは、どれほど利用されているのだろうか。総務省が2014年4月に発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の内容を基に、文字系ニュースメディアの利用状況を確認していく。

次に示すのは、ニュース系情報の取得元の利用状況を、文字メディアの範ちゅうで複数回答で答えてもらった結果。動画・音声系ニュースやラジオ、テレビニュースは対象外。

↑ 新聞・ニュースサイトの利用率(2013年)
↑ 新聞・ニュースサイトの利用率(2013年)

全体では紙媒体の新聞の利用率がもっとも高く65.8%。ポータルサイト提供のニュース配信サービス、新聞社提供の無料サイトが続く。新聞各社による新しい収益源として期待される、新聞社の有料サイトは利用率が1.4%に留まっている。

世代別動向では、紙媒体の新聞利用率が歳を重ねるに連れて上昇していく。これは他の多数の調査結果、さらには今調査の別項目・主要メディアの平均行為率動向でも容易に推測できる。

↑ 主要メディアの平均行為者率(2013年、平日)
↑ 主要メディアの平均行為者率(2013年、平日)

60代では10人に9人以上が、文字系ニュースの取得元として新聞を読んでいる。同時にインターネット経由のニュース利用が歳を重ねると共に漸減しており、「インターネットから紙へ」が進んでいる状況が分かる。

やや皮肉な結果なのは新聞社自身が提供するウェブ上のニュースよりも、それらを集約したポータルサイト提供のニュースの方が需要が大きく、多数の人が利用している点。他サービスと一緒にまとめて利用できること、複数配信元の採用で、多種多様なニュースを一括して確認できるメリットが好かれているのだろう。

なお昨今ではウェブサービスの中でも多用されるソーシャルメディア上の提供ニュース(運営側提供だけでなく、利用者自身が引用などの形で流す場合も含む)を利用する事例が増えている。海外ではすでにこの動きを重要視し、複数の調査結果が出ている(例えば「ツイッターはほぼ半々、Facebookは女性多し…アメリカにおけるソーシャルメディアでニュースを読む人事情」)。しかし今件調査では対象項目が無く、「いずれも読んでいない」に該当してしまうため、現状を推し量ることは出来ない。

30代以降は「文字ニュースは紙の新聞が一番」

これら文字系のニュース媒体のうち、どれを一番使っているかを聞いた結果が次のグラフ。

↑ もっとも利用している新聞・ニュースサイト(2013年)
↑ もっとも利用している新聞・ニュースサイト(2013年)

全体ではほぼ6割が紙の新聞、次いで2割がポータルサイト提供のニュース配信サービス。選択肢内ではいずれも使っていないのが2割。

世代別動向を見ると20代をピークにポータル提供のニュースが活用され、それ以降は減少。30代以降は紙の新聞をもっともよく利用している人が増え、60代では実に9割近くが紙の新聞を一番使っている。同世代の紙新聞の利用率は上記グラフの通り91.0%なので、60代は「紙媒体の新聞を利用している人が9割以上で、そのほとんどは『文字系ニュース取得は紙媒体の新聞が一番』と考えている」。若年層から見れば、シニア層が新聞を盲信しているようにすら見える理由も分かるというもの。

新聞社自身のニュースサイトは有料版がほとんど使われず、無料サイトも利用率は低い。やはりまとめて一度に確認ができる、ポータル系サイトのサービスの便宜性に、多くの人が魅力を覚えているようだ。今後は検索の際の「ついで利用」的なポータル系サイトから、同じ「ついで利用」としてソーシャルメディア経由の文字ニュース利用事例が増加していくに違いない。

■関連記事:

シェアされやすいリンクは新聞社サイトやYahoo!ニュース

世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度をグラフ化してみる

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事