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実名登録と自画像、Facebookでの利用実状を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ Facebookは実名・自画像登録が原則(写真は米大統領Obama氏)

利用者の8割強は実名登録、無関係の名前は1割足らず

世界最大手のソーシャルメディアFacebookでは、登録時に実名と本人の自画像による登録が原則。もっとも最近では実名以外でも一般に通用する芸名、ペンネームなどによる通称も利用可能となり、自画像の許容範囲も比較的幅広いものとなっている。一方、日本では匿名掲示板が多用されたこともあり、インターネットにおける投稿では匿名が原則との文化が形成されている。

それでは日本のFacebook利用者はどこまで実名、自画像を使っているのだろうか。ライフメディアのリサーチバンクが定点観測的に行っている調査「Facebook(フェイスブック)に関する調査)」の結果を基に、その実態を探ることにする。

直近の2014年6月に行われた同調査では、調査対象母集団の4割近くがFacebookに登録している。

↑ Facebookに登録をしている(2014年6月)
↑ Facebookに登録をしている(2014年6月)

この登録者に、実名登録をしているか、それとも実名を含む愛称(ペンネーム)を使っているか、または実名すら含まないまったく別人としての愛称を使っているかについて、尋ねたのが次のグラフ。

↑ Facebookに実名登録をしているか(現在登録している人限定)(2011-2014年)
↑ Facebookに実名登録をしているか(現在登録している人限定)(2011-2014年)

直近の2014年では全体では8割強が実名、7.7%が実名を含む愛称。実質的に9割強が実名あるいはそれに類する名前を用いている。プライバシーの問題では男性以上に敏感な女性だが、今件調査の限りではむしろ女性の方が実名利用率は高い。

一方で実名を含まない愛称は7.9%。男性は1割近い。自分の本名を含め実態が暴露されない利点はあるが、上記で記した特例事例以外はアカウント停止のリスクはもちろん、何かあった時・ある時に第三者から確認されないというデメリットもある。Facebookではこの「自分の知人から発見されうる」特性が、最大の長所であり短所なことから、実名非利用者の心境も色々と複雑なものであることが想像される。

経年別に見ると、現在に近づくに連れて実名登録率が上がり、愛称のみの登録率が下がっている。特に2011年から2012年にかけての上昇が著しいが、これは同時にFacebookへの登録率そのものも上昇したこともあわせ、2011年3月の東日本大地震・震災において、実名登録をしていた人がFacebookで安否を確認できたという事例が多数生じ、その便宜性を口コミなどで見聞きし、実利用するために登録した結果と考えられる。類似ソーシャルメディアのmixiも(実名登録か否かかの調査データは無いが)震災以降登録者が増加したとの記録がある。

自画像使用者は少なめ

プロフィール画面で自分の写真を掲載しているか否かを尋ねた結果が次のグラフ。

↑ Facebookのプロフィール写真に自分の写真を使っているか(登録している人限定)(2012-2014年)
↑ Facebookのプロフィール写真に自分の写真を使っているか(登録している人限定)(2012-2014年)

生い立ち(アメリカの大学生向けの交流サービスがベース)が主要因だが、Facebookの実機能・特徴の一つに、利用者一人一人の個人が認識・特定できるデータを開示して利用する点がある。誰もが自由に検索し利用できる住民登録データベースのようなもので、名前などの各種データを基に検索し、プロフィール写真で個人を特定できる。

このプロフィール写真について、自分自身の顔が判断できる形で掲載している人は1/4ほど。自分の写真ではあるが顔が一目では分からないような形で掲載しているのは14.7%。合わせて4割近くが自身の写真を使用している。残り6割強は自身の写真「以外」を使っている。自分の似顔絵やペット、縫いぐるみ、好きなキャラクタなど多種多様な実例、そして自身の写真を掲載しない理由も千差万別のものが考えられるが、多数派であることに変わりはない。

また経年的に大きな変化は見られない。実質的に日本のFacebook利用者は、4割近くが自分自身の写真、1/4程度は顔が判別できる写真を用いているという認識で間違いなかろう。

日本ではプライバシーの問題、掲示板から連なるソーシャルメディアの文化が無記名ベースで浸透したこともあり、Facebookの実名・実写真利用が高いハードルとなっている。昨今ではそのハードルもやや下げられたが、実名登録はともあれ、実写真利用は少数派に過ぎない。例えばFacebook側で規律を厳にし、実際の本人による顔写真以外は即刻アカウント削除という措置を取らない限り、このような状況は今後も継続するだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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