就活生・新社会人による「ブラック企業」のイメージ
ブラックなイメージ「残業手当なし」「残業や休日労働が多い」
ここ数年の間に急速に浸透した造語の一つ「ブラック企業」。色のイメージから想像できるように、広義としては「反社会的行為・違法あるいは不当行為を繰り返す企業」、狭義としては「従業員に必要以上(と思われる)負荷を与える企業」を意味している。就職活動をしている就活生にとっては、非常に気になる要素に違いない。その言葉のイメージ、意味するところについて、もっとも気にしているであろう就活生、あるいは直前まで就活生だった新社会人が頭に浮かべている内容を、連合が2014年6月に発表した調査結果「就職活動に関する調査」からまとめていくことにする。
次に示すのは20歳以上25歳以下の男女で「就活生(就職活動経験ありの最終学年の大学生・院生)」「この4月から就職した社会人1年生」それぞれ500人、合わせて1000人に対して、「ブラック企業とはどのようなものか」との問いを行い、用意された選択肢の中から当てはまるものを選んでもらった結果。最上位は「残業代が支払われない」で、82.7%と8割超の人が同意を示している。
ほぼ同率で並ぶのは「残業や休日労働が多い」。この2項目が8割超で圧倒的多数を占めている。労働時間が長く、しかもその超過労働に対する対価が(満足に)支払われない、すなわちタダ働きの事例が多いことが、「ブラック企業」たる定義の最上位項目ということになる。
次いで「離職率が高い」で62.6%。ただしこれは直接の原因では無く、他の項目で例示されている事柄により、就業継続に耐えられず離職してしまう人が多くなる、つまり「結果」、あるいは「バロメーター」的なもの。これと似たような項目としては「大量に採用している」「採用広告を年中出している」なども該当する。
他の上位項目としては「ノルマが厳しい」「給与が低い」「福利厚生が未整備」、さらには「ハラスメント行為が日常茶飯事」などが挙げられる。いずれも「仕事をし易い環境」とは程遠く、「ブラック企業」と呼ばれても仕方がない。
内容の定義は明確化されているか!?
一方、世間一般に多用されるキーワードとしての「ブラック企業」においても言えるが、イメージされる際の項目について、基準が曖昧なのも多い。
無論「ハラスメント行為が日常茶飯事」「残業代が支払われない」などは問題外。しかし「残業や休日労働が多い」はどの程度までが許容範囲で、それ以上がブラック判定を受けるのか、「ノルマが厳しい」は本当にブラック判定を受けねばならないものなのか、「福利厚生が未整備」とは(法的要件を満たしていた場合)最強・最良のもの以外はすべてブラック企業と呼ばれねばならないのかな。これらの項目では冷静に考え直してみると、首を傾げる面も多分に出てくることになる。
「ブラック企業」と一刀両断するのは極めて簡単。しかしその振り降ろした刀の先にあるものが、本当にブラックなのか否か、考える余裕位は持った方が良いのかもしれない。煽動などに振り回されることなく、冷静な判断を願いたいものだ。
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