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パソコンからケータイへ、シフトが進むネットツール

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ パソコンは便利で使いやすいネット端末に違いは無いのだが……

若者はネットならスマホ、中堅層以降はパソコン

昔はともかく今ではパソコンや携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォン双方)は、ほぼイコール「インターネット利用機器」として存在している。スタンドアローン、非ネット接続による利用は、特殊な環境下による利用で行われる位なもの。据え置き型の家庭用ゲーム機、さらには携帯ゲーム機ですら、インターネットへのアクセスが当たり前となりつつある。それでは実状として、それらの機器のインターネット端末としての利用率はどの程度なのだろうか。総務省が2014年6月に発表した調査結果「通信利用動向調査」を基に、確認をしていく。

次に示すのは、「モバイル系端末(スマートフォンは含むが、タブレット機は含まない)」における「インターネットの利用率」。比較対象としてパソコンを、「自宅パソコン」(=自己世帯所有パソコン)と「自宅以外パソコン」(≒会社や学校など、他人のパソコン)に細分化して集計、さらに単独で「タブレット型端末」をカウントしている。

また、今件利用率はインターネットそのものを利用している・していない人全員を対象にした、全体比。例えば今回の2013年末時点で「自宅パソコン」では6歳位以上全員は58.4%との値が出ている。これは調査対象母集団全員の6割近く(インターネット利用者全体の、ではない)は、自宅のパソコンを使ってインターネットにアクセスしている計算になる。

↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2013年末)(パソコン)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2013年末)(パソコン)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2013年末)(パソコン以外)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2013年末)(パソコン以外)

携帯電話やパソコンの利用時間は圧倒的に若年層ほど長い。当然、その世代における利用率も高くなる。

パソコン関連を見ると、未成年者では「自宅」「自宅以外」の差が大きく開いている。今や学校教育でもパソコンの利用は欠かせないが、インターネットにアクセスできるか否かは別の問題。リスクを考え、非接続とする事例も多い。また、自宅、そして学校以外でパソコンを使ってインターネットを使う機会もあまり無く、値は低めとなる。

成人に達すると「自宅以外」は上昇する。これは企業などで職務上利用するため。それでも「自宅」との差が生じているのは、専業主婦が自宅以外で使う機会を得られないから。また就業者でもパソコンを使わない職種も多数存在する(建設業従事者などが良い例である)。さらに「成人は企業でパソコン経由のネット接続をするから『自宅以外』が増える」動きについては、定年世代以降になると急激にその値が落ちることからも、その事由を説明できる。

パソコン以外では「スマートフォンを含めた携帯電話の利用率」が圧倒的。そして携帯電話そのものの普及率と同じように、20代~30代が高値のピークとなり、それ以降は漸減していく。今件では「自宅」「自宅外」で分割していることもあるが、それぞれのパソコン利用率とスマートフォン利用率とを比較すると、10代後半から40代までは「携帯電話>>パソコン」となっている。若年層から中堅層までは「インターネットといえば携帯電話(多くはスマホ)がメイン」との世代となりつつある。

家庭用ゲーム機によるインターネットへのアクセスを見ると、未成年者を中心に高い値を示している。特に6歳から12歳の世代では3割近くを数えている。そして家庭用ゲーム機には及ばないものの、タブレット型端末も同世代で2割近くと、30代に近い高率を示しているのは注目に値する。

携帯電話と比べると数分の一でしかない「タブレット型端末」「ネット対応型家庭用ゲーム機等」だが、それぞれその機種の特性を指し示す特徴が見えている。

・家庭用ゲーム機経由は「6~12歳」がピークで、以後漸減。30代までは1割を維持するが、使っている層は実質的に40代まで。その年齢位までは「家庭用ゲームもオンラインゲームが浸透している」とも読むことが出来る。

・タブレット型端末のピークは30~40代。しかし「6~12歳」でも18.7%が利用している。子供用のデジタル玩具としてスマートフォンでは無く、タブレット型端末を与える事例が急増している(この世代では自ら同機種を購入することは考えられない)。

スマートフォンの若年層から中堅層への加速度的な浸透、タブレット型端末のシニア層までをも含めた確かな普及率のかさ上げ、そしてタブレット型端末と家庭用ゲーム機の若年層の利用拡大化など、インターネット利用端末におけるトレンドが透けて見える。

中でも幼少児におけるタブレットの保有率の高まりは、注目に値する。育児スタイルそのものにも影響を与えるに違いない。

前年2012年からの変化も特徴的

前年分データ、つまり2012年における計測値との差異を算出したのが次のグラフ。大きな変化が見て取れる。

↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比、変移)(年齢階層別、2012年末→2013年末)(パソコン)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比、変移)(年齢階層別、2012年末→2013年末)(パソコン)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比、変移)(年齢階層別、2012年末→2013年末)(パソコン以外)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比、変移)(年齢階層別、2012年末→2013年末)(パソコン以外)

「若年層から中堅層におけるパソコン、特に自宅以外パソコン利用率の激減」「シニア層のパソコン利用率の増加」「モバイル端末全体の利用率増加」「幼少児の携帯電話利用率の減少と、家庭用ゲーム機・タブレット型端末の増加」など、現在のインターネット界隈の変化を示す動きが、非常に分かりやすい形でグラフとして表れている。この流れは今年、つまり2014年も続き、来年発表される今件数字にも表れるに違いない。それだけネット利用端末の環境は、この1、2年で大きく様変わりを遂げようとしているのである。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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