ゼロ歳から9歳までのネット環境事情
「持たせていない」は約半数
インターネットそのものとアクセス用端末の普及浸透により、ネット環境に囲まれた状態での日常生活も当たり前になった昨今。小さな子供達はどのような形でインターネットに触れているのだろうか。デジタルアーツが2014年7月に発表した調査結果「未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査」からその実情を垣間見ることにする。
今調査対象母集団(未就学児から小学校3年生の子供を末子に持つ保護者)に対し、自分の子供に、専用のインターネット端末をもたせているか否か、持たせている場合は具体的な端末名を聞いた結果が次のグラフ。今件では保護者が日常では保有して、使う時だけ貸し与える事例は該当しない。所有者(購入者とは限らない無い)が子供である場合のみが該当する。
最上位の専用利用端末は携帯ゲーム機で22.3%。10歳未満の子供のうち2割強は、インターネット接続機能付きの携帯ゲーム機を有している。次いで子供向けの従来型携帯電話が16.2%。多分にGPS機能などを搭載した、防犯アイテム的な兼ね合いを有するものだと考えられる。
注目すべきはその次に市販タブレット型端末が位置していること。幼少児にタブレット型端末をもたせる事例が増えている現状が、さらに裏付けた形となる。
一方で「何も持たせてない」との意見も49.7%。インターネットの利用に関するポリシーは世帯それぞれで、幼少時には極力触れさせない、触れさせる場合は常に監視下に置きたいとの考えを持つ保護者も多いものと考えられる。
父母間では母親の方が慎重派
今件を回答者側の性別、子供の年齢で仕切り分けしたのが次のグラフ。
0-3歳児ではタブレット型端末を持たせているとの意見が多い。父親で14.1%(同世代では一番)、母親でも6.8%との回答を示している。
子供が成長するに連れて携帯ゲーム機の値が増え、子供向けの従来型携帯電話の需要も高まる。特に小学校低学年では両端末の利用率がグンと跳ね上がるが、前者は「子供の交友関係が一気に広まり、共通の話題性を持つツールとして携帯ゲーム機が使われる」、後者は「防犯用のアイテムとして従来型携帯電話が利用される」という事由によるもの。他方「持たせていない」との回答は歳を経るにつれて減っていく。
保護者の性別では父親ほど端末を持たせる事例は多く、母親は少ない。「現在持たせていない」の値の違いを見れば一目瞭然。これは父親よりも母親の方が、幼少児のインターネット利用には懐疑的で、可能ならば触れさせたくないとの意見が強いからに他ならない。
携帯ゲーム機とタブレット型端末、この2つが幼少時の子供には主要のインターネットへの窓口となる。そして小学校に上がると防犯ツールも兼ねて(子供用)従来型携帯電話が大いに利用される。現在の子供の「専用端末による」ネット環境はこのような状況となる。もちろん保護者から利用のたびに借り受ける、保護者の目の前で使う事例は多々あり、「現在も持たせていない」がインターネットに一切触れさせていないことを意味するものではない。
子供専用の端末を貸し与えることは、子供にインターネットへのフリーハンドを与えることでもある。アクセス制限を施しても、リスクはゼロでは無い。保護者は十分以上にインターネットを利用する際の注意事項を教え諭す必要があることは言うまでもあるまい。
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