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驚愕しそうな女子高生の携帯利用時間の実態

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 通話もチャットもゲームも…ついつい長時間利用してしまいがち、だが?

朝食時と夕食後に集中する子供の携帯電話利用時間

スマートフォンの普及で一気に便宜性が高まった携帯電話。子供達の間ではその魅力ゆえに言葉通り寝る間も惜しんで操作を続け、通話やネットの世界を楽しむ様子が見受けられる。特に女子高生の利用状況の実態には驚かさせるような、調査結果が相次ぎ報告されている。今回はデジタルアーツが2014年7月に発表した「未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査」から、小学生高学年から高校生における携帯電話(従来型、スマートフォン双方を含む)の利用時間帯を確認していくことにする。

次に示すのは調査対象母集団全体(小学生高学年から高校生。携帯電話保有者限定)における、携帯電話の利用時間の実態。仕切り時間帯毎に5分以上使った場合、その仕切りの回答に該当する。どの時間帯でも5分以上使っていない場合は「5分以上使用無し」の回答になる。防犯用としての利用や、保護者との短時間による安全確認としてのみの使用の場合、これに該当する。

↑ 従来型携帯電話・スマートフォンの利用時間帯(5分以上使う場合に該当)(小学校高学年-高校生)
↑ 従来型携帯電話・スマートフォンの利用時間帯(5分以上使う場合に該当)(小学校高学年-高校生)

小中高校生の生活スタイルを思い返せば容易に納得できるが、朝食前後の時間帯、そして帰宅してから夕食後の時間帯での利用頻度が高い。夕方以降漸増しているのは、終業時間が学年により異なるから。また、日付が変わってゼロ時から午前3時までは7.4%、午前3時から6時までは2.4%が利用している。学校のほぼすべてが昼間展開されていることを考えると、かなり無理な時間帯での利用のようだ

一番利用期待が多いのは18~21時。夕食前後、あるいは夕食後のリラックスタイムが該当しよう。あるいは夕食後は明日の用意を済まし、あとは就寝までずっとスマートフォンなどを操作しているのかもしれない。

男女で異なる利用実態、そしてスマホが……

続いていくつかの属性別での動向を確認する。まずは男女に仕切った上で学校の種類別。

↑ 従来型携帯電話・スマートフォンの利用時間帯(5分以上使う場合に該当)(男子、学校別)
↑ 従来型携帯電話・スマートフォンの利用時間帯(5分以上使う場合に該当)(男子、学校別)
↑ 従来型携帯電話・スマートフォンの利用時間帯(5分以上使う場合に該当)(女子、学校別)
↑ 従来型携帯電話・スマートフォンの利用時間帯(5分以上使う場合に該当)(女子、学校別)

小学生、中学生までは男女とも変わりはない。深夜帯にはほぼ利用せず、朝方と夕食後の時間帯の利用が多い。

ところが高校生になると状況は一転する。小中学生と比べて値が増えるのは男女共通だが、女子の方が伸びが大きく、しかも広範囲に渡る増加を示している。特に夕食後の動向が特徴的で、男子は18~21時から21~24時にかけて漸減していくが、女子は同一時間帯では変化が見られない。18時から24時までの間、利用性向は変わらず、しかも8割近い人が利用している計算になる(もちろん3時間×2を継続利用しているわけではないが、そのような利用スタイルの人も多分にいるだろう)。

さらに深夜時間帯、ゼロ時以降の動きを見ると、男子は0~3時・3~6時でそれぞれ16.5%、1.9%だが、女子は19.4%・4.9%と大きく上乗せした値を示している。「女子高生の2割は深夜ゼロ時から3時までの間に携帯電話を操作している」、「5%は3時から6時に操作をしている」実態からは、その熱中ぶり、あるいは異様な状況が理解できよう。

女子高生の多時間利用性向はアプリ、特にソーシャルメディアやチャット系への注力が要因だが、それと連動する形で、スマートフォンを使っているか否かでも大きく左右される。

↑ 従来型携帯電話・スマートフォンの利用時間帯(5分以上使う場合に該当)(スマホ所有別)
↑ 従来型携帯電話・スマートフォンの利用時間帯(5分以上使う場合に該当)(スマホ所有別)

従来型携帯電話では「5分以上使用無し」が4割近く、利用時間帯がある場合もその回答率は低い。これは防犯用として持たされている事例が多分にあること、そして長時間利用する、熱中できるサービスやアプリが少ないのが原因。むしろスマートフォンには夢中になれるサービスが多分にあるから、利用時間帯が多時間に及ぶと表現した方が良いかもしれない。

大人は深夜就労の事例もあるため、夜間の利用回答がそれなりに高い値を示しても大きな問題にはなりにくい。しかし小中高校生はそのような事例はほとんど無いため、深夜帯での利用は睡眠不足に直結すると考えても良い。実のところ、今調査対象母集団でも全体では6.5%、女子高生に限れば16.5%が「スマートフォンを使用し始めてからの睡眠不足」を自覚している。自覚症状の無い事例を含めれば、もっと高い値を示すのは容易に想像できる。

携帯電話、特にスマートフォンの魅力に、つい夢中になってしまうことそのものは理解できる。しかし無条件で許容していたのでは、大きなトラブルを引き起こしかねない。自覚をうながすのが一番だが、周囲の大人も積極的な働きかけが求められよう。

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小中高校生の携帯電話保有状況をグラフ化してみる(2014年)(最新)

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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