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アメリカでも進む従来型メディアの信頼失墜

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ アメリカでもメディア不信は……!?

従来型メディア(テレビや新聞、ラジオなど)に対する信頼度は少しずつ減退しているとの話をよく見聞きする。特に新しいメディアとしてインターネットを用いた媒体が登場して以降は、従来型メディアの行動が不特定多数に検証されるようになり、その実態が暴露されることによって信頼性に大きな揺らぎが生じている。いわゆる「メディア不信」なるものものだが、この状況は日本に限らずアメリカでも生じている。先日アメリカの調査機関ギャラップ社が発表した長期定点観測としての、対メディア信頼度調査「Trust in Mass Media Returns to All-Time Low」からも、その実情を確認できる。

一般的にマスメディアと呼ばれる従来型のメディアが伝える情報に関して、その信頼性(完全さ、正確さ、公平さ)はどの程度あると認識しているのかを尋ねた結果が次のグラフ。折れ線グラフは「とても信頼している」「それなりに信頼している」の合算値、つまり信頼している派の推移。

↑ 新聞、テレビ、ラジオのようなマスメディアをどれ位信頼しているか(アメリカ)
↑ 新聞、テレビ、ラジオのようなマスメディアをどれ位信頼しているか(アメリカ)
↑ 新聞、テレビ、ラジオのようなマスメディアをどれ位信頼しているか(アメリカ、信頼派)
↑ 新聞、テレビ、ラジオのようなマスメディアをどれ位信頼しているか(アメリカ、信頼派)

昔から今にかけて少しずつ「それなりに信頼している」人達が漸減し、その分「あまり信頼していない」「全然信頼していない」人が漸増している。直近の2014年ではまったく信頼していない人は1/4近くに達している。また信頼派の動向(計測年数が飛んでいるのでグラフは1997年以降に限定している)を見ても、少しずつ右下がりの動きを示しているのが分かる。

「全然信頼していない」人の割合はインターネットの普及状況とやや連動しているように見える。一方で「それなりに信頼している人」や「あまり信頼していない人」の動きはそれ以前から生じており、比率だけを見ると「従来型メディアの信頼面での凋落は以前からのもの」「インターネットの普及は強度な不信感を持つ人を増やし、それなりに信頼感を持つ人を削りつつある」と読める。

次に示すのはニュースメディア全体の保守的傾向に関する設問。今件ではマスメディアなどの表現では無くニュースメディアと対象を示しており、具体的メディア例は挙げていない。インターネット提供のものも含めた、と考えて良い(もっともインターネット経由のニュースの大部分は、新聞やテレビ提供社による、ベースとなるメディア掲載のコピーなので、あまり深い事は考えなくてもよいのかもしれない)。

↑ ニュースメディアは一般的に自由主義的(リベラル)過ぎるか保守主義的過ぎるか(アメリカ)
↑ ニュースメディアは一般的に自由主義的(リベラル)過ぎるか保守主義的過ぎるか(アメリカ)

自由主義的が4割強、保守主義的が1割強、中庸が1/3程度。この割合は継続しており、経年的変化は無い。ただし直近の2014年に限ると中庸・自由主義的過ぎると考えている人が減り、保守的過ぎると考える人が増えている。今世紀に入り、特にアメリカの予算周りで色々と問題が顕著化し、さらにシェールガスの量産化が始まって以降、アメリカという国そのものが保守化しつつあるとの指摘がなされている。アメリカのニュースメディアもそのような動きを見せ始めているのかもしれない。

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新聞一番テレビが二番…メディアへの信頼度、テレビと新聞の高さ継続(2014年)(総務省)

信頼を失いつつある米新聞やテレビニュース

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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