半数近くは「月に1冊も本を読まない」驚きの事実
インターネットの普及によるメディアの多様化に伴い、紙媒体の本は手に取られなくなりつつある。いわゆる「本離れ」の現状はどれほどなのか、文化庁発表の「国語に関する世論調査」の結果から確認していく。
今回発表された最新の報告書では、過去3回分の「1か月に読む本」の冊数の結果が掲載されている。今件における「本」とは、電子書籍では無い紙媒体のもの。しかも雑誌やコミックは含まれない。また2002年度では選択肢の区分が一部異なっている部分があることから、他年調査との整合性のため「読まない」以外はすべてまとめて「1冊以上」と表記している。
一か月に1冊も本を読まない人は、2002年度で37.6%。2008年度には46.1%、そして2013年度では47.5%にまで増加している。本を読む人においては冊数が多少増えており、いわゆる二極化が進んでいるようだ。
このうち「1冊も読まない人」の比率について、各調査年度別に世代区分動向を確認したのが次のグラフ。イメージ的には「若年層ほど本を読まない「シニア層ほど読む」との印象があるが、実際には一番読まないのは高齢層、そして一番読書をするのが中堅層との結果が出ている。
中堅層が一番本を読み、シニア層が一番読まない、40代以降は漸次読まない率が増加していく。この構造は2002年度から変わらない。そして最近の調査に至るにつれて、どの世代も少しずつ本を読まない層が増えていく。電子書籍の浸透などで若年層の本離れが加速しているように見られるが、実際には全世代で少しずつ本から遠のいている。
これら「1冊も読まない」人の中には、「電子書籍で代替している」との意見の人もいる。しかし電子書籍へのシフトだけでは、2002年度や2008年度の高い値、そして2002年度から2008年度に向けた上昇の説明は不可能。さらにいえば2002年度時点はインターネットの普及もまだまだ序の口だったため、「ウェブ上での文章を読む機会が増えたので本を読んでいない」との説明も無理がある。インターネットの普及は状況の加速化をうながしただけで、中長期的に紙の本離れは進んでいるさなかにある、と見た方が道理は通りそうではある。
■関連記事: