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日米安保、アメリカ合衆国では約8割が評価(2014年)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日米安保が今なお重要な条約には違いない(写真はオスプレイ・米海軍サイトから)

米国内での安保維持への支持、回復へ

現在において日本の安全(国防、軍事的な国の保安を中心とした「安全」)は、自衛隊と日米安全保障条約に基づいた安全保障体制の二本柱で守られている。このうち日米安保に関して、アメリカ側がこのまま維持すべきか、そうでないのかを聞いた結果が次のグラフ(外務省における米国内での対日世論調査の結果から。以下同)。2008年に一般人の意見でやや凹みがあるが、、一般人は大よそ漸増、有識者は8割後半から9割の高水準で「維持すべき」と肯定的意見を持っていた。

↑ 日米安全保障条約の維持について(「維持すべき」「そうは思わない」「分からない」のうち「維持すべき」の回答者)
↑ 日米安全保障条約の維持について(「維持すべき」「そうは思わない」「分からない」のうち「維持すべき」の回答者)

昨年2013年分では一般人肯定者が22%ポイント、有識者の肯定者が16%ポイントと大幅な下落を示しており、データが残っている1996年以降においては一般人・有識者共に最低の値が記録された。一般報道でも多数伝えられたので、記憶に留めている人も多いだろう。この下落については2008年の時(米大統領選挙戦における選挙方針によるもの)のような特段の理由も想定できない。この年から調査方法に変更があったことが確認されており、それによって生じたイレギュラー的なところがあったと見た方が道理は通る。

直近2014年は一般人・有識者共に、半戻し的な状況を呈している。それぞれ14%ポイント、8%ポイントの増加となったが、同時にその大部分が「分からない」の減少で補われている。また「そうは思わない」、つまり安保維持に反対する意見は調査開始以来一貫して1ケタ台のままなことに留意しておく必要はある。

日米安保はアジアや米国自身に貢献しているか否か

ではその日米安保は、日本と極東の平和と安定へ寄与貢献しているものなのか否か。「貢献している」と認識・判断をしている人の割合は次の通り(軍事戦略、政略的な現実問題はまた別の話)。

↑ 日米安全保障条約は日本と極東の平和と安定へ貢献しているか(「非常に貢献している」「やや貢献している」「わずかしか貢献していない」「全く貢献していない」「意見無し」のうち「非常に貢献している」「やや貢献している」の回答者合計)
↑ 日米安全保障条約は日本と極東の平和と安定へ貢献しているか(「非常に貢献している」「やや貢献している」「わずかしか貢献していない」「全く貢献していない」「意見無し」のうち「非常に貢献している」「やや貢献している」の回答者合計)

有識者は高い値で安定、一般人は2008年の大統領選時に多少の凹みを見せるも全般的には漸増傾向にある。直近データでは一般人77%・有識者89%が「日米安保は日本と極東の平和と安定へ貢献している」と評価をしている。

2014年では前年から続き一般人における値の低下が気にかかるが、これは主に「わずかしか貢献していない」と「意見無し」の回答値増加によるところが大きい。「まったく貢献していない」は前年の6%から3%に減少している。

最後に、日米安保が日本やアジア諸国では無く「アメリカ合衆国自身の」安全保障にとって重要か否かの問題。直近で8割強から「重要視している」との回答が得られた。

↑ 日米安全保障条約は米国自身の安全保障にとって重要か(「極めて重要」「ある程度重要」「あまり重要でない」「全く重要でない」「分からない」のうち「極めて重要」「ある程度重要」の回答者合計)
↑ 日米安全保障条約は米国自身の安全保障にとって重要か(「極めて重要」「ある程度重要」「あまり重要でない」「全く重要でない」「分からない」のうち「極めて重要」「ある程度重要」の回答者合計)

興味深いのは、この点、つまり日米安保におけるアメリカへの直接的な利益という観点においては、一般人も有識者もさほど変わりないレベルで高評価を与えている点。これをどのように解釈するかは人それぞれだが、少なくとも日米安保はお互いにとって重要度が高いとの認識が、一般レベルでは浸透していると考えて問題はなさそうだ。

もっとも日本と極東の平和と安定への貢献に関する意見同様、一般人の値がやや下げているのが気になる動きではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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