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シートベルト着用率、一般道走行時の後部座席では35%のみ

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 運転手だけでなく助手席搭乗者もシートベルト着用は欠かさずに

万一の自動車事故の時にリスクを大きく減らしてくれるシートベルト。走行時の装着は後部座席着席者も含めて義務付けられているが、実際にはどこまで履行されているのだろうか。JAFと警察庁による定点観測的共同調査の最新版が2014年11月19日に発表されているが、今回はその最新データも合わせ、着用状況を確認していく。

次に示すのは、その最新データ(2014年10月1日~10日にかけて行われた全国調査の結果)に基づいたシートベルト着用率の実情。一般道での運転者の着用率は前年比プラス0.2%ポイントの98.2%、高速道路などでは前年比プラス0.1%ポイントの99.5%と高い割合だったが、後部座席はそれぞれ35.1%(プラスマイナスゼロ)・70.3%(プラス2.1ポイント)と低めの値に留まっている。

↑ シートベルト着用状況全国調査(2014年)によるシートベルト着用率
↑ シートベルト着用状況全国調査(2014年)によるシートベルト着用率

シートベルトは正しく着用することで、「確実に」交通事故による犠牲者が減ることは数字の上でも証明済み。「警察庁の広報ページ「命を守るシートベルト~全ての座席で着用しましょう」」の記述にも「非着用者の致死率は着用者の約15倍」「非着用死者の車外放出の割合は着用者の約22倍」など、それを裏付ける値が確認できる。関係者・団体による啓蒙活動などが功を奏し、少しずつ着用率は上昇しているが、いまだ100%には至っていない。

また2008年の改正道路交通法施行(後部座席も含めた全席シートベルト着用義務化)に伴い、後部座席でも着用率は2008年から急激な上昇を示している。しかしながら現時点でも高速道などで7割強・一般道では3割強と、前部座席と比べて着用率は低い。

↑ 一般道におけるシートベルト着用率推移
↑ 一般道におけるシートベルト着用率推移
↑ 高速道等におけるシートベルト着用率推移
↑ 高速道等におけるシートベルト着用率推移

さらに高速道などにおける着用率の方が、一般道と比べて高い。これは高速道は運転速度が速く、その分事故の際のリスクが大きい(と認識されている)ため、運転者なども身構え、気をつける割合が高いから。しかしながら一般道での走行速度でも、万一の際におけるシートベルトの着用の有無による「リスク」の差は極めて大きい。

「普通の道路の速度なら、シートベルトをしなくても問題ないだろう」「どの道、事故など滅多に起きない」「目的地まで数分で行けるに決まっている」「エアバッグがあるから」「後ろの座席は安全だから」との思い込み、油断は禁物。後部座席でも着用率は少しずつ上昇しているものの、それでもまだ運転席の着用率と比べればはるかに低い。「自動車に乗ったらまずは全員がシートベルト」を習慣とするよう、運転手も同乗者も皆、心がけてほしい。

特に後部座席に座る子供は、シートベルトの着用を嫌がる傾向がある。その時にはまず運転席・助手席などの親が着用し、その姿を自慢しながら教えさとすことをお勧めする。子供は親の真似をするもの。親が積極的に、嬉しそうにシートベルトをすることで、子供も積極的につけるようになるに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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