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現金からクレカ・電子マネーへ…夫婦世帯ではお金の支払いに何を使っているのだろうか(2014年)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今でも現金は支払い手段として多くの人に使われている、が……

少額は現金払い、多額になるとクレカも

商品やサービスの購入対価として支払うこととなる代金。現金以外にクレジットカードや電子マネーなど手立ては多数用意されている。その手段の使われ方の移り変わりを、金融広報中央委員会の「知るぽると」が2014年11月に発表した「家計の金融行動に関する世論調査」の内容を基に、夫婦世帯(二人以上世帯)について見ていくことにする。

直近2014年における、金額別主要決算手段は次の通り。4つの選択肢のうち「主なもの2つ」を答えてもらっている。

↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答)(2014年、二人以上世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答)(2014年、二人以上世帯)

夫婦世帯の場合、小口決済でも電子マネーなどが使われる状況はあまり無い。現金支払いがメインで、金額が大きくなるとクレジットカードの比率が高くなる。5万円を超えると現金以上の使用率にまで上昇する。

気になるのは電子マネーの利用頻度の低さ。スマートフォンの普及、対応店舗数の拡大に伴い、少額決済が便利な電子マネーはもっと普及しているはず。そこで質問用紙を確認すると、文言には「あなたのご家庭では、日常的支払い~」とある。つまり世帯構成員一人ひとりのプライベートでの支払いではなく「世帯全体の家計として」との認識で回答していることになる。

クレジットカードを家族全体の買い物に使う事はあっても、個々の持ち物(スマートフォンなどの携帯電話に組み込んでいる)の電子マネーを「家庭全体向けの」買い物に使うことは多くない。電子マネーは「家計全体のお財布」では無く、「世帯構成員一人ひとりのお小遣い・お財布」的な要素が強い。そのように考えれば、夫婦世帯で電子マネーの「日常的支払」比率が低いのも納得がいく(必然的に家庭(世帯)の支払い=個人の支払いとなる単身世帯では、電子マネーの利用頻度も高い結果が出ている)。

夫婦世帯でも少しずつ電子マネー利用率は増加中

夫婦世帯では現金とクレジットカードが主流……だが、時代の流れと共に少しずつ変化も生じている。

↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「現金」回答率)(支払金額別)(二人以上世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「現金」回答率)(支払金額別)(二人以上世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「クレジットカード」回答率)(支払金額別)(二人以上世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「クレジットカード」回答率)(支払金額別)(二人以上世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」回答率)(支払金額別)(二人以上世帯)
↑ 金額別主な資金決済手段(2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」回答率)(支払金額別)(二人以上世帯)

データが公開されているのは2007年から2014年の8年分。その8年の間で現金の利用は漸減し(但しごく少額の支払いにおいては現金回答率はあまり変わらない)、クレジットカードや電子マネーの利用が少しずつ増加している。特に電子マネーは2010年以降急増しており、従来型携帯電話・スマートフォンの「おサイフケータイ」普及が大きなトリガーとなったことは容易に想像できる。また、その時期でクレジットカードの少額決済での利用頻度は落ちておらず(むしろ増加中)、現金の比率が1000円超の金額では減少していることから、「おサイフケータイが現金の代わりに(少しずつながらも)使われ始めた」ことが分かる。

クレジットカードは利用頻度や金額に伴い、さまざまな特典を得られるため、積極的に支払いに使う人が増えている。一方でクレカを使えない、使うのが面倒な人においては、プリペイド式の電子マネーの利用が増えており、コンビニを中心に多種多様なカードが発売されることで、利用がますます促進されつつある。

今後数年間のうちに対価の支払いスタイルは、さらに大きな変化を見せていくに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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