Yahoo!ニュース

日本の保有自動車台数は何台ぐらいだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本全体で保有されている自動車の台数は……?

昨今では危機感と共に若年層の自動車離れが業界から盛んに語られている。それでは日本全体では自動車はどれほど保有されているのだろうか。国土交通省の自動車輸送統計年報を基に、乗用車、軽自動車、小型二輪、さらにはトラックやバスなども合わせた自動車全体の中期的な保有台数動向を探る。なお今件は自家用だけでなく業務用も合わせたものであり、また各年に購入された需要台数では無いことに注意が必要となる。

まずは単純に車種別の登録数動向。

↑ 主要車種別自動車保有台数(年度)
↑ 主要車種別自動車保有台数(年度)
↑ 主要車種別自動車保有台数(年度)(積み上げグラフ)
↑ 主要車種別自動車保有台数(年度)(積み上げグラフ)

乗用車は1990年代中盤まで右肩上がりだったもののその後横ばい、2005年度前後以降は漸減傾向。一方で軽自動車は1980年度以降一貫して上昇、このままならば今後10年から20年で両者の保有台数上の立場は逆転する可能性が高い。トラックは漸減状態。

そしてバイクや特殊車両まで全部まとめた登録車両数全体としては、2006年度をピークに減る気配を見せていた。しかし軽自動車の増加が貢献し、ここ数年は再び増加しつつある。またエコカー減税も増加に大きく寄与しているといえる。

↑ 保有台数増減(2013年度、前年度比、万台)
↑ 保有台数増減(2013年度、前年度比、万台)

続いて各車種の変移が分かりやすいように、前年度比を折れ線グラフ化する。計測開始初期の増加率が著しいことから、対象期間を1980年度以降に限定したもので状況を確認する。

↑ 主要車種別自動車保有台数(前年度比)(1980年-)
↑ 主要車種別自動車保有台数(前年度比)(1980年-)

1990年に小型二輪の特異な減少が起きている。これは馬力自主規制によるところが大きい。また1996年の特殊車両の減少は、いわゆる「第一次排ガス規制」によるもの。

軽自動車や小型二輪は増加率そのものは減っているが、台数は漸増を維持(前年比プラス圏をキープ)している一方、トラック・トレーラーは1990年代半ば、乗用車は1990年代にはすでに増加率が縮退しはじめ、2005年前後からマイナスに転じている。需要の変化が改めて分かる。2010年度では特殊用途車の「前年度比」の大きな上昇が目に留まる。これは2011年4月1日から施行された「大気汚染防止法」に伴う需要によるもの。

そしてこの数年はどの車種も前年度比をじわりと上げている。軽自動車の前年度比プラス2.7%を筆頭に、小型二輪のプラス1.9%などが目に留まる。

最後は把握されている主要車種全体に対する、個別車種比率の推移。

↑ 主要車種別自動車保有台数(年度)(全体比)
↑ 主要車種別自動車保有台数(年度)(全体比)

自家用自動車の普及に伴いトラック・トレーラーの比率は減り、乗用車は増えていく。軽自動車は1970年代~1980年代後半にかけて一度シェア上昇の動きを見せ、その後今世紀に入ってから再び上昇を開始している。昨今ではトラック・トレーラーと乗用車が共に減り、軽自動車が増加の一途をたどっている。2013年度時点で乗用車は49.6%・軽自動車は38.5%。乗用車の50%割れは1974年度に47.4%をつけたのを最後に、39年ぶりの話。

世の中に出回っている自動車の種類別比率は大きな変化を見せつつある。ライフスタイルの変化の他に、世帯数が増加し、一世帯当たりの平均人数が減ることで、「自家用車も小型で十分」との需要の変化が、特に乗用車と軽自動車の間で見られる割合の変化をもたらしたと考えれば、十分納得もいく。法令や社会情勢の大きな変化がない限り、この動きはしばらく継続するに違いない。

■関連記事:

軽自動車の保有台数と世帯あたり普及台数をグラフ化してみる

外より家、遠出より近所……変わる若年層のライフスタイル

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事