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「米では伸び悩み」だが「圧倒的立場」に違いないFacebookの現状

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 成長度合いは鈍化したがその圧倒感は相変わらずなFacebook

頻繁利用されるFacebook

日本でも確実に普及浸透を続けているソーシャルメディアの雄Facebookだが、本家アメリカでは伸び悩みが相次ぎ伝えられている。しかしその立場が圧倒的なものであることもまた変わりはない。その実情を同国の民間調査機関Pew Research Centerが2015年1月に発表した調査結果「Social Media Update 2014」から確認していく。

その調査結果によれば、アメリカの18歳以上の成人男女のうち、インターネット利用者(調査対象母集団の79.7%)に占める利用状況は、LinkedInやInstagram、Pinterest、Twitterなどと比較すると頭打ちの状態にある。無論天井感によるところが大きいが、成長そのものが足踏み状態にある事にも違いは無い。

↑ 主要ソーシャルメディア利用状況(米、インターネット利用者限定)
↑ 主要ソーシャルメディア利用状況(米、インターネット利用者限定)

一方、Facebookにおける利用感の濃さは他のサービスとは比較にならない程のもの。それぞれの利用者における利用頻度を示したのが次のグラフだが、Facebookがきわめて濃密なアクセス状況にあるのが分かる。

↑ ソーシャルメディアの利用頻度(米、2014年、各利用者対象)
↑ ソーシャルメディアの利用頻度(米、2014年、各利用者対象)

写真や映像の撮影アプリInstagramが、その機能上利用頻度が高くならざるを得ない事例のように、それぞれの特性によって利用頻度は異なってくる。ただし多分に使い手側の熱中度合いでコントロールされる部分も多い。例えば就職活動や仕事のやり取りなどで多用されるLinkedInだが、極論としてそれこそ毎時間のようにアクセスし、リアルタイムに近い返答をするのも一つの利用スタイルではあるものの、実際には多くの人が週一未満でしかアクセスしていない。1日1回以上の利用者は13%に限られている。

Facebookだが、毎日利用者は7割。一日複数回利用に限っても5割近くに登っている。利用者の13%しか週一未満の利用者は居ない。いかに多くの人がFacebookにのめり込み、アクセスを重ねているかが分かる。

Facebookは居酒屋の「とりあえずビール」状態

利用頻度だけでなく、他サービスとの併用度合いでもFacebookは抜きんでている。次に示すのは主要ソーシャルメディアの利用者における、他サービスの併用状況を示したものだが、Facebookが事実上「基準的存在」にあるのが分かる。

↑ ソーシャルメディアの複数利用状況(具体的実情)(米、インターネット利用者限定)
↑ ソーシャルメディアの複数利用状況(具体的実情)(米、インターネット利用者限定)

横の段のTwitterは「Twitterを利用している人」を意味する。例えば棒グラフの一番左側にある58%は「Twitter利用者のうち58%は、Instagramも併用している」と読む。当然、Twitterの項目ではTwitter自身の部分は空白となる(Twitter利用者に「Twitter利用してる?」と聞けば全員がハイと答えるに決まっている)。

最初に目に留まるのがFacebookを意味するエメラルドグリーンの値の大きさ。これはTwitter・Instagram・Pinterest・LinkedInそれぞれの利用者はFacebookを併用している人が多いことを意味する。一方Facebook利用者における他のサービスの併用率は3割前後でしかない。状況としては「とりあえずFacebook」で、併用して他のサービスも利用する、かもといった形。

他のサービスの連動性を見ると、Twitterは他との相性がやや良好、LinkedInはいくぶん低迷の感はある。もっともその違いは精々数%程度のものなので、特性と結論付けるほどのものは無い。

「若者のFacebook離れ」という語呂の良さから、日本でもよく見受けることができるFacebook衰退論。今調査の限りではむしろ中堅層の離脱状況が確認されている。そして少なくとも、かつてのような飛躍的成長ぶりはもう見られないのは間違いない。

他方アメリカに限っても、定番中の定番的なポジションについたこともまた事実。管理運営側が適切な対処を施し、巧みな運営を続ければ、この絶対的なポジションは末永く維持されるに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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