転職者の転職先は正規か非正規か、その現状を探る
就業中の職場の労働条件に耐え切れず自発的離職を余儀なくされる場合以外に、リストラの対象になる、定年退職や早期退職制度を活用して職を辞する、他企業からの引き抜きを受ける、勤めている会社が倒産するなど、多様な理由で現職から離れ、新たな職に就くことを転職と呼んでいる。正社員だったが再就職の中で非正規社員としてしか再就職できない場合や、逆に非正社員から正社員への転職を果たす人もおり、雇用形態上の観点でもさまざまな人生の躍動感がある。今回は総務省統計局発表による2014年分の労働力調査の結果を基に、直近1年間に離職して新たな職についた人の、正規・非正規の雇用形態況の変化を確認していく。
次に示すのは前職を辞してから1年以内に再就職を果たした人のうち、雇用形態、具体的には正規社員と非正規社員の地位の変化を踏まえ、その動きを示したもの。
2014年に転職をした人は261万人。そのうち正規社員だったのを辞した人は101万人、非正規は160万人(転職をしていない人もいるので、辞めた人の合計が261万人では無い)。元正規社員で再び正規社員になれた人は61万人だが、残りの40万人は非正規社員として再就職している。一方非正規社員だった160万人のうち正社員になれた人は35万人で、残りの125万人は再び非正規社員の地位で再就職している。
例えばスーパーでパートをしている女性がもう少し良い条件で働ける別のスーパーに転職する場合など、一概に非正規社員の地位が正規社員よりも望まれていないとは限らない。しかし非正規社員の人が転職をする場合も、正規社員になれる可能性は(人数的に)少数の事例となることが分かる。
この転職における正規・非正規の雇用状況の移転について、正規社員から非正規社員、非正規社員から正規社員、つまり就業上の立ち位置が変わった場合に限り、さらに男女別に動向を経年変化で見たのが次のグラフ。
2013年のようなイレギュラーな値を示すこともあるが、大よそ非正規社員は女性の方が圧倒的に多く、求人も非正規社員の職は女性が適している場合が多いこともあり、非正規社員から正規社員になれた人の数は男性よりも女性の方が多い。逆に正社員の数は男性の方が多いことから、正社員から非正規社員となる人の数は男性の方が多くなる。一方、2013年において男性の正規社員から非正規社員への転職者が急増しているが、これは55~64歳の正規社員が早期退職・定年退職などで退職し、嘱託などの非正規社員として再就職した事例が少なくない。
ここ数年は男女ともに非正規から正規に転職がかなう事例が増加している。それが元々本人の希望によるものであれば、喜ばしい話には違いない。
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