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「日米安保は日本の平和と安全に役立つ」8割超えが同意・過去最高値

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 米海軍と海上自衛隊との交流も盛んに行われている(米海軍公式HPから引用)

「日米安保は日本にプラス」8割超

日本の戦後における外交・政治・軍事さらには経済の面で大きな役割を果たした条約の一つに「日米安全保障条約」(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)がある。その条約の意義について内閣府が定期的に調査を実施、結果を発表している「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」の最新結果によると、8割を超える82.9%の人が日本の平和と安全に役立っていると答えていることが明らかになった。「役立っていない」との否定的意見は11.5%に留まっている。

次に示すのはその設問に関する具体的な結果。日米安保に関して日本の平和と安全に役立っているか否かを5段階評価で聞いている。

↑ 日米安全保障条約が日本の平和と安全に役だっていると思うか(内閣府調査)(2015年)
↑ 日米安全保障条約が日本の平和と安全に役だっていると思うか(内閣府調査)(2015年)

属性別に見ると、女性・若年層の否定感、高齢層の留保感(「分からない」の回答率の高さ)がやや強い。軍事的な話には拒否反応を示しやすい属性なので、この動きは当然といえる。もっとも20代では否定派は5.6%+1.2%の6.8%に留まり、肯定派が世代別では一番多い(88.8%)のも特徴的。

経年変化を見ると、湾岸戦争時に大きな動き、具体的には否定派の増加・肯定派の減少が確認できる。それ以外は大よそ肯定派の増加が継続している。否定派は大きな動きを見せず、ほぼ横ばいのまま。

↑ 日米安全保障条約が日本の平和と安全に役立っていると思うか(経年変化)(内閣府調査)
↑ 日米安全保障条約が日本の平和と安全に役立っていると思うか(経年変化)(内閣府調査)

前回調査の2012年では肯定派がはじめて8割を超えた。今回の2015年ではさらに増加し、過去最高の82.9%となった。この動きは「分からない」、あるいは判断留保の人の割合が減ってきたことをも意味する。時間の経過と共に安保の意味合いが浸透し、はっきりと判断をする、特に肯定する人が増えてきたと考えられる。

日米安保は必要か不要か

日米安保が日本の平和と安全に寄与すると考えている人は漸増している。それでは安保体制以外に、日本の安全を守るための選択肢は無いのだろうか。現状維持も合わせいくつかの選択肢を提示し、どれが適切と考えているかを選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 日本の安全を守るための方法(内閣府調査)(2015年)
↑ 日本の安全を守るための方法(内閣府調査)(2015年)

日米安保肯定派が、ほぼ「現状維持」にシフトした形となっている。次いで多いのは「安保を撤回して自衛隊のみで日本の安全を守る」との回答だが、どの属性でも1割に満たない。「安保撤回・自衛隊も縮小か廃止」(この状態でどのようにして安全を守るのかは設問では説明されていない)の回答者は数%%程度しか無く、最大値を示している属性の50代でも6.1%。「分からない」との回答も1割に満たない。

属性別傾向を見ると、世代別では若年層ほど現状維持(日米安保体制の維持)への支持が多い。日米安保への有益さへの肯定度合いは高齢層の方が高いことを合わせて考えると、ねじれ現象が起きているようにも見える。若者は「安保はそれなりに役立ってる。撤回は問題外」、高齢層は「安保はとても役に立っている。撤回すべきか否かは分からない」と評価すべきか。

今件の経年変化を見ると、戦争・軍事関連の大きな出来事があると「現状体制」への反発が強くなる動きが確認できる。また近年につれて現状維持への意向がより強くなっている。

↑ 日本の安全を守るための方法(内閣府調査)(経年変化)
↑ 日本の安全を守るための方法(内閣府調査)(経年変化)

「現状維持」が8割を超えさらに増加する動きを示していることから、大勢の意見は「日本の平和・安全には日米安保の現状維持が一番」と判断して問題は無いだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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