自転車の交通事故件数は漸減中、ではその中身は?
自転車に係わる事故件数は漸減中
健康志向や災害時のリスク分散、さらには利用者世代の拡大に伴い、自転車の利用者は増加し、自転車による事故も増えている「と言われている」。その実情と中味を警察庁の各種公開統計データから確認していく。
次に示すのは自転車に乗っている人の交通事故発生件数。グラフ中の「自転車乗用者(第1・2当事者)の交通事故発生」との用語だが、これは
第1当事者…事故車両で過失の重い側、同じ程度なら怪我の程度が軽い側
第2当事者…第1当事者以外(双方とも「最初に」事故に関与した車両)
を意味する。例えば自転車の整備不良によるトラブルで横転したり、不注意で穴にはまって転倒した場合、自転車の運転手が第1当事者。第2当事者は居ない。また正しい場所を走行していた自転車に自動車が不注意で接触し、事故が発生した場合、自動車側が第1当事者となり、自転車は第2当事者となる。
まずは経年の事故件数。対自動車件数が多く他の項目の値が小さくてサイズ的につぶれがちとなるため、全体のグラフ、さらに対自動車項目をのぞいたグラフを併記する。
自転車事故では対自動車の事故が最多であることに違いはないが、その数は2004年をピークに減少傾向にある。また、二輪車(バイク)や自転車相互、自転車単独の事故も減少中。一方で対歩行者事故数(緑色部分)の減り方は鈍い。
ピーク時の年間総発生件数は18万8000件ほど。直近の2014年はそこから7万9000件ほど少ない10万9300件ほどに留まっている。割合としてほぼ3/5、2/5減。10年ほどの間に随分と減少したことになる。各方面の努力の成果に違いない。
事故相手はどのように変化しているか
今件につき、各年の総事故発生件数に占める、各項目の件数比率を算出したのが次のグラフ。やはり対自動車件数が最多となり、他の項目を圧迫してしまうため、対自動車件数比率をのぞいたグラフも併記している。
事故全体に占める比率では対自動車が2007年~2008年を底に再び増加、ただしこの数年は横ばい。そして対歩行者、自転車相互の比率が継続的に増加しているのが気になる。
特に対歩行者事故は2008年頃まで絶対数も増加していた。直近数年においてようやく横ばいから減少傾向に転じつつある。とはいえその歩みは緩やかで、事故全体数の減少の勢いと比べればはるかにゆっくりとしたもの。結果として各年の全体値に対するシェアは漸増してしまっている。
自転車も歩行者も共に、くれぐれも注意してほしいものだ。
■関連記事: