小中高校生の電子書籍利用の実態を探る
パソコンやスマートフォンを用い、インターネット上に掲載されている書籍や雑誌を閲読する、新しいスタイルの読書が浸透しつつある。紙の代わりにデジタルを用いた「新」読書はどこまで普及しているのか。内閣府が2015年3月に確定報を発表した「平成26年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果」における電子書籍の利用実態から、その実情を探ることにする。
次に示すのはパソコンやスマートフォンなどのインターネットへの接続媒体でインターネットを利用している人における、電子書籍の利用状況。設問表では「何をしているか」の対象として「電子書籍」とのみ記述され、具体的な説明は無い。電子書籍と電子雑誌は別物扱いされることが多いが、今件は「インターネット上で読める本や漫画、雑誌など」すべてを対象としていると判断する。また有料・無料の別の設定も無いため、単純に閲読しているか否かを答えてもらったものとする。
パソコンではデスクトップもノートも大きな違いは無く、小学生ではほとんど使われていない。中高生では大よそ4%。25人に1人の割合。タブレット型端末は小学生ではやはりゼロに等しいが、中学生以上になると大よそ10%ほどの閲読率。学習用タブレットは利用者そのものが多い小中学生で、閲読率が普通のタブレット並、あるいはそれ以上を示しているのが興味深い。
スマートフォンでは中学生で10%強、女子の方が積極的に電子書籍を利用している。高校生になると16%強、スマートフォンを使ってインターネットを利用している高校生のおよそ1/6は、電子書籍を利用している計算になる。
インターネット利用端末の利用者における電子書籍の利用状況としては、スマホが一番、タブレットが2番、パソコンはひかえめ。また中学生から積極的に読み進められ、高校生ではスマホとタブレット型端末で1割以上の閲読率を示している。
次に示すのは上の値を元に、各属性全体に占める割合を算出したもの。
総数のスマートフォンは6.3%の値が出ている。これは、小中高校生合わせた全体のうち6.3%、およそ16人に1人はスマートフォンで電子書籍を利用していることを意味する。
元々該当端末によるインターネット利用率が低い小学生は、誤差の範囲に収まる利用率しかない。実質的に「読んでいる人はナシ」と見ても構わない。中学生になるとスマートフォンの利用率の高さが後押しする形でそれなりな利用者率を示す。スマートフォンが一番高いが、次いでタブレット型端末が入っているのは要注目。
そして高校生。タブレット型端末自身の利用率が落ち込むのに加え、スマートフォンの利用率が圧倒的な値を示していることから、それを用いた電子書籍の利用者率も跳ね上がる。高校生全体の14.3%、およそ7人に1人はスマートフォンで電子書籍を閲読している。
今後スマートフォンの普及率がさらに進み、スマートフォンでの閲読を前提とした電子書籍サービスが浸透するに連れ、さらにこれらの値は上昇を見せるに違いない。
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